大分県中津市 医療法人加来歯科 理事長加来 敏男

祖父・福多が開業したのが90年前、医院を父・敏秀が受け継いだ後、私が引き継いで21年になりました。治療技術や診療に対する考え方は、祖父や父の世代とはすっかり様変わりしましたが、「患者さんという人間を診る医療」は、今も私の原点です。
生涯の健康をめざしている現代社会にあっては、「最新の技術による最善の治療」こそが、医療人としての私の使命だと考えています。
毎日、実にさまざまな患者さんが多様な疾患の悩みをかかえて来院されます。そのような患者さんの気持ちを推し量りつつ、いつも心がけているのは、インフォームドコンセントに徹しながら、患者さんの状況に適した予防的・包括的な治療をしてさしあげるということです。
臨床家にとって、窩洞形成、支台歯形成、金属補綴物の研削など、日常的な補綴修復治療や歯内治療は、高度な技術と精神的な集中力が欠かせないと思います。
そのような観点に立てば、使用頻度が高いエアータービンに、耐久性と信頼性がとくに強く求められるのは、当然と言えば当然です。それだけに、エアータービンには、高トルク・高速回転から生まれる切削力の安定性が、とくに要求されることは言うまでもありません。安定した切削力が備わってこそ、効率的かつ安全・確実な形成、研削が可能になるからです。
従来から、他社製のボールベアリング式エアータービンをメインに使用していましたが、耐用年数を迎えたことなども重なって、昨年11月の発売とほぼ同時にツインパワータービンXシリーズを買い求めました。
私が、このXシリーズを選択した理由は、まず第1に、より万全なインフェクションコントロールが可能になったことです。歯科治療領域のインフェクションコントロールにゴールはありませんし、私たち医療人は、一瞬たりとも怠ることは許されません。
人為的なケアレスミスであれ、システムエラーであれ、絶対に許されないことですが、オートクレーブ滅菌、超音波洗浄、紫外線滅菌保管などによっても、感染を完全にシャットアウトすることは困難であることも事実ではないでしょうか。
しかし、未然に防止するというシステムが確立されれば、それは十分に可能になります。それが、このXシリーズに搭載された、独自のゼロサックバック（吸い込み防止）機能なのです。

タービンの給気エアーを止めた時、惰性でタービンが回り続け、サックバック（吸い込み）現象が起こります。しかし、Xシリーズはゼロサックバック機能が働きますので、給気停止時の切削粉や唾液、血液の吸い込みを未然に防止することができるのです。
このゼロサックバック機能は、遠心力で加圧されたアンチサックバックディフューザー内の空気を、ヘッド外に押し出し、サックバックの発生をゼロに抑える画期的な仕組みです。
第2に、Xシリーズは、ボールベアリング式エアータービンでは、開発が難しいとされていたクイックセーフティストップ機能を備えていることです。
つまり、エアーの供給が停止すると同時に、ブレーキリングの働きによって、高速回転中でも2秒以内にクイックストップしますので、効率的で安全性の高い治療が行えることにつながっているのです。
第3に、Xシリーズのヘッド部はコンパクトなデザインながら、高いトルクと強力なパワーを備えていることです。いうまでもなく、患者さんの口腔内で使うすべての器具類はコンパクトであることが重要な条件です。
スタンダードタイプは最大パワー約22Wで、高いトルクと鋭い切削力がありますので、窩洞形成や支台歯形成、金属補綴物の研削などに適しています。
第4に、不快感を感じる音を大幅に低減した静音設計も大きな利点です。Xシリーズは、先進の流体力学と超精密加工技術を融合させ、患者さんが不快と感じる6,000～7,000Hzの音域を大幅にカットしていますので、患者さんのストレスが緩和されるとともに、静かな診療環境も保たれています。
Xシリーズを使ってからは、とくに子どもの患者さんが切削音をあまり恐がらなくなりました。
第5に、Ｘシリーズは、他社ユニットのカップリングに直接接続できるように、5タイプが開発されていることです。つまり、チューブやカップリングの交換が要らないので、とてもユーザー指向のラインナップになっているのです。先生方の選択肢が広がったという見地からも、Xシリーズの特筆すべき利点でしょう。