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第25回(132号)

インフォームドコンセントは双方向コミュニケーション

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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インフォームドコンセントは双方向コミュニケーション

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日、新聞の読者の欄でこんな話を読みました。
Aさんは最近身体の不調が気になり始め、不安を感じたので、この機会に検診を受けようとある病院を訪ねました。
検査が終わり、診断結果を2時間待ってやっと自分の番が回ってきました。診察室に入ると、その病院の医師は一方的に症状や現状について説明を始めました。
説明が終わったので、やっと気になることについて質問したのですが、「大丈夫です」の一言で、それ以上詳しく症状などについて聞いてくれません。そこでもう一度気になることを具体的に言い直してみたのですが、やはり「大丈夫です」の一言で、Aさんへの説明は終わってしまいました。
Aさんは気になっていることが、何か他に考えられる病気や原因があるのではないか、大丈夫というのなら、なぜ大丈夫なのか、などを質問して、もう少し納得いく説明が欲しかったのです。
結局、それができずに不安を抱えたまま、不満を感じて部屋を出てきました。その後、他の検査も申し込んでいましたが、受けないまま帰りました。そして、その病院へは2度と行きたくないと思ったそうです。
“インフォームドコンセント”ということが言われ始めて随分たちますが、本当に正しいインフォームドコンセントはどれぐらい行われているのでしょうか。
インフォームドコンセントという言葉は最近、新聞・雑誌等でよく見られますが、インフォームドコンセントという言葉自体は、「説明と同意」と訳されています。
「インフォームド」というのは、インフォメーションのインフォームドであり、「情報公開」のことです。
特に、これは医師と患者さんの関係を意味するものですから、医師が自分の患者さんに対して、その患者さんが必要とする、もしくは知りたがっているすべての情報を公開することを前提とする、「インフォームド」の部分です。
「コンセント」というのは、「同意」なのですが、実は、医者の勧めることを聞いて、「はい、わかりました。そうしましょう」というのではなく、「医者の与えてくれたたくさんの情報の中から、理解して自分の都合のよい方向を選択して決定する」という意味だそうです。
そうであれば、一方的に説明をしただけでは“インフォームドコンセント”を実行したとはいえないのではないでしょうか。一方的に決まった説明をするのであれば、書面で渡せばよいのです。納得、理解して合意してもらうためには、患者さん側からの質問を聞く必要があります。その質問は患者さんが特に知りたいことなのですから、それに対して“答える”“わかりやすく説明する”という行為が必要でしょう。
つまり、相手に合わせた双方向のコミュニケーションが必要だということです。

話は変わりますが、双方向のコミュニケーションといえば、電器屋さんのような店頭での店員の説明においても言えることです。流暢に一方的な説明が行われても、お客様は自分の場合は使えるかな、こんなときはどうすればよいのだろう、こういう使い方もできるかな…、というように、一般的な説明と自分に合わせた説明を求めています。
そこで、説明を聞いたうえで、色々気になることを質問し、それに対する説明に納得し、いいなと思えば、“買う”と決めるのです。人はどんなに人気があり、優れた商品だといわれても自分に必要だと実感しなければ、買うという行為には至らないのです。
また車を定期点検や修理に出したとします。最近ブレーキの利きが悪いなと感じていたとしたら、それを伝えブレーキパッドをチェックしてもらいます。もしかなり減ってしまっていたら、それを勝手に交換されるのではなく、どれぐらい減っているのか、今交換すべきかどうかなど説明を聞き、納得し初めて交換することに同意します。
このように、説明と同意という双方向のコミュニケーションは、さまざまな場で応用されているはずです。
では、皆さんの歯科医院ではどうでしょうか。
今痛んでいる歯の治療方法について説明するだけでなく、患者さんが気になっていることに対して答え、さらにそれに合わせた説明はなされていますか?
そして、患者さんに理解、納得を得られているでしょうか。そのために患者さんが質問しやすい話し方はもちろんのこと、質問を引き出すことも大切です。
もちろん、このコミュニケーションは治療に関することだけではありません。予約を受ける場合、次回ご用意いただきたい費用の説明、場所の説明、薬の内容と飲み方の説明などさまざまな状況において、“説明と合意(納得、理解)”という行為が必要であり、応用できるということがわかりますよね。
義務だから説明する、マニュアルに書いてあるから伝える、というのではなく、相手が納得、理解して満足していただけるよう双方向の応対、コミュニケーションを心がけていただきたいと思います。

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