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第27回(134号)

リーダーになったら① ~“聴き上手、話させ上手”~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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リーダーになったら①―“聴き上手、話させ上手”―

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

前号では、“もしリーダーとして新人の育成を任せられたら・・・”という状況にある方々に向けての話をさせて頂きました。今回から数回に分けて、そのリーダーとして指導を任せられた方々に必要な意識とスキルについてお話したいと思います。
前回もお話したように、良い仕事、良い患者応対をしていくためには、まず院内コミュニケーションをスムーズにすることが大切です。それらを円滑にするためにリーダーに意識してほしいコミュニケーションは次の6つです。
リーダーの文字を使って、
L(listen)⇒よく耳を傾けて話を聞くこと
E(explain)⇒よく解るように説明すること
A(assist)⇒援助、助けてあげること
D(discuss)⇒よく話し合うこと
E(evaluate)⇒評価する、価値を認めること
R(response)⇒すぐに応じる、答えること
今回はこの中から、まず、“きくこと”について考えて見ましょう。
日本語には“きく”と一言で言っても,いくつもの意味があります。
“聞く”(hear)⇒自然に耳に入ってくること
“訊く”(ask)⇒質問をする、たずねる
“聴く”(listen)⇒耳を傾ける、意識して聞く
というように、幾つかの意味があるのですが、ここで特に必要なスキルは、“聴く”スキルと“訊く”スキルです。別の言い方では積極的傾聴ともいいます。
リーダーの役割の一つに、新人に仕事を教え、成長していく援助をしていくことがありますね。もちろん、知識や技術、仕事を教えていくためには、やはり話し上手でなければなりません。といっても、立て板に水のごとくペラペラと早口で話すことではありません。
話し上手というのは、聞き手の知識や理解度に合わせ、理解できる言葉や順序を考え、事前に頭の中で上手くまとめて伝えることができることを言います。スタッフは一人ひとり性格や経験も違いますし、仕事に対する意欲も違うはずです。同じことを教えてもすんなりと理解できる方もあれば、難しく感じている方もあるでしょう。またわからないことがあってもすぐに質問できる方もいれば、何を質問したらよいかもわからず、取り合えず「はい」「わかりました」と返している方もいるはずなのです。
大切なことは、相手が質問しやすい雰囲気、話し方をするということです。
昔、私にもこんな経験がありました。仕事場の先輩から仕事の説明を受け、「よろしいですか?(何か質問はありませんか?)」と聞かれたのですが、「こんな質問したら怒られるかもしれない…。馬鹿にされるかもしれない…」という不安が先に立ち、「あとで誰かに聞こう」と思い、その先輩には聞きませんでした。
その先輩は仕事はできる方なのですが、いつも淡々としていて仕事以外では皆の話の輪には入りません。また他の後輩がわからないことがあって聞いたときにも「あら、こんなこともわからないの。何聞いてたの?大丈夫!?」と小ばかにした反応を返したのです。一瞬周りの空気が冷たくなりました。言われた後輩も萎縮してそれ以上は質問できませんでした。

そんな彼女でしたから、仕事の指示においては後輩たちも黙って話を聞いていますが、仕事上でわからないことはもちろんのこと、悩みがあっても彼女に相談しようと思う後輩はなく、言われたことを最低限やっておけばよいという気持ちさえありました。彼女と顔を合わせたときには緊張やストレスを感じましたが、それ以外では、いい仲間もいて楽しく仕事ができていたことが救いでした。
しかし、歯科医院という組織の中で日々仕事をしていく上で、このようなストレスがあってはどうでしょう。毎日新しいことを覚えていくことが楽しいどころか、わからないことが積み重なり、失敗してしまい、それを怒られることでさらにやる気がなくなってしまう…という悪いサイクルに入ってしまうかもしれません。そんな状況からスタッフが長続きしなくなるということにも繋がってしまうのです。
仕事ですから失敗はしてはいけないことですし、しっかりと指導する必要はあります。何よりその失敗がなぜ起こってしまったかということが重要なのです。教えたことを理解していなかったのかもしれませんし、説明の仕方が悪かったのかもしれません。もしくはボーっとしていて聞き逃していたのかもしれません。こちらが伝えたつもりでも、相手が全て理解したということではないのかもしれないのです。
だからこそ、相手が理解しているかどうかを確認しながら説明することは大切ですし、相手が理解しやすいスピード、説明の仕方、質問しやすい“聴き方”を心がけることがとても重要なのです。相手が質問しやすい話し方とはどういうことでしょうか。それは話し上手であると同時に“聴き上手、話させ上手”であるということです。
一度に全てのスキルを向上させることは無理です。まずは“聴き上手”を目指してみましょう。説明をするときの表情や目線に注意しましょう。相手が素直に聴ける穏やかな表情を心がけましょう。その上で、「ここまで何かわからないことはありませんか?少しでも不安があったら聞いてくださいね」などと相手が質問してみようと思える言葉、表情、態度で訊ねてみましょう。その上で出された質問には丁寧に対応してください。こんなこともわからないの?という思いがあれば、それは表情に出てしまいます。
リーダーもかつては新人の時があり、わからないことだらけであったはずなのです。そのときの自分を思い出して丁寧に教えてあげてください。
何がわからなかったのか、何が不安なのか、何を悩んでいるのか、全てにおいて、この人なら話してもいいかも…と思えるよう、日頃から“聴き上手、話させ上手”を意識してみましょう。

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