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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第44回 (157号)
スタッフそれぞれの考え方をまとめるポイント
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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Office 歯科医院経営講座157BusinessManagementデンタル・マネジメント・コンサルティング稲岡勲/門田亮78 Dental MagazineQuestion 当院は、駅前のテナントビルに3 年前に開業した歯科医院です。駅前という好立地のため競合歯科医院も多く、そのため、患者さんの確保も非常に難しい状況です。場所柄、来院される患者さんは、サラリーマンやOL、会社の経営者など、仕事の合間を縫って来院する患者さんが多い状況です。患者さんへは積極的に働きかけを行い、日々患者さんの対応には細かく気を配るようにしていますが、今後、医院全体として患者さんに対応する際に、スタッフそれぞれの考え方をどうまとめていけばよいか、ポイントとなることがあれば教えてください。Answer 一人ひとり価値観の違う患者さんの満足を、それぞれどのようにして理解するかということは非常に難しいことと思います。また、常日頃仕事上のプレッシャーを感じながら生活している人が来院患者に多いということは、同時に、医院に向けられる期待も相当に高く、治療内容や患者応対に関する要求も常に厳しいものがあるでしょう。院長だけでなく患者さんと直接関わるスタッフも、相当高い意識を持っていなければ、さまざまな思いを持って来院する患者さんに対して、きめ細かく対応することは難しいことと思います。常に高い意識を持ち、神経を研ぎ澄ませて患者さん対応にあたることは、精神的負担も非常に大きいものですが、同時に、患者さんに選ばれる歯科医院として存在するためには、丁寧な対応が必要であることは言うまでもありません。歯科医院を訪れる患者さんの多くは、歯が痛くなった、歯の詰め物が取れた、虫歯を治療して欲しい、あるいは、歯のメンテナンスのためにという目的で来院をしますが、治療をしてほしいという先に何を求めてきているのかは、患者さんそれぞれにまったく違うものを抱えているものです。痛くなった歯の治療を今後どうして欲しいか、歯の痛みを抱えて不安な状態をどのように理解して欲しいかということも、患者さんそれぞれで違うものでしょう。つまり、患者さんの主訴を把握することは最も重要なことですが、医院に何を期待して来院してきているのかという、患者さん自身の気持ちや思いを把握することも重要なことであると言えます。すなわち、患者さんの病気にばかりに注目するのではなく、患者さん自身としっかり会話できているかが大切なのです。患者さんに対応するスタッフも同様で、院長に報告しなければならないことばかりに意識が行ってしまうと、肝心の、患者さんの不安や期待を理解することを忘れてしまうことがあります。電話の受け応え、患者さんへの窓口対応の一つひとつが、患者さんの気持をつなぐ上で大変重要であることを忘れないようにしたいものです。治療の先に求めている気持ちや思いを理解するBusiness ManagementDentalMagazine 79患者さんとの信頼関係を構築するにあたり、患者さんの興味や関心ごとを理解することが大切ですが、患者さんの気持ちをどのように引き出していくかということも考えておく必要があります。どうすれば患者さんがたくさんのことを話してくれるか、どうすればリラックスして治療説明を聞いてもらうことができるか、一つひとつを丁寧に考えてスタッフ同士で共有しておくことが必要です。診療室は本当に患者さんがリラックスできる雰囲気になっているか、また、患者さんと歯科医師、スタッフの位置取りは、患者さんが臆することなく話をできる状態になっているか、患者さんに治療説明をしっかり理解してもらうために、どのように話しかけ、どう話を進めていくかをしっかりと考えておかなければなりません。多くの患者さんが来院し、常に診療室が和やかな雰囲気に包まれている歯科医院では、患者さんが安心できる空間づくりのために、非常に繊細な注意を払っています。スタッフ一人ひとりの言葉遣いから振る舞い、表情まで徹底した教育を行っているものです。Advice 歯科医院にとって、自医院に来院する患者さんは、多くの来院患者さんの中の一人かもしれませんが、患者さんにとっては、自分が頼れるたった一つの歯科医院という感覚で来院しています。多くの歯科医院の中から事前に医院情報を調べ、知人の口コミを頼り、利便性を考慮した上で、やっと受診をする歯科医院です。事前情報があればあるほど期待は高まり、求めるものが大きくなるのは当然のことかもしれません。患者さんが何を求めているのかを知り、何に満足するのかを常日頃から考え、確かなコミュニケーションを図っていきたいものです。院長の考え方に確固たるものがあれば、スタッフが入れ替わったとしても継承されていくものです。朝礼やミーティング、日々の関わりを通じて、医院全体、スタッフ全体に浸透させてください。患者さんが安心できる雰囲気づくり患者さんはどの程度の知識を持っているか患者さんに治療説明をする際には、患者さんがどの程度歯の知識を持ち、どういった説明が効果的かを図りながら行う必要があります。患者さんは、歯科医師の治療技術を客観的に評価する術を持ちませんし、主訴を伝えたあとは、診断に基づいた治療方針の説明を聞くこと以外に、自分の歯の状態を知ることができません。したがって、治療説明とはいえ、あまりにも専門的な言葉が並んでしまうと、正しく自分の歯の状態が理解できずに不信感につながってしまうかもしれません。また、親近感を醸し出そうとするあまりに、少しくだけた口調で話をしてしまうと、治療を押し付けられている、あるいは馴れ馴れしいと映り、少し怖いイメージに映ってしまうことがあるかもしれません。患者さんの多くは、丁寧な治療説明を求めています。丁寧な説明とは、患者さんの知識量に合わせて、その患者さんがもっとも満足する内容を伝えるということです。単なる話し方が丁寧なだけではなく、今後の治療計画について、何をどこまで説明していくかを考えることも丁寧な説明につながることです。とにかく今の状態を早く知りたいと感じているのか、少し医学的な内容も含めて、今後どのような状態が続くのかを知りたいと思っているのか、患者さんの知識や関心に沿って話の内容を組み立てることが大切です。