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第38回(145号)

声から伝えるホスピタリティ ~対応をスキルアップしましょう~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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ASSISTANT ASSISTANT

声から伝えるホスピタリティ~応対をスキルアップしましょう~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

あなたの声は低いですか?
感情表現は上手ですか?
先日、あるコールセンターのインストラクターの研修に伺った際に、一人のインストラクターからこんなことを聞かれました。「今度、あるスタッフが応対コンテストに出るので、今猛特訓しているのですが、決め手のポイントは何ですか?」という質問でした。
確かに、応対の基本は“正しい言葉遣いで、第一声をはっきりと名乗り、相手の用件をしっかりと聞く、適切な相槌を打つ、簡潔に分かりやすい説明をする、長く保留をする場合には相手の都合を伺い、待ち時間を伝える、最後に相手が気付いていないけれども知っておいたらよいなと思う情報提供をし、不明点がないかをたずね、最後は気持ちよく挨拶をして終わる”といった、いくつかのポイントはあります。
しかし、それらがすべてできていても、「なんだか機械的で心に響かないな」と感じる応対を耳にすることがよくあります。
以前、自宅のインターネットを無線環境にするためにインターネットの通信会社に申し込みをしました。開通の日が来てもパスワードなどの書類が届かないので、問い合わせることにしました。
電話をすると応対に出たオペレーターは淡々と普通の応対でしたが、書類がまだ届かない場合、急ぎであれば自身のパスワードなどの情報はネット上からも調べることができるということを教えてくれたので、どのようにすればよいのか、その方法をたずねました。
すると、即答できないようで、「お調べしますので、少しお時間をいただけますか。折り返しご連絡します」という対応でした。調べてもらえるのなら、もちろん待ってもよいのですが、気になったのは、その時のオペレーターの“声”でした。
ちょうど昼の休憩前にかけたからなのでしょうか…、声のトーンが低く、面倒くさそうな印象を受けました。もしかしたら、新人で分からないことを聞かれたので、困惑して声のトーンが低くなったのかもしれませんが、申し訳ないという気持ちも伝わってこなかったですし、本当に面倒だな…、というように感じられたのです。
誰でも分からないことを聞かれたり、クレームの電話が掛かってきたりすると、不安になったり、嫌な気持ちになるかと思いますが、それを応対中の声に出してしまうというのはどうでしょうか。また休憩前に掛かってきた電話に対して、苛立ちの気持ちを出してしまうというのもあってはいけないことです。
電話応対は、顔が見えず、声だけの応対です。だからこそ、“声の色”や感情表現は重要だと思います。
素のままで応対してしまうと、そのままその時の気持ちが声に乗って伝わってしまうことがあります。たとえ悪気はないとしても自身の声が低く淡々と話す傾向があるのであれば、誤解を与えることがあるかもしれません。
ワントーン高い声にして明るく、またその時の状況に合わせて必要な気持ち(申し訳ない、ありがとう…など)を話し方に“演出”することも必要です。もちろん心からそう思えることが最も重要ですが…。

皆さんの職場においても同じことが言えるのではないでしょうか。
ずいぶん前のことになりますが、子供が小さい頃、土曜日の昼前に歯が痛いと言い出しました。「翌日は日曜日だし、もう昼前だし、診てもらえる医院があるかしら…」と思い、タウンページから近くの歯科医院を探しました。
近くに小児歯科があったので、早速電話したところ、「どれぐらいで来れますか?」と聞かれたので、「15分ぐらいで行けると思います」と答えると、応対したスタッフはとても嫌そうな、トーンが下がった声で「できるだけ早く来てくださいね。気をつけてお越しください」と言われました。
あまりに応対が嫌そうだったので、他の歯科医院にも電話したところ、同じように「どれぐらいで着けますか?」と聞かれたのですが、「お待ちしています。気をつけてお越しくださいね」と、とても温かく感じる明るい声で答えてくれました。
先の医院の応対があまりにも感じ悪かったので、すぐに再度電話して、「時間がかかりそうなので、今日はやめておきます。ありがとうございました」と言ってお断りし、後にかけた歯科医院に行きました。同じ診ていただくのなら、気持ちよく診ていただきたいですからね。
これは電話だけでなく、目の前の患者さんと応対するときでも同じだと思います。応対の言葉は同じでも、そこに温かい声や気持ちの表現が伴っているかいないかで、まったく印象は変わってきます。応対マナーの言葉やポイントを押さえていることは大切ですが、それを生かすも殺すも、それらをどう活かすかという表現力が重要だと思います。
自身の声や話し方が相手にどう伝わるかということを客観的に考え、演出していくこともプロとしてのスキルアップには大切ですね。
ちなみに、前述のコールセンターのインストラクターにも、「言葉遣いや応対のポイントをしっかりと押さえているのなら、最終的な仕上げとしては、“声”と“表現力”ですね!」と伝えておきました。

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