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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第26回 (139号)
組織全体が常に学び続けていくためのポイント
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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98長一人の対応では難しく、スタッフを含めた医院全体が同じ考えのもとに強く連携し、さまざまな問題に取り組んでいくことが理想的です。少数精鋭の歯科医院を目指すためには、院長がスタッフのよいところを伸ばし、スタッフが積極的に学ぼうとする組織づくりが重要です。そのポイントを、以下にいくつか挙げてみたいと思います。人々の価値観が多様化し、患者として歯科医院へ来院される人たちの要求も、より高度なもの、より細かなものへと変化している現在の状況において、患者さんに高い満足を得ていただけるように、歯科医院としてもさまざまな対応を考えていかなければなりません。とはいえ、日々成長していける歯科医院を目指すには、院歯科医院THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT 経営講座139Q 勤務するスタッフが5 名の歯科医院です。あまり規模は大きくありませんが、一人ひとりがしっかりとした考えを持って診療にあたることができる、少数精鋭の歯科医院を目指しています。そのためには、それぞれのスタッフが強く連携し、日々成長していける歯科医院であることが重要と考えています。組織全体が常に学び続けていくためのポイントを教えてください。Aデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡 勲/門田 亮れる場面をいかに多く作ってあげられるかということです。尊い仕事に就いていることを折に触れて話し、他人の幸せのために働いているのだという本人の自覚を促すとともに、たとえば、歯科衛生士や歯科助手として患者さんに接する際も、院長から患者さんにひとことかけてからスタッフにバトンタッチするといった、スタッフ自身が患者さんと関係づくりがしやすくなるためのフォローが欠かせません。毎日を単純な作業の繰り返しに終わらせるのではなく、日々来院するさまざまな患者さんとの触れ合いを通じて、患者さんから感謝されることを体験することが、医療の仕事に携わる一番の醍醐味といえるでしょう。自分に与えられた業務を、高い能力で遂行してくれることに越したことはありませんが、医療に携わる仕事であること、つまり不安を抱えながら来院する患者さんの気持ちを汲んだ、やさしさに満ちた仕事ができれば大変すばらしいことです。医療という仕事に携わることが好きで、他人の世話をすることに喜びを感じられるように、歯科医院としての取り組みを行いたいものですし、他人から感謝されることに生きがいを感じる、その人の持つやさしさを、どのようにして引き出してあげられるかが大きなポイントになってきます。歯科医院の取り組みとしてできることは、人に感謝さ1 能力よりも価値観を重視した取り組みを行う99さまざまな内容について物事を知ることは、仕事を進めていく上で、また患者さんと接する場面においても大変有意義なことです。土台となる部分がしっかりとしていれば、積み木のようにたくさんの知識を積み上げることができます。多くのことを学んでいれば、仕事で直面する厳しい場面でも、気持ちが揺らぐことはありません。広く知識を得るために、セミナーや講習会を活用するとよいでしょう。スタッフにセミナーをすすめる場合、院長から「こういった講習会があるが参加してみないか」と、医院としての考えを示した上で後押しをすると、受講に前向きに取り組むことができるでしょう。自分が担当する仕事についての知識だけを身につけるのではなく、分野を問わずいろいろなことに興味を持つことによって、幅広い知識を得ることも大切です。そのために趣味を持つこともよいでしょうし、経済問題など少し難しい内容を理解することでもよいでしょう。一見医療とは無関係のことのように思えても、日々の経済活動の一つとして歯科医院が存在することを考えると、根底には何らかのつながりがあるものです。医療と離れた場面では、どのような考え方で物事が進んでいるのか、あるいは非日常の場面で見たものを、自分の仕事に応用することはできないかといった視点から広い視野を身につけることを意識する→行動力、実行力を身につけている。④患者さんの表情や言葉、あるいはふとした態度から、患者さんの考えていることや気持ちを敏感に感じている→感受性が強く、他人の立場に立った考え方をしている。⑤スタッフの配置変更や診療方針の変更など、医院の状況の変化に対して的確に対応している→一つのことに固執しない柔軟性を備えている。以上のように、目に見える行動に注目してよいところを伸ばすように心がけます。スタッフが気持ちよく、やる気を持って毎日の仕事をしていくことができるのは、自分の持つ良いところを、上司である院長が的確に理解してくれているという安心感から生まれるのです。そのためには定期的な面談を通じて、スタッフの行動のよいところを伝えることが効果的です。スタッフそれぞれに違う優れた長所を見出すことは、スタッフを元気づける一番の方法です。人は他人に対して、つい期待を寄せてしまうものです。「ここまでのことは言わなくてもできるだろう」「これぐらいのことは苦もなく遂行してくれるだろう」といった期待に対して、思ったような成果が見られなかった場合に失望してしまうのです。ところが、この院長の失望感がスタッフに伝わり、モチベーションが下がり、スタッフは自信を失ってしまうのです。スタッフの能力を伸ばそうとする場合には、期待値よりも、今行っている言動の中にある、すばらしい面を見つけていくのです。①感情に左右されず、状況を的確に判断して業務にあたっている→自ら気持ちをコントロールし、最適な行動をとることに優れている。②自分の体験や他人の行動、見聞きするものから学び成長している→学習能力が高く、素直に人の話を聞く力がある。③業務の取り組みに対して、自分で考えて行動している目に見える行動に注目してよいところを伸ばす少数精鋭を目指しているということですが、たとえスタッフの人数がそれほど多くなくても、一人ひとりが仕事に対する責任と自覚をもち、きめ細かい対応を続けていれば、地域にとってかけがえのない歯科医院として患者さんの大きな信頼を得ることでしょう。歯科医院経営講座32