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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第34回 (147号)
風通しの良い歯科医院づくりを実現するために
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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100ありますから、なかなか意見を言い合える雰囲気が作れないことがあります。院長とスタッフの意識の違いを理解し、スタッフの意見をどう汲み上げていけばよいかを考えてみたいと思います。複数の人が同じ場所で一緒に仕事をする場合、そこには必ずコミュニケーションが存在します。しかし、経営者である院長と従業員であるスタッフとでは、立場の大きな違いが歯科医院THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT 経営講座147Q スタッフとは率直に意見が言い合える、風通しのよい歯科医院づくりをしたいと思いますが、院長としてどのようにスタッフに接するとよいでしょうか。Aデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡 勲/門田 亮観を築く必要があるのです。歯科医院での仕事を通じて、何を目指すのかを院長とスタッフで徹底して共有することが必要です。経営理念や経営方針という言葉で表される内容のものですが、例えば予約時間に遅れてきた患者さんに対してどう対処するのかといったことや、痛みを伴って飛び込んできた患者さんをどう受け入れるかといったことに関しても、院長の基本姿勢によって対応の仕方はまったく異なります。何のために自医院が存在しているのか、どういう歯科医院でありたいのかを院長がしっかりと打ち出し、ミーティングを通じて、日々の朝礼を通じて、さらにはスタッフとのコミュニケーションの時間を通じて、着実に浸透させるようにします。仕事に対する価値観が共有できるようになると、日々の診療場面でどのように行動すればよいかが分かってきます。患者さんへの接し方や経費の使い方、保険中心の診療か自費中心の診療かといったことがはっきりわかってくると目標を立てやすくなります。目標となる数値を来院する患者数や、収入や経費などの経営数値などに置き換えて考えることができるようになると、少しずつでもスタッフの意識が高まっていくものです。時折、院長とスタッフとの意見が対立し、院長の考える意図が十分に伝わらないことがあります。そのたびに院長はイライラしてしまいますし、反対にスタッフは委縮してしまうために、医院の雰囲気があまり好ましくない状態になることがあります。このように、院長の意向が十分にスタッフに伝わらない原因の一つは、両者で仕事に対する価値観が根本的に違うからに他なりません。つまり、日々行っている仕事の内容が、何のために行われているのかという意識が、経営者である院長と従業員であるスタッフとの間で全く異なっているのです。院長にとっての仕事とは、地域に貢献する医療の提供であり、歯科医院の経営維持であり、十分な生活の確保であるのかもしれません。一方、スタッフに対して仕事とは何かを問うた場合、院長と同じレベルで答えが返ってくることはあまりありません。むしろ、明確に答えられるスタッフの方が少ないのではないでしょうか。仕事に対する価値観が違うということは、物を見る視点も異なりますから、普段の仕事に対する問題意識も違ってくることになります。そこで、院長とスタッフの間に、一つの共通した価値1 院長とスタッフの価値観を合わせる101歯科医院の規模の大小にかかわらず、一人でもスタッフを採用するとなると、そこには労務管理が必要になります。スタッフへの積極的なかかわりの中で、スタッフが存分に働ける環境づくりを積極的に進めてください。歯科医院経営講座書を用いて意見を出すということは、院長がこれから経営を進めていく上で、全スタッフからの意見を参考にするということを意味します。すなわち、スタッフから院長への告げ口ではなく、医院を改善するための仕事の一環として意見を述べるということです。率直な意見をくみ上げることが目的ですから、肩肘張らずに行えるように、A4用紙一枚にいくつかポイントを書く程度でよいでしょう。ポイントに対して説明を要する場合には、記述するスペースを用意して補足できるようにします。週初めに配布して週末に回収するなどの期限を設け、月に一度はスタッフの意見を汲み上げられるようにしておくと、スタッフも問題意識をもって取り組むことができるようになります。上がってきた提案に対しては積極的に具体化することや、コメントを付して回答するなどして、院長自らが必ずフィードバックをするようにします。自分の意見が少なからず医院経営に寄与していると自覚することが次への提案へとつながります。あるスタッフのよい意見が、的確に院長まで届かないことがあります。ミーティング等で徹底して意見を出し合い、それぞれの意見が十分に反映されることが理想ですが、日々診療を行っていく中で問題意識の高いスタッフから出た意見は、あまり院長の耳にまで届いてこないものです。朝礼やミーティング等で、院長が直接スタッフに対して訓示することにより、スタッフからの意見が出やすくなることがありますが、なかなか面と向かって院長に対して自分の意見を述べられるものではありません。院長と対立するようなことは避けたいと思うでしょうし、何よりも、院内での人間関係は、スタッフが最も重視することの一つでしょう。分院を数軒持つ医療法人などでない限り、ずっと同じ職場で同じスタッフと過ごすわけですから、スタッフ同士であまり波風を立てなくないということは当然かもしれません。そこで、改善提案書や要望書などの書面を通じて意見を出すことを考えたいものです。全スタッフが同じ提案2 提案書など目に見える形で伝える実績が見られた場合には、しっかりとその結果をフィードバックして、次につながる行動へと導きます。「私は診療に集中するために、その他のことは専従者やスタッフに任せた」という姿勢ではなく、折に触れてスタッフや患者さんの動向を確認することが大切です。院長が常に経営状況を的確に把握していることが、スタッフにとっても「院長は常に私たちのことを見てくれている」という安心感につながり、仕事に対するモチベーションの維持にもつながるのです。常に後ろには院長がいるという安心感によって、スタッフ自身もさらに医院に貢献しようとして、さまざまな想像力を発揮します。歯科医療に携わる院長の立場として、診療に全精力を注ぎたいものですが、やはり、院長の言動が最大の原動力になりますから、スタッフのこと、資金のことなど経営全体のことに関して、院長が積極的にかかわる姿勢が大切です。積極的にかかわること=命令を下すということではなく、それぞれの部門がどのような状況にあるかを常に把握をしておくということです。歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付の各部門が、何か問題を抱えているのであれば、解決に導くように的確に方向性を示す必要があります。一方で、診療収入や経費削減に寄与するような3 院長が積極的に経営にかかわる