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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Field Report
フュージョンウェッジをラインナップ より精度の高い歯牙形態を再現する3Dマトリックスシステム
福岡市城南区 佐伯歯科クリニック 院長 佐伯 剛

患者さんの口腔内の現状がなぜそうなったのか思考を凝らし推察すると、過去の状況が見えてきます。その過去から現在までの変化を観察することで、未来をある程度イメージできます。その未来を良いものに変えていくお手伝いができればと思い、診療を行っています。具体的には、治療前に基礎資料としてX線・口腔内写真撮影や歯周病検査をし、同時に顔貌写真撮影も行っています。口腔内の病変は局所的な事象で、顔貌を確認することで、骨格の状態や根本的なリスクが見えてくることもあります。例えば、患者さんに「なぜここに虫歯ができたと思いますか?」と尋ねると、ほとんどの方は「歯磨きをサボってしまったから…」とおっしゃいますが、骨格や歯列などの条件が悪いことから、当該歯に不適切な力が加わり、結果的に虫歯になった可能性も考えられます。このように、局所だけを見て削って詰めて治せばいいのではなく、根本的な部分からアプローチしたうえで、治療の必要性について理解してもらうことも大事だと考えています。初診の患者さんで銀歯が入っていることがあるのですが、二次う蝕になっていたり、銀歯自体の適合性に問題があることがよくあります。銀歯の場合、保持・抵抗・便宜形態を十分に確保しなければなりませんから、必然的に切削量は多くなります。その点でCRによる直接修復だと基本的には患部のみを削ってそこを補えばいいわけですから、生体にとっては一番害が少ない治療方法だと考えています。特に近年は接着技術も向上し、二次う蝕のリスクもかなり少なくなっていると感じています。ただ、日常的に遭遇する二級窩洞の修復は一見簡単そうに見えますが、隣接面を作る部分は意外と難しく、ある程度のテクニックが必要です。当院では月に20本ほど自費によるCR修復を行いますが、そのうち15本くらいはマトリックスシステムを使って修復を行っています。これまでいろいろな器具や方法を試してきて、現状で100点満点とはいきませんが、ある程度のところまでは回復できるようになりました。最近はギャリソンのコンポジタイト3Dシリーズを使うことが多いです。歯冠部のマトリックスの適合部分までしっかりサポートしてくれるので、充填後の形態修正が少なくて済みます。また、リングの離開力が強いのも特徴の一つです。辺縁隆線とコンタクトポイントを再現する際、リングの離開力はとても重要で、歯と歯の間をリングで一度グッと広げた状態で充填を行い、充填後に歯と歯が押し合うような形を作ることが理想なのですが、コンポジタイトを使用することでそのようなタイトなコンタクトポイントを保つことができます。また、ギャリソンの3Dリテーナーならリング脚部の隙間からウェッジをより大きいタイプにチェンジすることで、歯とマトリックスを再度圧接できるように調整することも可能です。窩洞が大きいケースや隣接面を回復する量が多い場合だと、窩洞の中にリングの脚が入ってしまうので、適応症としては、歯牙の形態がある程度残っていることが条件になるでしょう。通常の二級窩洞では問題ありませんが、咬頭がない場合などは、3Dではないスタンダードタイプを工夫して使うことで対応することもあります。マトリックスバンドは複雑な形状の修復を除いてはメタル素材のスリックバンドを使用しています。この製品の利点は厚みと賦形性です。3D形状が歯冠の形と近似していることが多いので扱いやすいですし、適度なコシもあります。また、表面がコーティング加工されているためエアーをかけただけでボンディング材がスッと飛んでいってくれます。さらに、新しくラインナップとして追加されたフュージョンウェッジもとても使い勝手が良いですね。表面のフィンがウェッジの戻りを防止して、マトリックスをしっかり押さえてくれています。また、ウェッジごとリングで圧接する時に適度に分散して圧接してくれるのでとても重宝しています。こうしたマトリックスの応用に躊躇される先生方もおられるようですが、現在の歯科診療においてはCR修復が患者・術者の双方にとって最もメリットのある治療法だと思います。そうなればマトリックスを使わない手はありません。ぜひチャレンジして診療の幅を広げると同時に精度も高めていただきたいと思います。