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第14回(121号)

この医院で働きたい~ブランディングの確立~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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この医院で働きたい~ブランディングの確立~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

今年3月末、東京の六本木に国内最大級のオフィスメディカルセンターがオープンしました。そのセンターには、クリニック(総合病院)・デンタルクリニック・サプリメントセンターなどが入るそうです。六本木に新しく誕生する複合都市の中に位置し、病院の階上には、世界有数の超高級5つ星ホテルが入っています。
その病院とは、全米ベストホスピタルランキングで16年間1位を保ち続けているという有名な病院と提携したという日本初進出の病院だそうです。全米ホスピタルランキングでの顧客満足度基準は、患者側から見た“ホスピタリティ”“設備の充実”“医療技術”“人員配置”など細部にわたるそうです。その中での堂々1位です。年間外来患者数も200万人、入院患者数約8万人といいますから絶対的な信頼ですね。素晴らしいの一言です。
この病院の考え方で印象的であったことは、「患者満足度は働くものの満足度と比例する」という考え方です。「患者様に最高のサービスを提供したいのなら、まず働くスタッフを満足させなくてはならない」という考え方に基づいたシステムが確立されており、日本でオープンするそのクリニックにもそのシステムを導入するのだそうです。…という話を聞くと、いまは病気でない私も患者側として、またインストラクターとしても何とかしてその病院を見に行ってみたいものだと思ってしまいました。注目され、話題になっているだけに回りの期待はさぞかし大きいことでしょう。
東京でオープンする話が流れ始めるやいなや、この病院も、その階上にある5つ星ホテルにも、「ここで働きたい」との問い合わせや応募が早くから寄せられたそうです。その病院もホテルもいずれの場合もホスピタリティのトップクラスです。ベストホスピタルランキング1位、5つ星ホテルという職場に憧れと仕事のやりがいを求めて人は集まるのだと思います。それにしても16年間もどうすれば一位を保ち続けることができるのでしょうか…。
さて日本でも、ここ10年来患者満足度という言葉が当たり前のように聞かれるようになり、努力をしている病院や医院が増えてきました。インターネットや雑誌、さまざまな機関で調査を行っており、その結果、その年毎に一位に挙げられる病院はいくつもあります。
先日、私が研修でお世話になっている病院が、ある雑誌の調査で西日本の病院の一位になりました。病院の事務部長にお会いした際に、「おめでとうございます。よかったですね!」と申し上げると、事務部長は「いや~、喜んでばかりもいられないんですよ。逆にえらいことになったな~と思っているんですよ」と手放しでは喜んでいらっしゃらないのです。
「いくら一位になってもその一方で今朝もクレーム対応に追われていたんですよ。これから“一位になった病院”ということで患者様も期待していらっしゃるだろうから、見る目はさらに厳しくなると思います。正直、これは大変なことになった!さらに力を入れて底上げをしなければならないですよ」と冷静に受け止めていらっしゃいました。
確かにそうだと思いました。一回応対研修をしたから大丈夫!優秀なスタッフが来たから大丈夫!最新の設備を導入したから大丈夫!…ではないのです。確かにそのときには、スタッフのレベルは上がり患者満足度も上がるかもしれませんが、高い意識を保ち続けることは容易ではありません。常に目標を前に置き、それを追い続け、自己研鑽しなければ、やがてマンネリ化してくることでしょう。

話は変わりますが、インターネット上で素敵な歯科医院のホームページを見つけました。この医院もある調査で一位になった医院です(このホームページにはそんなことは書かれていません)。
院長がいつも更新しているのですが、スタッフの意見やある日の患者さんとのやり取りを始めとして医院としての患者対応への取り組みや熱い思いがつづられています。クレームについても院長自ら公表し、それについてどのように対処したのかも書かれていました。
スタッフの中にはこのホームページを見て「この医院で働きたい!」とやりがいを求めて応募してきた方も少なくないようです。スタッフの声を拝見していると、どの方も目標を持ち、生き生きと仕事をしていて、笑顔があふれている医院が見えてくるように感じました。
この医院では、毎年各スタッフが自己目標を立てるそうです。院長がおっしゃるには、目を通すたびに毎年内容が充実してきているのが分かるそうです。
院長はその目標シートを何回も読み直し、各自が立てた目標を達成できるように手助けができているだろうかと常に見返していらっしゃいます。もちろん目標を達成するのはメンバー自身ですが、院長ができることとして、達成できる環境をサポートし、頑張っている姿を見て励まし、声を掛け続けることをされているそうです。できていなければ、できる方法を一緒に考え、できたときには褒める。そしてさらに新しい目標へと導いていく。一過性でもなく、常にとどまることなく…。院長を始めとしてスタッフ全員がこの医院で働くことに誇りとやりがいを感じている活気にあふれた素敵な医院だと思います。まさに患者満足度とスタッフの満足度が比例している医院だと感じました。
いま私がお世話になっている病院も新年度に向けて新たな目標を設定し、地道な取り組みを始めています。目指しているのは、「よいスタッフが長くいてくれ、ここで働きたいと思える、そんな病院にしたい」と語ってくださいました。
つまり目標はスタッフにとっての“ブランディングの確立”です。スタッフ全員がやりがいを持って生き生きと働き、自分の病院に誇りを持ち、自分の家族や知人にも自信を持って勧めることができる…。そんな病院、職場にしたいと上司、管理者、先輩と、一丸となって取り組んでいらっしゃいます。この取り組みを続けることがスタッフの満足度を向上させ、さらによいスタッフが増え、その結果、患者満足にもつながると私は信じています。

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