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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第48回 (161号)
スタッフを評価するポイント
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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Question 当院は比較的継続して求人募集を行いますが、最近はなかなか思うような人材を確保することができません。そこで当院では無理な増員はせず、長く続けてくれる今いるスタッフを中心とした歯科医院経営へと、大きく方針の転換を図ろうと思っています。医院全体で目標を持つことも必要と思いますが、スタッフには今以上に頑張ってもらうことも出てくると思います。少数精鋭を目指す上で今後新たな取り組みをする際に、モチベーションの維持・向上のためにスタッフを評価するポイントを教えてください。Answer 現有スタッフで歯科医院経営を維持していく過程で、院内での業務改善の取り組み、患者さん対応改善の取り組み、患者さん獲得に向けた新たな取り組みなど、スタッフとともにさまざまな取り組みを実施していくことになります。スタッフ同士は今以上に連携を図り、院長に対して、いわゆる報・連・相を強化して医院一丸となって進んでいくものですが、その時々で、院長はスタッフに対して評価・指導をしていかなければなりません。スタッフのモチベーションを維持し、積極的に取り組むために、日頃からスタッフの行動や言動に注視し、適切な関与をすることがポイントとなります。スタッフに対する院長の声掛け、関与の仕方は、院長自身が思う以上に、スタッフにとってはとてつもなく大きな影響力となるものです。決めた目標に対して具体的な評価を行うスタッフが目指す取り組みは、たとえば保険点数や自費収入金額の目標であることや、アシスタント業務のレベルを向上させるといったこと、あるいは会計の違算金額をゼロにする、ということなど、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手・受付等、職種ごとに独自の基準を設けた内容であると思います。医院全体の業務の効率化に向けて、それぞれが考えを持って取り組んできた内容ですから、スタッフが院長から評価を受ける際には、具体的な内容での評価を期待しています。業務遂行上のミス軽減に寄与した場合には、具体的な改善内容や、どういった取り組み方が功を奏したのかヒアリングをすることが大切です。スタッフとしては、報告する先の院長から好意的に受け止めてもらえたと感じることで、次にまた新たな取り組みに向かうための原動力となります。また、普段の業務に慣れてしまっている分、今ある業務のやり方を変えるということは、大変難しいことでもあります。したがって、業務改善に取り組む際には具体的に目標設定を行うことが大切です。ただ漠然と、業務ミスを軽減するという取り組みになると、院長が評価する際にも漠然とした内容の評価になってしまいます。それぞれが決めた目標に対しては、具体的に評価をしたいものです。目標に向かう過程にも目を配る仕事の場においては、「結果がすべて」という視点で評価をしがちになります。経営はすべて数値で表されますから、結果をすべての評価基準にすることは間違いではありません。保険点数、自費診療費の増加、メインテナンス患者の増加、電気代・水道代の削減等々、院内で行う取り組みのすべては、何らかの経営数値へとつながるものです。しかし、なかなか思うように結果が出ないこともあります。むしろ、毎日患者さんの対応に追われてしまい、目標を意識することさえ難しい状況と思います。したがって、目標に到達しようとする上で意識したこと、取り組んだこと、考えを深めたことなどにも着目して、たとえ結果に結びつかなかったとしても、途中での気づきや学びがあったことを評価することも大切です。取り組んできたことが無駄ではなかった、目標に近づこうとする姿勢を評価してもらえたと思えることは、働く上での大きな安心感となるものです。医院に必要とされていると意識できれば、少々の困難にも立ち向かっていけるものです。評価後に発せられる「でも」という言葉…上長から部下を見た場合、とかく目につくのは、できていないところ、もう少し頑張ってほしいところ、本当はこうして欲しい、と思う点です。任せて安心、信頼度や安定感が抜群で非の打ちどころがないスタッフというのは、ほんの一握りのスタッフかもしれません。そういうスタッフは職務遂行能力も高く、院内でもリーダー的立場として存在感を示します。したがって、院長の口から出る言葉も批判的にはならず、当然プラスの言葉が多く発せられるようになります。一方で、中堅のスタッフや、本当にモチベーションを上げて引き上げなければならないスタッフには、つい指導的な言葉を発してしまいます。その場合、たとえ結果がよくても、どうしても最後に一言「でも、ここはこうだよ」と否定的な言葉が混ざってしまうのです。スタッフはモチベーションを上げきれず、評価されているのかわからないといった不信感を抱くことにもなりかねません。したがって、結果を出して評価すべき時には徹底して評価を行い、一方で指導すべき点がある場合には、改めて機会を設けた上でしっかりと指導を行うべきです。Advice 歯科医院経営にとって常に頭を悩ませるのが、スタッフの確保・維持の問題です。応募者が少ないばかりではなく、運よく応募者があったとしても条件が合わなかったり、すぐに辞めてしまったりすることが多いのが実情です。その一方で、現有スタッフの中には仕事に対する意識が高く、安定して長く勤務し続けようとする人がいます。増員を抑えながら、そうしたスタッフを重視する今回の取り組みは、人材の確保が難しい現状を考えると長期的にもよい取り組みと思います。また、必要最小限の人数で業務を行うわけですから、一人に係る業務の負担や責任は非常に大きくなりますが、業務効率や一人あたりの生産性が高まることが期待できるため、経営的にも非常に好ましいことでもあると思います。スタッフの一つひとつの取り組みに対してこれまで以上に目を配り、適正な評価・指導を行うことに全力を注いでください。