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第43回(150号)

ベテランスタッフだからこそ当たり前のことを!

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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ベテランスタッフだからこそ当たり前のことを!

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

私事ですが、つい先日ある病気で入院、手術という経験を初めてしました。自覚症状があり病院に行ったところ、急遽その日のうちに入院することになりました。
出産時以外で生まれて初めての入院ということもあり戸惑いました。病室に案内され、入院の手続き、説明を受けましたが、看護師の方はどの方も感じが良く、笑顔でテキパキと説明をし、病室を出て行かれました。
まもなく夕食が用意されましたが、食事を済ませた食器類をどうすればよいのか分からず、他の患者さんの行動を見て同じようにしました。
その後、手術について流れと注意事項などの説明がありましたが、翌日、手術室で医師が私の足にペディキュアがついていることに気づき、「取らなかったのですか?」と聞かれたのです。事前に看護師からは説明が無く、その時初めて聞かされたことでした。
手術は無事に終わり、わずか一日で退院となりましたが、1週間後再入院と再手術を受けることが決まっていました。
2回目も前回と同じ流れで翌日が手術の予定でしたが、いつになっても手術の開始時間や所要時間などの説明がなく、家族に立ち会ってもらうにも予定が伝えられずに困りました。こちらから2回尋ねてやっと聞かされました。
また、手術室ではようやくスタートというときに看護師が吸入麻酔薬を手術室に準備していなかったことに気づき、あわてて取りに行っている会話が聞こえました。
医師は笑っていたのでたいしたことではないのかもしれませんが、思わず他に漏れていることはないのだろうかと少々不安を感じました。
手術は無事に終わり、あと1時間ほどで退院という頃、同じ病室に別の患者さんが入院してきました。まもなく私の時の担当ではない看護師が入院中の説明を始めました。説明を聞いていると、夕食の時間、済ませた食器の片付け方、ベッドのリクライニングの仕方、売店の場所など、細々と説明されていました。(えっ?このベッド、リクライニングするんだ!?リモコンはどこ?)
私の時には1回目も2回目も細かい説明が無かったので、これらの説明は初耳でした。
この病院はインターネットの口コミサイトを見ても比較的評判がよく、特にスタッフの感じ良さは評価されています。実際、受付から看護師の皆さんまでとても感じよく接してくれます。
しかし、今回の経験を通して感じたことは、当たり前のこと、基本的な説明はどの患者に対しても同じであるべきなのに、こんなにも人によって違うということです。
たまたま私の場合、1回目と2回目の入院が近かったので、前回説明されたことなどは省いてよいと思ったのかもしれませんが、1回目に伝え漏れていたので最後まで伝わっていないことが出てしまったのです。説明が漏れることによって患者の不満足を引き起こすこともあるでしょうし、何より、それがクスリや注意事項の漏れであった場合は大きな問題に繋がる危険性もあるのです。

以前、ある総合病院で患者接遇の研修をしていたことがあります。各科で問題点を提議し取り組んでいくのですが、その中で“患者への説明の仕方”に取り組んだことがありました。
各科、患者の病状によって説明内容は違うと思いますが、共通して必ず伝えなくてはいけないことを漏れなく、分かりやすく丁寧に伝えることを目的として行いました。
ただ伝えるだけでなく、患者が理解したかどうかを確認し、不安を残さないことはもちろんのこと、新人もベテランのスタッフも同じようにばらつき無く説明することが重要でした。
各科ではある一定期間に渡って、先輩スタッフがチェックをするという実習を重ねて徹底を目指していきました。あれから何年か経ちますが、その後も徹底されていると良いのですが…。
私が実施させていただいている患者接遇セミナーに参加して下さった歯科医院では、定期的に勉強会を行っている医院が多いようです。新しい知識や技術を吸収したり、医院の方針を徹底し、コミュニケーションを図ることはとても重要です。今の時期ですと特に新人の指導を中心に行っていらっしゃる医院も多いと思います。
しかし、前述した私が入院した病院の担当スタッフはベテランの方でした。ベテランだからこそ利く気転もあるのだとは思うのですが、ベテランだからこそ、思い込みや想像で話をしていることもあるかもしれません。
実際今回も『患者にはこの検査は必要ないだろう』という思い込みで行わなかった検査があり、再度採血、採尿をしなければならなかったということがありました。
基本的なことはむしろ新人のほうが守っているともいえます。是非、日頃の患者応対の場面において当たり前のこと、基本的な説明・行動を、新人、ベテランスタッフ全員が徹底して漏れなく行えているかをお互いにチェックしてみてください。
新人指導の場で先輩が見本を示すことは、先輩が基本に立ち返る良い機会だと思います。

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