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DMR ディー・エム・アール

No.205 2002年5月21日発行
さらに進化した根管治療機器デンタポート
小林千尋

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人に優しい歯科診療を考えるデンタルをテーマに明るい情報をお届けします。ISSN 0915-0765はじめに ニッケルチタンファイルをトライオートZXに装着して用いることにより、最近では、手指で行うよりも、より早くよりきれいに根管形成することが可能となった。モリタ製作所と筆者がトライオートZXを共同開発して6 年になるが、トライオートZXは、ニッケルチタンファイル用に作られオートスタート・ストップ機構、オートトルクリバース機構、オートアピカルリバース機構という3つの自動機構を持つ世界で最初の歯内療法用ハンドピースであった。今回、モリタ製作所との共同開発により、さらに多くの機能を持つデンタポート《図1》を開発した。デンタポートは、2 つの機器から構成される《図2》。一つはデンタポートZX(根管長測定モジュール)であり単独で使用したときにはルートZXとして働く。もう一つはトライオートZXとしてのエンジンの機能を付加するトライオートZXモジュール(根管拡大モジュール)である。トライオートZXモジュールは単独では機能することはできず、デンタポートZXと合体させたときに、はじめてデンタポートZXにトライオートZXとしての機能を付加することができる。つまり、最初はデンタポートZXだけ購入し、後にトライオートZXモジュールとハンドピースを買い足すことが可能である。さらに進化した根管治療機器デンタポート根管長測定・根管形成をより確実に行う歯内療法用機器が誕生しました。東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科歯髄生物学分野 助教授: 小 林 千 尋図2 デンタポートは、2つの機器から構成される。左はデンタポートZX、右はトライオートZXモジュールである。デンタポートZXは単独でルートZXとして用いることができる。C O N T E N T S  根管長測定・根管形成をより確実に行う   歯内療法用機器が誕生しました。   さらに進化した根管治療機器  デンタポート●デンタポートZX単独での使用法●2つの機器を合体させた根管形成モードでの機能●2つの機器を合体させたTri Autoモードでの使用法特集図 1 デンタポート全体図図3 デンタポートZX(背面)図4 デンタポートZXの組立。ファイルホルダーと対極を接続し電気的根管長測定する。 図7 根管形成時のトルクの大きさはメーターパネルに表示される。A:ファイルに大きなトルクが生じているとき。B:小さいトルクのとき。図5 デンタポートZXのメーターパネル。電気的根管長測定のメーター値(根管長バー)がここに表示される。下部のSELECTスイッチで機能を選択し、SETスイッチを押し、アラーム音の大きさ、アピカルドットの位置を調整することができる。(最終ページの「画面表示と操作系」参照)図6 Tri Auto モード時のメーターパネル。AB デンタポートZX(ルートZX部)   単独での使用方(Rootモード) デンタポートZXは背面に単3 乾電池を3 つ入れることによって、ルートZXとして機能させることができる。《図3、4、5》 2つの機器を 合体させた根管形成 モードでの機能  (Tri Auto モード) デンタポートのトライオートZXからの新たな変更点は以下の通りである。1. ハンドピースが小型軽量化された2. 回転数を50~800rpmの範囲で変え られるようにした。3. 作業中の回転数の変動がほとんど なくなった。4. 回転数がデジタルで表示されるよう になった。《図6》5. 根尖狭窄部に近づくと徐々に回転数 が低下する、アピカル・スローダウン モードが新たに設けられた。6. トルクリミットの大きさを任意に変え られるようにした。7. トルクの大きさ・変動がリアルタイ ムでメーターに表示される。《図7》8. フットペダルがオプションとして 準備されているので、オートスタ ートが働きにくいときに用いると 有効である。《図8》9. オートアピカルリバースかオートア ピカルストップのどちらかを選べ るようになった。10. 1回の充電で、連続約2時間動作す ることができる。(トライオートZX の約2倍以上)11. 回転数・トルクリミットなどを変 更した設定を3 種類記憶させ、簡 単に呼び出すことができる。12. 根管長測定のメーター値が読み取 りやすくなった。 要するに、多種の設定を術者の好みにより、より細かく設定することができるようになったのが大きな改良点である。 主な機能はデンタポートZXのメーターパネルに表示され、下部のスイッチで調整することができる。主な機能の設定1. 回転数の変更 回転数は、MODE1~3のいずれかでS E L E C T スイッチを何度か押して回転数のデジタル表示が点滅したところで、SETスイッチを押すと1回押すごとに回転数のデジタル表示が変化する。そのまま、作業を開始すると、その回転数が記憶される。通常、ProFile、Orifice Shaperでは毎分300回転、GT rotaryでは毎分250回転程度が適当である。ゆっくり回っているように見えても手指で形成するよりはずっと早いので、遅めの回転数の方がニッケルチタンファイルが折れにくく安全である。2. アピカル・スローダウンモード アピカル・スローダウンモードとは、ファイルが根尖狭窄部に近づくにつれて、モーターの回転数が自動的に低下する機構である。この機構により、根尖狭窄部付近では根管が急激に彎曲することがあるが、そのような部位でもより安全に根管形成でき さらに進化した根管治療機器 デンタポート12図9 ハンドピースのコードを←に挿入する。ハンドピースのコードが接続されていないと、Tri Autoモードでもメーターパネルの表示は図5と同じになる。←←にはフットペダルのコードが接続されている。図10 ハンドピースのコードの中間部分のコネクターに対極とファイルホルダーのコードをセットする。図11 対極を患者さんの口角に置く。図8 フットペダル 図12 デンタポートにニッケルチタンファイルを装着し根管形成している。←←←フットペダルハンドピースる。また、この機構は任意にオン・オフできる。付加設定機能を用いてセットする。3. トルク値の変更 トルク値は、MODE 1~3のいずれかでS E L E C T スイッチを何度か押してトルクドットが点滅したところで、SETスイッチを押すと1回押すごとにトルクドットが下に動く(下の方がトルクが大きくなる)。このようにして、オートトルクリバース機構が開始するトルク値の大きさを変更する。 トライオートZXのオートトルクリバース機構とは、あまり大きなトルクがファイルに加わるとファイルを折る危険があるので、過剰なトルクが生じたときにファイルを逆回転させ食い込みから開放させる機構であった。 トルク値が大きいとオートトルクリバース機構が働きにくくなる。 すなわち、ファイルは強く回転し、作業効率はよいが細いファイルでは破折の危険がある。逆にトルク値が小さいとオートトルクリバース機構 がすぐに働く。すなわち、ファイルはすぐに逆回転するので、全然切れないが細いファイルでも破折の危険が少ない。そこで、最初は低めのトルク値でしばらく練習し、慣れてきたら強めのトルクで作業したほうが能率がよいことになる。  トルクの大きさはメーターパネルにリアルタイムで表示される《図7》ので、手に感じるトルクの大きさとメーター値との関係を早く関連づけるようにし、自分の術式に合った作業時のトルクの大きさを覚えるようにする。4.フットペダル(オプション) 感染根管治療における根管上部の形成、ガッタパーチャを除去しているときなど、根管内が乾燥しているときには測定電流が流れないので、オートスタート機構が働かない。 すなわち、モーターが回りださない。 このようなときに、トライオートZXではマニュアルモードで使っている人が多かったが、マニュアルモードではオートトルクリバース機構  が働かないので、ファイルが食い込み抜けなくなることがあった。   フットペダルがあると、モーターが回転しないときには、フットペダルを踏めば回転が開始する。また、ファイル電極がセットしてあれば、電気的根管長測定できるようになる(根管内で測定電流が流れ出す)と、各種のオート機構が自動的に作動する(根管長のメーター値が表示される)ようになるので、そうなったときはもうフットペダルを踏む必要はない。 2つの機器を 合体させた Tri Autoモードでの 使用法 トライオートZXあるいは、デンタポートでは、ニッケルチタンファイルで安全かつ手早く根管形成できるように最大限の配慮をして開発しているのであるが、それでもニッケルチタンファイルは折れやすいので、かなり抜去歯根管模型《図15》など3図13 充電。週に1~2回トライオートZXモジュールの左側面にあるジャックに充電器のコードを接続し充電する。安全のため、充電中デンタポートは作動しない。約2時間で充電は完了する。図14 右上第2小臼歯術後のX線写真、デンタポートにOrifice Shaper、ProFile、GT rotaryを装着して形成した。根尖部の彎曲がよく保たれている。 図15 練習用模型。めんどうでも、このように電気的根管長測定できる模型を作って練習するとよい。フィルムケースを使っている。A:フィルムケースのフタを削って歯と対極を貫通させる。歯は動きやすいので即時重合レジンで固定する。B:フィルムケース内には食塩水を満たしフタをする。対極をワニ口クリップではさむ。Rootモード操作パネルと画面表示Tri Autoモードで練習してから臨床応用しなくてはならない。これは、新しく開発したデンタポートでも変わらない。何でも自動化され、ただ何の考えもなく使用しても誰でも最初から上手にニッケルチタンファイルで根管形成できるように勘違いされやすいが、ファイルの破折を絶対に起こさないようになるにはかなりの修練を要する。 実際には修練によって、トルクの大きさに応じてハンドピースを上下動させることによって、最高の効率で最も安全に作業することが可能になる。 それでも、ニッケルチタンファイルを用いるのは、ニッケルチタンファイルでは最良の根管形成ができるからである。《図9~14》 また、従来のトライオートZXは、調整できる箇所が少なく電気的根管長測定のメーター値も読み取りにくいが、機能が凝縮されておりコードレスであるという特長があるので、ニッケルチタンファイルでの根管形成に慣れた術者はトライオートZXを従来通り用いることができる。デンタル・マンスリーレポート No.205 2002年5月10日発行PUB No. SPC2-06.167-1-000.0205.85,500 NY-SU編集・発行 DMR編集室www.dental-plaza.com●このパンフレットは再生紙を使用しています。東京本社 東京都台東区上野2-11-15 〒110-8513 TEL:03-3834-6161大阪本社 大阪府吹田市垂水町3-33-18 〒564-8650 TEL:06-6380-2525音量はOFF、小、大に設定可能ブザー音量メモリ番号バッテリー残量アピカルドットMODEスイッチPOWERスイッチSETスイッチSELECTスイッチアピカルドットを複数設定したい場合は、R o o t モードで2 種(M1、2)エンドドンティックモード1種(M3)の記憶が可能。2~APEXの範囲で設定可能。ブザー音量モーター停止時間トルクバートルクドットバッテリー残量根尖でのモーター回転アピカルドットMODEスイッチPOWERスイッチ SETスイッチSELECTスイッチモーター回転設定がREVERSE時、モーターが反転するまでの待ち時間を0、0.25、0.5、1秒の範囲で設定可能。1( 約0 . 2 A )~11(約2A)の間で設定可能モーター回転数50~800rpmの間で設定可能メモリ番号各種設定を最大3種記憶が設定満充電で約2時間使用可能アピカルドット設定位置でのモータ動作をREVERSE、STOPに設定可能モーター駆動設定モーター駆動はAUTO、MANUALに設定可能モーター速度制御モーター速度をNORMAL、MANUALに設定可能A B●掲載商品は予告なく仕様変更することがありますので予めご了承ください。