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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第32回 (145号)
投資の際の院長としての心構えや取り組み方について
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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88いものはありません。他の診療内容でも、比較的目で見てわかりやすいということが患者さんへの訴求力を高め、専門的な知識を持たなくてもわかるという点が、大きくアピールできる強みではないかと思います。今後、新たな診療方針を打ち出す際には、取り組みに対する十分な準備と、継続して行うための体制作りが大切となりますから、以下の点が、先生の意識において重要なポイントとして挙げられると思います。表1は、デンタル・マネジメント・コンサルティングで行っている調査資料からの抜粋ですが、歯科医院で主に取り組む診療内容を尋ねたものを、前年と比較して収入が増加した歯科医院および減少した歯科医院に分類し、それぞれに違いがあるかをみたものです。収入が増加したとする歯科医院とそうでない歯科医院とでは、診療内容の比率に少し違いがみられます。ただ、その違いによって明確な相関関係が示されることではありませんが、主に取り組む診療内容が、収入増加要因の一つとして考えられるのは確かなことと思います。収入が増加したとする歯科医院では、保険の補綴治療から離れて、歯周予防、インプラント、矯正、在宅診療等に積極的に取り組んでいることが経営に寄与し、収入増加につながっている傾向が見られます。矯正治療などは、患者さんに対して治療効果を大きくアピールできる内容として、治療後の効果がはっきりとわかるものでもあります。治療期間が長期にわたるとはいえ、いずれすっきりきれいに並ぶことを症例写真等でも一目瞭然ですから、これほどわかりやす60.0%50.0%40.0%30.0%20.0%10.0%0.0%金属床保険義歯保険クラウンほか歯周予防インプラント小児歯科一般矯正成人矯正ホワイトニング在宅介護11.4%13.2%収入増加歯科医院収入減少歯科医院25.7%31.6%22.9%34.2%60.0%50.0%14.3%13.2%8.6%15.8%17.1%7.9%5.7% 5.3%2.9%7.9%5.7%2.6%表1 診療方針 −対前年収入増減による比較−歯科医院THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT 経営講座145Q 設備も少しずつ充実し、スタッフも定着してくれるようになってきました。これまで保険診療を中心に治療を続けてきましたが、今後、さらに医院を発展させるために、積極的に幅広く診療の領域を広げていきたいと思っています。ただ、そのためには少なからず投資が必要になると思いますし、はたしてうまくいくかどうか不安な面もあります。院長としての心構えや、取り組み方など、どういった点をポイントとして考えていけばよいでしょうか。Aデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡 勲/門田 亮89新たな取り組みを始めたのち、どのように結果が表れているかを確認していく必要があります。保険診療と自費診療の比率の変化や、来院患者数、レセプト枚数や単価等、数字として表れるものの推移は注視しておきたいところです。すぐに数字に変化が表れてくれば好ましいことですが、多くは自分が思うようには進まないものです。短期間で判断するのではなく、長期間にわたって傾向線や移動曲線を見ることも必要です。学習曲線のように、ある時点でぐっとレベルが上がることがありますから、数字の把握は続けておきたいところです。また、数字の動きを捉えておくことは、このまま継続をするべきか否かの重要な判断材料ともなります。感覚的なものだけで、うまくいっているかどうかを判断することは、大きなリスクを伴うものと言えるでしょう。数字の動きを捉える徹底して実践する収入を伸ばしている歯科医院は積極的な取り組みによって患者さんを獲得し、次の来院につなげる試みを常に行っています。単に幅広い診療内容を準備しただけで患者獲得に結びつくものではありません。さまざまな疾患を抱えて訪れる患者さんに対して、自医院で徹底して対応を続けた結果、増収増患という形で数字に表れてくるものです。治療形態や診療方針は当然医院ごとに異なってきますから、こういう形でなければならないということはありません。ドクター1人、受付兼歯科助手1人の体制ですべて自費治療を行う医院づくりから、多くのスタッフを擁して幅広くあらゆる治療に対応する医院づくりまで、実に様々な形の歯科医院が存在します。どういった診療方針や治療形態を目指すにしても、先生の積極的な経営姿勢が大切な要件と思います。歯科医院経営講座から、すべての設備が整えられないかもしれませんが、比較的早期に体制を整えることが必要です。2〜3年程度の中期的な経営計画を作り、特に設備投資に関する資金繰りに関しては、不安なく取り組めるようにしておきたいものです。資金計画に関しては、準備をしすぎるということはありませんから、万全な体制で臨みたいところです。確固たる取り組みが患者さんの増減、収入の増減に比較的強く影響が表れるところではないかと思います。中途半端に設備を整え、不十分な体制のまま新たな取り組みを進めることは避けなければなりません。たとえば必要最低限の設備さえ整えばインプラント治療も可能ですし、予防専用のチェアがなくても定期検診は可能かもしれません。しかし、患者さんもあらゆる媒体で情報を得ていますから、通院する医院がどういった考えで新たな取り組みを始めているのかは、医院が思う以上に注目されています。当初は、資金的にも不十分という理由1 万全な体制で実施する32すぐに結果が表れてこない場合、どうしても不安が先行してしまうことがあります。しかし、新しい取り組みが患者さんに十分に認知されるためには、相当の期間が必要であると覚悟しなければなりません。患者さんに認知してもらうための媒体を精査し、来院された場合にはしっかりとアピールできるよう徹底して実践し続けることです。また、先生の意識の変化とともに、スタッフの意識も新たなものに切り替わる必要があります。ミーティングを重ねて、先生の方針が浸透するまでスタッフにも徹底して説明をすることが必要です。院長にはどういう状況でもある一定の成果が出るまでは、常にブレない強さを保ち続けることが大切ではないでしょうか。