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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

アシスタントのためのイメージアップ講座

第51回(158号)
アイコンタクト・プラス一言の成果 ~患者さんの希望や思いを引き出す力~
株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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74 Dental Magazineそこで研修では、患者さんとの対応の仕方、話す・聞くというコミュニケーションの前提のマナーからお伝えしました。話しかける時には必ず手を止めて、相手の目を見て、話す、聞くこと。もしメモを取る、カルテや資料を確認する、パソコンの画面を見る必要がある場合には、「お待ちください」といって、視線を落とし、再び相手の目を見て、手を止めて“話をする、聞く”ということに集中することをお伝えしました。つまり“ながら動作”をしないということです。そして「〜ですか?」「〜していただけますか?」「こちらへどうぞ」という言葉の語尾はしっかりと相手の目を見て伝え、相手の反応を見ることを意識するようにとお伝えしました。彼らはすぐにそれを意識して実行しました。すると患者さんの反応が違ってきたのです。患者さんも彼らの目を見て笑顔を返してくれるようになったのです。あまりにも早い変化で、私も驚きました。時には、患者さんから、話しかけてくれるようにもなったのです。受付の場所、外来の雰囲気が明るく、活気が出てきました。さらに挨拶をするときに、プラス一言を加えることを意識していただきました。例えば、外来やリハビリでは、「おはようございます。今日は早いですね」「こんにちは、頑張ってますね!」「その後腰の痛みはどうですか?」とその方に合わせた言葉を加えていくのです。そ株式会社ロングアイランド接遇マナーインストラクター伊藤純子アイコンタクト・プラス一言の成果〜患者さんの希望や思いを引き出す力〜皆さんは患者さんと挨拶をするとき、話をするときに、患者さんの目を見ていますか?もちろん見ている!と答える方が多いと思います。でも皆さんは保険証を受け取ったり、カルテを確認したり、患者さんにエプロンをかけるなど、様々な作業がありますよね。その作業中に患者さんに話しかけたり、話を聞くとき、視線の方向はどこに向いているでしょうか。私は今、ある病院の接客・接遇の指導をさせていただいております。もともとのご依頼の動機は、さまざま扱っている自費治療や検査などの提案力を上げたいということでした。そこで、各部署(外来、受付、検査担当、リハビリ部門など)における看護師やスタッフの方々の患者対応、接遇がどのような現状であるかということを、観察させていただきました。どのスタッフもてきぱきと動き回り、一生懸命働いています。ただ、気になったのは、彼らの目線と、患者さんの無表情でした。例えば、診察券や保険証を受け取る際、最初は患者さんの顔を一瞬見るのですが、すぐに自分の手元に目をやり、次の動作に移ります。そして、画面を見ながら、「お待ちください」といって待合室に誘導しています。看護師や検査技師も同様で、カルテを見ながら「○○様〜」といって、一瞬だけ患者さんを見てすぐに誘導先に目を移しています。患者さんはそれに従いついていきますが、特にお互いの会話はなく、表情は無表情です。また、診療中のドクターにも同様の姿が見受けられました。パソコンの画面に身体と目を向けながら、患者さんに説明をしたり質問をしていることが多いのです。一生懸命仕事をしていらっしゃるだけにとても残念だと思いました。おそらく、次にすべきことや入力することに意識が集中しているのだと思います。アシスタント講座DentalMagazine 75の方に合わせた言葉を加えるためには、相手を見ていなければ、何も伝えることができませんね。さっそく実行してみたスタッフから、報告がありました。リハビリ中の患者さんや外来でお待ちの患者さんにプラス一言を添えて、話しかけることで、今度は患者さんのほうからスタッフに話しかけてきたり、質問や今の症状、気にかかっていることを話してくれるようになったというのです。こちらから引き出さなくてはならないことも自発的に話してくれるようになることで、その方にあった治療法やリハビリの方法、検査などさまざまなことを提案しやすくなったとのことでした。最近は多くの歯科医院でホワイトニングや矯正など、様々な審美商品や自費治療商品を扱っていらっしゃいます。そしてそれらの商品を提案していくスキルが求められています。明らかに痛みが出ている場合の歯を治すことは必然ですし、保険治療内で行えることかもしれませんが、「もっとこうだったらいいな、最近こういうことが時々気になりだした」というような緊急、必然ではない治療に対してはなかなか患者さんも自分から口にする機会をとらえにくいはずです。そんな患者さんの希望や思いを引き出して、最適な治療方法を提示していくには、提案力の前提としてのコミュニケーション力が不可欠です。まずは日ごろのコミュニケーションで、患者さんが話をしやすい関係を築いていきましょう。親しみやすさが感じられ、それを重ねていくことで、安心感につながり、ご自身の希望や思いを話しやすくなるのではないでしょうか。つまり心を開いてくれたということですよね。その上でのアドバイスや提案には前向きに耳を傾けてくれることでしょう。提案の仕方を勉強しなきゃと思う前に、まずは「ながら動作はしない、相手に合わせた言葉がけをプラスする、アイコンタクトと笑顔を心がける」という基本から確実にしてみてはいかがでしょう。ちなみに先ほどの病院ではこれらのマナー、コミュニケーション力が向上してきたところで、いよいよ提案力のスキルを身に付けていこうという段階に来ました。これからが楽しみです。Assistance’s World