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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第35回 (148号)
自ら学ぼうとする積極性をスタッフに求めるには
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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82します。途中で伸び悩む時期に院長がどうサポートするかを含めて、スタッフの行動をつぶさに観察し、より具体的なフォローアップができる環境づくりに注力します。学ぶ環境や土壌がないままスタッフに積極性を求めたとしても、院長の期待に十分に応えられるものではありません。まず、院長が診療に対する考え方をしっかりと打ち出し、その方針をスタッフが明確に理解しておかなければなりません。その方針に基づいて、学ぶ組織作りに向けた医院の風土づくりが進むものなのです。スタッフと良好な関係を築いて毎日の診療を行っておられることは、非常に好ましいことと思います。開業後3年間で医院の仕組みが定着する一方、少しマンネリ化を感じておられるようですが、次のステップを目指した新たな段階に向けて医院一丸となって取り組みたいものです。「学ぶ組織」を作るためには、一人ひとりがより高い意識を持って幅広い知識を習得することが大切ですし、目先の成果にとらわれず、長期間にわたって自己成長を図ることを目指歯科医院THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT 経営講座148Q 開業後3年が経過、幸い退職をしたスタッフもなく、よい雰囲気を保ちながら日々の診療を行うことができています。院内の仕組みやルールづくりはスタッフに任せており、十分に定着してきているのですが、少しマンネリ化してきた感が否めません。今後の新しい取り組みや規模の拡張などを考えた場合、自ら学ぼうとするスタッフの積極性を求めたいものですが…。Aデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡 勲/門田 亮時間をかけてでも、お互いの業務を理解する機会を設けることも必要なことではないでしょうか。また、歯科医院で働いていると患者さんと接する機会が多く、スタッフのコミュニケーション能力が問われる場面が多いものです。様々な患者さんの様々な価値観に対応してコミュニケーションを維持するために、自分自身の経験や知識だけではなく、他人の行動や言動からも学ぶことができる力をつけたいものです。現代は情報があらゆるところにあふれている時代ですから、学ぼうと思えば、どこにいてもどこからでも情報を得ることができます。多くの考えや知識に触れることで揺らぎの少ないしっかりとした考えを持つスタッフへと成長できるものです。一緒に働くスタッフがどういう考えを持っているのか、来院する患者さんがどういうことを期待して通院しているのかを、表情や言葉あるいは態度から敏感に感じ取る力へとつなげたいものです。医院の将来を長期間の問題として考えた場合、たとえ遠回りでも幅広く知識を得られる環境づくりが大切です。まとまった時間が取れないといった時間的な問題や、スタッフを余剰に抱えることができない現実から、どうしても一つの内容に特化して学ぶことが多いものです。たとえば、『積み木』を積み上げるとき、ただ一直線に上へ上へと積むだけではすぐに倒れてしまいます。時間と量は多く必要としますが、土台を広くしっかりと作り、ピラミッドのように積み上げていくと丈夫に高く積むことができます。歯科衛生士や歯科助手あるいは受付担当者が、自らの職種の業務ばかりにこだわるあまり、医院全体の動きが見えにくくなることがあります。今起きているお互いの状況を想像できませんから、あちらでは何をしているのだろう、なぜできないのだろうと不信感を抱くことになってしまいます。日々のミーティングにおいて、多少1 幅広い知識を得て土台を作る83学ぶ組織作りを目指したとしても、環境の整備がないままにスタッフが自ら進んで学ぼうとする意識は生まれにくいものです。医院の風土づくりや環境整備は、院長を中心にして行われるものであり、今後5 年、10年をどの方向に進もうとするのかを、より具体的に構築することを心がけてください。歯科医院経営講座びる時期がきます。スタッフがどのような状態でいるのかを見極め、院長としても辛抱強く見守ることが必要な時期かもしれません。他のスタッフから様子を聞くことや、面談等を行うことによって意識確認をすることが必要でしょう。高い意識を持って学びを続けたとしても、一直線に伸びていくことはありません。図1の学習曲線が示すように、伸びる時期もあれば少し低迷してしまう時期もあるでしょう。停滞期は、知識が蓄積されて次に伸びる時期への準備期間でもあるのです。少し伸び悩んでいると感じた時に、スタッフのどういった行動や意識に注目しておくかということが大切です。スタッフ本人は、少しでも知識を得て医院に迷惑をかけないように頑張りたい、早く医院に貢献できるようになりたいと思っているのかもしれません。ところが実際は、自分が思うように知識を得られず、覚えようと思ってもなかなか覚えられないことに焦っている状態であることも多いものです。診療の補助に少しもたつく場面があったり、院長の指示通りに治療が進んでいなかったりすることがありますが、真摯な態度で日々の業務に向き合い、少しでも前に進もうという意識を持っているのであれば必ずぐんと伸2 低迷する時期を受け入れるいった具体的な行動に絞り、場面を思い出しながら振り返ることができるようにします。すると、スタッフも状況がよみがえり、自分が意識してきたことと結びつけて理解をすることができるのです。あらためて面と向かってフィードバックすることは難しいものですし、診療が忙しい中ですべてのスタッフの行動を常につぶさに見ておくこともできません。したがって、その日のスタッフの中から行動や意識を注視するスタッフを決めて、患者さんと接する場面、器具器材を準備する場面、あるいは他のスタッフと接する場面などの行動を注目して見ていくようにすればよいでしょう。スタッフの行動や意識に変化が生じてきた場合には、それが些細なことであってもフィードバックすることが大切です。どういう内容でも褒められれば嬉しいですし、院長に認めてもらえることでモチベーションが格段にアップにします。ここで大切なことは、スタッフへフィードバックする際には、行動のより具体的な内容に注目して話をすることです。「最近はよく頑張っているね」「少し自信が出てきたね」といった漠然としたことを返すのではなく、「○○さんに対応したときの、笑顔の対応がとてもよかった」「器具を指示したときの動作がとてもスムーズになった」と3 より具体的にフィードバックする経験回数習熟度大きく伸びる時期少し停滞する時期図1 学習曲線