103号 AUTUMN 目次を見る
目 次
- ≫ はじめに
- ≫ セレック3の特徴
- ≫ セレックスキャンの特徴
- ≫ おわりに
はじめに
セレックシステムはCAD/CAM方式のセラミック修復物自動製作装置として開発され、セレックからセレック2へと進化してきた。セレック2によりインレー、アンレーからクラウンの製作まで活用の範囲も拡大し、さらに使いやすくなり、ドイツをはじめヨーロッパ、アメリカ、日本など多くの国の臨床の場で活用され、良好な臨床実績が報告されている。
従来、セラミック修復といえば煩雑で、しかも習熟した技術や製作の長時間を要するなどが課題といわれてきた。
セレックシステムは、これらの課題解決の方法として、コンピュータ(CAD/CAM)を応用し、複雑な技工工程を経ず、チェアーサイドで短時間にセラミック修復物を製作するシステムとして開発された。このセレックシステムにより、患者さんは一回の通院で治療を終えることが可能になり、患者の時間的負担の軽減や高品位で審美性の高いセラミック修復の提供が簡単に行えるようになった。
今回発売されたセレック3及びセレックスキャンは、セレックの基本コンセプトである
1. 複雑な技工工程が不要。
2. チェアーサイドで短時間に修復物が製作できる。
3. 使用するビタマークⅡセラミックブロックは審美性に優れ、特に天然歯のエナメル質に近い摩耗度で対合歯への影響が少なく破折しにくい。
4. セラミックブロックは材質が均一で劣化、変色が少ない(図1、表1)。
をベースに開発され、先生方や患者さんの多様化、高度化したニーズに対応できるよう進化したシステムである。
以下セレック3・セレックスキャンの概要を紹介する。
図1 セレックVITAブロックマークⅡと天然歯における対合歯エナメル質の摩耗度の比較試験結果(in vitro試験)-
表1 セレック2 VITAマークⅡセラミックブロックの物理的性質
セレック3の特徴
セレック3は、光学印象と設計を行うイメージングユニットと、設計されたデータにより既成のセラミックブロックを削り出すミリングユニットから構成されており(図2、3)、イメージングユニットはWindows対応PC内蔵で他の画像処理など活用範囲の拡大が図れる。また、ミリングユニットが分離独立しており設置場所を選ばない。
さらに、モジュラー化により先生方の治療方針、経営方針に合わせたシステム構成が可能である。
●イメージングユニット
PC内蔵のモービルユニットで光学印象用のセレックカメラが組込まれており、直接口腔内で撮影する光学印象法の採用(直接法)により、従来法の印象材での印象採得が不要である(模型を撮影する間接法も可能)(図4)。
また、設計のチェックや修正のウィンドウが同時画面表示でき、ミリング中でも別の修復物の設計が同時に行え、スピードアップが図れる。
イメージングユニットは一般PCとして活用範囲が幅広く、システムを発展させることができるモジュラー方式を採用している。
●ミリングユニット
イメージングユニットで設計されたデータを既成のセラミックブロックを使用し、ミリングユニットで削り出し、修復物を製作する(図5)。
ミリングバーはシリンダータイプとコーンタイプの2種類のバーにより、再現性の高いミリング機構を採用している(図6)。また、イメージングユニットと分離独立しており、設置場所を選ぶことができる。
図2 セレック3(イメージングユニットとミリングユニット)-
図3 セレック3(イメージングユニットとミリングユニット) -
図4 イメージングユニット。 -
図5 ミリングユニット。 -
図6 石膏模型をスキャン。
セレックスキャンの特徴
ミリングユニットにレーザースキャナーが組み込まれたタイプで、光学印象の代わりに石膏模型をレーザースキャナーでスキャンする間接法を採用している(図7、8)。
イメージングユニットなしで使用できるエコノミータイプで、修復物の設計は市販のWindows対応PCを接続して使用し(図9)、ミリング中でも別の修復物の設計が同時に行える。
■修復物製作の流れ
セレックシステムによる修復物製作の流れを図10に示す。
■オプション
セレック3には標準ソフトとしてインレー、アンレーソフトが付属されおり、オプションとして「クラウンソフト」、「ベニアソフト」(セレック3、セレックスキャン用)、口腔内撮影カメラシステム「シロカム2」が別売されており、必要に応じアップグレードができる。
■臨床応用例の紹介
セレックシステムによる代表的な臨床応用例を紹介する。図11、12は前歯クラウン修復、図13、14は臼歯インレー修復の術前・術後写真である。
図7 ミリング。-
図8 -
図9 修復物の設計は市販のWindows対応PCを接続して使用。 -
図10 修復物製作の流れ。 -
図11 前歯クラウン修復 術前。 -
図12 前歯クラウン修復 術後。 -
図13 臼歯インレー修復 術前。 -
図14 臼歯インレー修復 術後。 - (症例写真提供:シロナデンタルシステムズ社)
おわりに
患者の審美の高まりや金属アレルギーへの関心の高まりと共に、経済性やタイムセービングなど、患者を満足させることが歯科医院経営の活性化の大きなポイントといわれている中で、CAD/CAMを応用したセレックシステムを「患者満足」を可能にする新手法として取り入れて頂ければ、日常の臨床に益々幅が出てくるものと考える。
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