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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第29回 (142号)
患者さんの満足を得られ、働くスタッフの気持ちを充実させるポイントとは?
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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106して、バランスよく対応していかなければなりません。患者さんの動向を把握し、スタッフの充実度を高め、院長の方針を強く打ち出して、今後の環境を乗り越えていきたいところです。新規に開業することが難しいほど歯科医院の軒数が増え、また、優秀なスタッフを確保することも厳しい状況が続いています。特に歯科医院は、価格の支出弾力性が極めて高く、歯科医院を受診するということに好不況の影響を受けやすいため、収入を確保すること、患者さんを獲得することが極めて難しくなってきています。そのような状況の中で、医院経営を安定的に行っていくためには、院長の得意とする診療方針に偏るのではなく、患者さん、スタッフを含めた、医院経営に関わるすべての人に対【参考】家計(二人以上の一般世帯)の支出弾力性全国  3大都市医科診療代  −0.057   0.034歯科診療代   1.233   1.474 (総務省 家計調査)弾力性>1……ぜいたく品   弾力性<1……必需品歯科医院THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT 経営講座142Q 今後10 年、15 年と、しっかりとした医院の方向性を示し、患者さんとの強い信頼関係を築きながら、強い歯科医院づくりを進めていきたいと考えております。そのためには、院長だけの問題ではなく、患者さんの満足を得ること、働くスタッフの気持ちが充実することが大切と考えますが、それぞれのポイントはどういったところにあるでしょうか。Aデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡 勲/門田 亮てくれるので安心して受診できる」「待たずにすぐに診てもらえる」といった声があれば徹底して対応し、医院の特長として活かすことができます。患者さんが求めることに対応すると、主にどのような患者さんを診ていくのか、どのような手順で治療説明を行うかという方向性が定まるようになります。そのための設備や医院デザインをどういったものにするか、あるいは、どのような資質をもったスタッフを採用するかを徹底して検討していくことは、医院の方向性や特長を明確にする上で大切なことです。新たに患者さんを獲得するにあたり、現在、どのような患者さんが来院しているのかを把握することは、非常に重要な要素です。医院のどういったところに満足してくれているのか、あるいは、不満があるとすればどういったことなのかを判断する必要があります。すべての人に対して、すべてを満足させることは不可能に近いことですが、不満要素はあっても、それをカバーしうるだけの満足要素があれば、患者さんは継続して来院する可能性が高くなります。満足してくれている要素で、たとえば、「丁寧に説明をし1 来院する患者さんを把握する107院長の目指す形を、医院経営に反映させるためには、院長の想いを反映させる仕組み作りが必要です。独りよがりの想いに終始することなく、患者さんの要望に合わせて、また、スタッフの快適な環境に即して取り組みを進めます。ゆったりとした診療を患者さんが望み、徹底した予約制によって満足度を高めるのであれば、アポイントの取り方を検討し、診療の流れを確立し、一日の予約の流れが極力乱れることのないように進めていくことを検討します。一方、いつでも受け入れる体制を患者さんが要望し、医院としても最大限対応したいとするのであれば、多少アポイントに乱れが生じても、受付をはじめとした全スタッフには、対応してもらうよう徹底して教育をしておく必要があります。患者さんに対しても、折りに触れて方針を伝えていくことは必要です。院長の想いを医院の方針に反映させるスタッフのモチベーションをどう維持するか院長一人の力だけではなく、各職種のスタッフすべてを含めた、医院一丸となって医院経営を進めていくことが必要であることと同時に、患者さんの意向、動向にも注視しながら経営を進めていく必要があります。インターネットやスマートフォン等の普及によって、良い意味での口コミがあっという間に広がる一方、患者さんの意向を捉えきれず、満足な対応が遅れることによって、悪い意味での口コミもあっという間に広がるようになってきました。院長をはじめ、患者さん、スタッフ、さらには出入りする歯科商店、技工所、各業者までも巻き込んで強固な関係を築き、強い歯科医院づくりを目指してください。歯科医院経営講座32医院の方針を全体に波及させ、医院一丸となって取り組むためには、スタッフの力を欠かすことはできません。毎日を気持ちよく、高いモチベーションを維持しながら仕事に取り組んで欲しいものです。仕事の内容が日々刺激に溢れ、毎日が学びの連続であるに越したことはありませんが、スタッフにとって、労働環境が整えられていることも大切な要素です。今後ますます高齢化が進み、この15年間で高齢者人口が約1,000万人増えている一方で、15歳〜64歳の生産年齢人口は560万人も減少しています。働く女性の確保が難しくなるばかりの状況の中で、短期間で退職せず、長く継続して勤務を続けてもらうとすれば、給与賃金の多寡のみでなく、スタッフが公平に勤務できる制度面の整備も必要です。残業の扱い、有給休暇の取得率など、スタッフが働く上での権利がしっかりと明確にされているほど、安心して業務に取り組むことができます。また、常にスタッフ全員が学ぶ姿勢でいるために、行き当たりばったりの仕事の引継ぎではなく、しっかりと仕事の流れに沿った内容での教育システムができているか、計画的な研修会やセミナーへの参加が行われているかも、スタッフのモチベーションの維持に関わってくるものです。