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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Field Report
歯科用CBCT 導入の経緯と根管治療での有用性
東京都千代田区 岡口歯科クリニック 院長 岡口 守雄

歯科用CBCT選びには非常に多くの時間を費やし、結果的には数年がかりになりました。それは望むような画質を再現できる機種となかなか巡り会えなかったためです。歯科用CBCTの導入の主な目的は根管治療の精査・診断での活用でした。根管は三次元的に枝葉のように分岐し、イスムスやフィンのような解剖学的隙間が存在するなど、非常に複雑な形態をしています。そのため、高精細にどれだけ根の状態を知ることができるかが採用する際の重要な条件でした。最初に導入を検討してから数年が経った頃、モリタ社製CBCTで撮影した埋伏歯の水平断像を見せていただく機会がありました。それまでにも自分の歯根をさまざまなCTで試し撮りし、画像を見比べてきましたが、どれも納得のいく画質ではありませんでした。ところが、そのとき見せられた画像は3DでありながらもデンタルX線写真のような質感とクオリティで、ようやく条件に見合うCBCTが見つけられたと感じました。そして、モリタ社製の中でも最終的に「3DX Accuitomo F17」を採用するに至りました。簡単かつ正確な位置付けを可能にするトリプルレーザービームなどの機能、X線が透過しやすい部位への照射線量を低減できるDose Reduction機能、何よりも根管内の側枝まで分かるほどの高品質な3D画像、しかも広範囲で顎位と左右顎関節まで撮影できることが採用の決め手となりました。3DXの高精細さが分かる一例として、症例を提示します。この患者さんは前医での根管治療後も痛みが残り、抜歯の選択を迫られている方でした。前医でもCTによる撮影を行ってはいましたが、痛みの原因が分からず、保存を強く希望されたことから当院を紹介されました。診査の結果、MB1は治療されていたものの、その近くにあったMB2は未処置であることが分かりました。再根管治療後は、痛みはなくなり、保存することができました。3DXは80ミクロンの単位まで高精細に撮影が行えるように開発されているため、歯根の精細で複雑な形態はもちろんのこと、従来では見過ごされていた病変を発見できたり、あるいは、1/100ミリ単位で歯根の長さや破折ファイルを計測することができるなど、その有用性はとても大きなものです。例えば、街灯も何もない暗い夜道を歩くことは非常に困難です。しかし、そこに懐中電灯があれば、道を探しながら歩くことができるでしょう。さらに、事前に地図があれば、より正確にゴールを目指すことができるでしょう。懐中電灯はマイクロスコープであり、地図は歯科用CBCTです。この2つを効果的に組み合わせることで、これまで保存困難とされていた歯であっても保存が可能となりました。つまり治療を成功へと導く確率を飛躍的に伸ばすことができるようになったのです。近年、歯科用CBCTを導入される開業医の先生方が増えています。従来から行われているインプラント治療の診査・診断、あるいは前述のような根管治療における診査・診断に限らず、歯列や骨、また、顎関節の状態を三次元的に詳細に把握できる歯科用CBCTは、矯正治療や歯周病治療などにおいても非常に有用なものです。今後もより多くの臨床場面で活用されるようになるのではないかと思っています。だからこそ、導入に際しては、何年先であっても信頼して使用できる機種、とりわけ、様々な用途に活用できるように高精細な画像を得られる機種を選択されることを私はお薦めします。