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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第37回 (150号)
経営データの管理や数値として把握することの重要性
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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98開業間もない時期であれば、一日の来院患者数や、合計点数、自費診療の金額も感覚的に十分に把握できる状態ですが、年数が経過すると蓄積されるデータ量も増えてきます。今後、積極的に経営を行おうとするならば、データに基づいて行うことになりますから、数値の管理が欠かせないものとなります。長く地域に根ざし、医院を受診した患者さんの数が増えてくると、院長一人ではなかなかすべての患者さんを把握し、管理することが難しくなります。また、歯科衛生士等の他スタッフが関わる患者さんが増えてくると、ますます記憶だけでは対応できない事態となってきます。歯科医院THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT 経営講座150Q開業してから5年が経過しました。これまでに多くの患者さんが当院を受診しましたが、振り返ってみると、どういった患者さんが受診し、どのように医院の状況が変化してきたのかという、医院の経緯をたどるためのデータ管理をしていませんでした。これまであまりデータを重視することがなかったのですが、ある程度患者さんの定着も進んだようで、以前のように患者さんが増えてきているという実感もあまりありません。今後に危機感を抱く状況の中で、どういったことを管理して進めていけばよいでしょうか。Aデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡 勲/門田 亮と捉えることができます。したがって、現在の環境が維持されれば比較的患者さんは来院しやすい状況です。しかし、周辺に競合する歯科医院がいくつかできてくると、立地条件が変化することになり患者さんの来院にも影響が及ぶことがあります。このように、患者さんの来院理由や紹介の有無等を把握するためには、初診受付時、問診票記入時に患者さんから聞くなど、事前にデータを準備しておく必要があります。立地条件や歯科医院の規模が異なり、スタッフ数が異なれば、歯科医院にとって必要となるデータはまた異なるはずです。新患数を重視するか、紹介率を重視するか、またはキャンセル数を重視するかは、医院の置かれている局面や院長が重要視するポイントによって異なります。開業後数年が経過したところで、患者さんがどのような経緯で来院しているかを把握するために、新患数や紹介の有無を捉えることがあります。新患や紹介に関して、その数だけでは割合が増えているのかどうかが分からないため、比率に置き換えて新患率、紹介率として捉えることも一つの方法です。紹介患者の割合が多い場合は、一つの目安としては診療方針が患者さんに評価されていると考えることができます。ホームページでの訴求や院内での患者説明が、患者さんに対する医院の診療方針や取組みとして十分に浸透しているといえるでしょう。一方で、患者数は多いけれども紹介が比較的少ない場合は、立地条件のよさによって患者さんが来院している1 データの準備患者数新 患初 診紹介有再 診再初診紹介無紹介有:診療方針が評価されている目安。◆診療方針を医院の強みとして、患者さんに対する積極的なアプローチを図る。紹介無:立地条件のよさにより来院が進んでいる。◆周りに新たな医院ができ、立地条件が変化すると弱い面がある。99経営上の数値を、院長一人で整理し、確認して検証することは容易ではありません。スタッフの力を使わざるを得ませんが、院長は、どういう資料やデータが必要であるかをスタッフに指示することができます。日々の経営状態を把握し、次にどういう対策を検討するかにおいては、実態を数値化して確認する以外にありません。問題点を抽出し、次に適切な対策を検討するためにも、経営データの管理や数値として把握することの意識を強く持ちたいものです。歯科医院経営講座ポイント帳などから取り出しやすい項目にして、すぐに確認できるようにしておくことが大切です。いずれにしても、数値管理が医院経営の指標となることが目的ですから、院長が医院の状態をイメージできる内容のものにする必要があります。自費診療の傾向を見るのか、紹介患者数の推移をたどり対策につなげるのか、あるいは数値の傾向によって医院の強みを探そうとするのかといった、目的に応じてポイントを絞ると、継続して流れを把握していくことができます。ただ、常に経営数値の動きを把握するとはいえ、管理する項目があまりにも多岐に亘りすぎると、かえって医院がどう動いているのかがわかりにくくなります。あまり細かい点に注目してデータを取ったとしても、実際にどう医院経営に影響しているのかわからない場合があります。ですから、医院の方針や院長の考え方に沿って、多くても10項目程度に項目を絞り、管理しやすくする必要があります。日々行っている取り組みが、どう数値に表れるかといったことを把握しやすいように、レセコンやア2 ポイントを絞るれぞれの役割分担も決まっているはずですから、比較的行いやすいのです。しかし、その効果をはかるために、結果を分析して検証をするとなるとなかなか骨が折れる作業になってきます。この場合も、数値化した明確なデータで比較しやすい形になっていると、実行に移す前と後での違いを把握しやすくなります。比較した結果、改善が進んでいるかあるいは、あまり効果が見られなかったかということを確認しながら、継続して検証を続けていくことが大切になってきます。つまり、データを整理することによって、計画(PLAN)し→実行(DO)に移し→検証(SEE)および改善を繰り返しながら、医院の状態を常によりよい方向に進めようとしていくわけです。ところが、ミーティング等で計画を立てたことをスタッフで協力し実行することまでは何とかできたとしても、実行した結果がどうであったかという検証までを確実に行うことは意外と難しいものです。というのも、実行に移す際には、立てた計画をもとに院長とスタッフが協力しながら実行できますし、またそ3 検証を続ける