①フィジオクリーンキラリ錠剤の開発

弊社は2003年、義歯のトータルクリーニング提案として『フィジオクリーン』という入れ歯洗浄剤製品を3商品発売致しました。
この洗浄剤は、義歯をメンテナンスすることを目的としており、医院用と家庭用に分けられます。歯科医院等で短時間のうちに患者さんの義歯を奇麗にする「フィジオクリーンプロ歯石用」と「フィジオクリーンプロ色素用」の2製品と、家庭で義歯を清潔に保つ「フィジオクリーンキラリ」です。
今回、家庭用入れ歯洗浄剤『フィジオクリーンキラリ』の改良を行い、顆粒から錠剤へ剤形変更し、『フィジオクリーンキラリ錠剤』として新発売となりましたので、ご紹介させていただきます。
優れた性能はそのままに、錠剤化することで使用時の操作性を改善しております（図1、2）。

②時代背景と入れ歯洗浄剤市場

高齢社会白書^1）によると、平成18年度の日本の高齢化率は、過去最高の20.8％となっており、2055年には40.5％に達するとみられています。これに伴い、入れ歯洗浄剤全体の市場は徐々に拡大傾向にあります（2005年：137億円前年比103.2％）^2）。
また、高齢者の増加だけでなく、団塊シニアと呼ばれる世代の方々が義歯使用者となります。定年を迎え、時間的・金銭的余裕もある嗜好のはっきりした方々は、自身の健康にも強い関心を持たれるでしょうし、歯科医療に関しても同様と考えられます。それが「入れ歯洗浄剤市場」の活性化につながると予想されます。
このように考えますと、今後より一層の入れ歯洗浄剤市場の拡大・活性化が見込めるのではないかと思います。
そこで弊社では、家庭用入れ歯洗浄剤『フィジオクリーンキラリ錠剤』の新発売をきっかけに、改めてトータルクリーニングについてご提案できればと考えております。

①現状

義歯使用者の現状として独自アンケートを実施（図3）したところ、全体の6割強が部分床義歯使用者（図4）であったことや、就寝中に浸け置き洗いをする人が多い（図5）という傾向もみられました。
また、入れ歯についた洗浄剤香料の匂いが苦手という意見も聞かれました。

②開発目標

そこでアンケート結果を踏まえ、以下の目標を設定しました。
①キラリ従来品の錠剤化。
②金属部品の多い、部分床義歯に対応したもの。
③長時間の浸け置き洗いでも入れ歯を傷めないもの。
④無香料であること。

①特長

設定した目標に対し、実際のキラリ錠剤の特長は次頁4点となります。
①高い洗浄力
キラリ従来品の洗浄力は高いとの評価を頂いておりましたが、今回新発売となるキラリ錠剤も、高い洗浄力を有します。
アンケートによる性能評価においても『義歯表面のヌルヌル感がとれた』との回答が得られました（図6）。
②金属部品の多い部分床義歯も使用可能
キラリ錠剤は金属への影響も少なくなりました。そのため安心して就寝中に浸け置き洗いが可能です（図7）。
また、図8に示す通り、キラリ従来品ではチタンの変色がみられましたが、キラリ錠剤は問題なく幅広い使用が可能な入れ歯洗浄剤となりました（※ただしティシュコンディショナー等、一部の軟質材料には使用不可です）。
③無香料
従来品と同様、キラリ錠剤も無香料としました。無香料で義歯自体の匂いの変化が分かり易くなるためか、アンケートによる性能評価では50％以上の方が、「義歯の臭いがよくとれた」と感じられる結果となりました（図9）。
④発泡性持続
キラリ錠剤は概ね20分以上発泡が持続します。発泡の主な役割は、洗浄過程において義歯から溶液に分散された汚れを、泡表面に吸着させ液面に浮かびあがらせることと考えられています^3）。

②その他の特長

①イメージカラー
キラリ錠剤のイメージカラーとして、黄色を採用しました。
『キラリ＝黄色の箱』として患者さんにより早く憶えていただきたいと思います。
②ハートフルパッケージ
錠剤1回分ずつの包装としました。アンケートでも77％の方が開封しやすいと感じています。箱の閉じ部分もワンタッチ式にしています（図10、11）。
③保温カップ
専用の保温カップも揃えております（図12）。
専用カップの使用により、一層効果的な洗浄を促すだけでなく、洗浄液誤飲の危険性を少しでも防げればと考えております。

今回の独自アンケート調査によると（図13、14）、
①義歯のお手入れに、入れ歯洗浄剤を使用しない　40％
②医院で義歯に関する指導を受けたことがない　44％
という結果が出ております。
義歯の定期メンテナンス、義歯使用者のQOL向上のためにも、新発売「フィジオクリーンキラリ錠剤」を含むフィジオクリーン3製品によるトータルクリーニングをご一考いただければ幸いです。またそれが、他の治療のきっかけに繋がる等、少しでも先生方のお役に立てれば幸いです。