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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Clinical Report
新型歯面清掃器「エアフローハンディ3.0 シリーズ」を活用する
木原歯科医院 牧江 寿子

ハンディジェットとの出会い私の仕事の1日の大半はリコール患者さんのメインテナンス業務です。その時になくてはならない器材のひとつに歯面清掃器があります。歯面清掃器ハンディジェット(図1)の1台目を使い始めたのが2010年でした。ハンディジェットのパウダーはミント(炭酸水素ナトリウム/平均粒子径65μm)とリコール(グリシン/平均粒子径65μm)、PMTC(グリシン/平均粒子径25μm)の3種類ですが、私が利用しているのはリコールとPMTCの2種類です。炭酸水素ナトリウムは歯面を傷つけやすく、最終研磨をしなければ使用後一時的に歯牙の艶がなくなる(図2、3)ので使用していません。購入当初はステインの沈着具合によりパウダーを選択し、パウダーを移し替えながら使用していました。1台で2種類のパウダーを使用するということはパウダーの交換がとても面倒です。使用頻度から考えてもう1台あった方が仕事の効率が上がると考え2台目を購入し、リコール専用器、PMTC専用器としてハンディジェットを使用するようになりました。ハンディジェットを導入する前はステイン除去を超音波スケーラーやポリッシングペーストをつけたラバーカップかロビンソンブラシで行っていました。図4、5の下顎の前歯部のステイン除去はラバーカップやロビンソンブラシで行うと5分以上かかっていましたが、ハンディジェットを使うことで1分以内で終えることができました。仕事効率が上がることでチェアタイムが短くなり患者さんも術者も楽ができますね。エアフローハンディ3.0シリーズエアフローハンディ3.0 Plus を使わせていただきました。エアフローハンディ3.0 Plus は、PMTCパウダー専用器で2種類のハンドピースを接続することができます。縁上にはエアフローハンドピースPlus、縁下にはペリオフローハンドピース(別売)を用います(図6)。また、エアフローハンディ3.0(図7)は、縁上の歯面清掃に用い、ミントパウダーとリコールパウダーを使用することができます。今までのハンディジェットは3種類のパウダーを同機種で使用できましたが、エアフローハンディ3.0 シリーズは機器により、パウダーを使い分けます。チャンバー部の形状が変わり、把持はハンディジェットより安定感があり操作しやすくなりました。ハンディジェットと比べてみるとパウダーの噴出量が格段に安定しました。ハンディジェットはチャンバー内のパウダーが少なくなると噴出量も比例して少なくなりましたが、エアフローハンディ3.0 シリーズはチャンバー内のパウダーがなくなるまで噴出量が安定しています。パウダーもチャンバー内に多く入るようになり、5分間の使用時間延長が可能になりました。そしてメインテナンス方法が容易になり、毎日使いましたが一度も粉詰まりすることがありませんでした。ペリオフローハンドピース(縁下用のペリオフローノズル)(図8)注目の縁下用のペリオフローノズルはディスポーサブルで衛生的です。これは縁下がルーズに開いているケースに利用できます。図9-12のインプラント周囲粘膜炎のケースではペリオフローノズルで縁下をクリーニングし、DENT.EX Implant-Care TR(ライオン歯科材)をセルフケアで使用してもらい、2週間後の来院時には歯肉は引き締まり出血がなくなっていました。インプラント周囲粘膜炎を早期に発見してインプラント周囲炎になる前に治すことが大切です。図13は上顎第一大臼歯の近心?側根と口蓋根の間の根分岐部病変のケースです。プロービング値が深くても幅が狭かったり、歯肉がタイトに引き締まっていたりすると使うことはできませんのでペリオフローノズルを使うことができるケースは限られます。清掃ポジションについて(図14-16)エアフローハンディ3.0 Plus は噴射口を歯肉辺縁に向けて使用でき、歯肉辺縁のバイオフィルムが除去できますが、エアフローハンディ3.0 はリコールパウダー、ミントパウダー専用器なので歯肉溝に向けては使用できません。エアフローハンディ3.0 シリーズの臨床応用例①縁上縁下のバイオフィルムの除去(図17-19)② インプラント周囲のバイオフィルムの除去(図20-22)③ステインの除去④ シーラント施術前の小窩裂溝の清掃(図23-25)⑤矯正装置周囲の清掃(図26、27)。定期検診時のクリーニングの実際①術者磨き染め出しして歯磨剤を歯ブラシにつけ術者磨きをします。染め出しの第一目的が磨き残しを指導するためではなく、クリーニングするためなので患者さんに与えるプレッシャーが少なくなります。心地の良い術者磨きを施すことで患者さんがそれを真似するようになり、患者さんのプラークコントロール能力が自然と上がります。② エアフローハンディ3.0 でバイオフィルムやステインの除去通常粉はエアフローハンディ3.0Plus とPMTCパウダーを使用しますが、それで除去できない時はエアフローハンディ3.0 とリコールパウダーを使用します。③ 超音波スケーラーで歯肉縁上縁下の歯石とバイオフィルムの除去知覚過敏がある部位は超音波スケーラーを使用せずハンドスケーリングをします。④ 縁下の沈着物および付着物の最終確認と除去(図28) 探針で歯肉溝内を探知し、歯石やバイオフィルムをハンドスケーラーで完全に除去します。 エアフローハンディ3.0 シリーズの使用上の注意・PMTCパウダーは歯肉辺縁に向けて使用することができますが、角化歯肉がない部位に使用すると歯肉が傷つき出血しますので注意が必要です(図29)。・舌にパウダーを吹き付けてしまうと傷つき出血しますので、誤って舌にパウダーを当てないように気をつけましょう。・皮膚にグリシンパウダーがかかると痒みがでることがあります。特にアトピー性皮膚炎のある患者さんは著明に痒みがでます。フェイスカバーをして、皮膚にパウダーがかからない工夫が必要です。今後の展望エアフローハンディ3.0 シリーズを用いた歯面清掃は圧倒的スピードとバイオフィルム除去効率の高さが魅力です。縁上においての操作性は完成されていますが、縁下用のペリオフローノズルの操作性の向上が今後の課題だと思います。現在、試行錯誤で行われているインプラント周囲炎のケアがもっと柔軟にエアフローハンディ3.0 Plus で対応できるようになることを期待します。そしてパウダーの種類ですが、今ある3種類に加えて新たなパウダーの登場も待ち遠しいところです。歯科衛生士の三種の神器の一つとしてあげられているエアフローハンディ3.0 シリーズは近未来においてプロフェッショナルケアの中心になる可能性は十分にあると確信しています。