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第53回(160号)

声掛けの目的と効果 ~患者さんとのコミュニケーション~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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声掛けの目的と効果〜患者さんとのコミュニケーション〜

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

皆さんは人間ドックやがん検診などを受けたことがありますか?
最近、芸能人の闘病ブログなどがマスコミなどで紹介され、検診を受けることに対する関心が高まってきているそうです。
とはいえ、マンモグラフィー検査や胃カメラなどで痛い思いや辛い思いをしたことのある方もいて、苦手意識や恐怖感を持ち、なかなか受けられない方が少なくないそうです。
かく言う私も、かつて初めて胃カメラの検査を受けた際、喉が詰まってせき込んでしまったのですが、その際ドクターの舌打ちが聞こえたのです。あまりの苦しさとそのドクターの態度にショックを受け、胃カメラ検査に対してトラウマとなってしまった一人です。
以下は、現在研修をさせていただいている病院での話です。
先日その病院のスタッフによる勉強会が行われ、私も参加させていただきました。
その病院には複数の科目や関連施設があるので、ご利用される方々に全スタッフが施設やサービス、治療方法、検査についてご案内できるよう、スタッフ間で情報連携を高めることを目的とした勉強会(情報交換会)を行いました。
一人のベテランの看護師が胃の内視鏡検査について発表しました。その看護師の話では、この病院の人間ドック、特に胃の内視鏡検査は楽に安心して受けられるという定評があり、わざわざこの病院を選んできてくれる患者さんも少なくはないそうです。
最近の胃カメラは小型化され、入れる管はうどん一本の太さぐらいなのでスムーズに入りやすくなっていること、鼻と喉とどちらでも楽な方法を選べるとのことでした。
とても評判がいいとのことなので、他の病院とどんな違いがあるのか聞いてみました。
この看護師の方は最近まで近県の大学病院に勤めていました。その病院も最新の機器を導入しており、ドクターもベテランとのことです。そういう意味では今の病院との違いはないそうです。ただ以前の大学病院では検査に来る患者さんも多く、流れ作業のように次から次へと検査をしているとのことでした。
胃カメラの際に患者さんが横たわるベッドは壁際にぴったりとついているため、ドクターが内視鏡を操作するために患者さんの横に立つと、看護師は患者さんに寄り添うことはできず、ドクターの傍らで待機している状態だったそうです。
しかし、今の病院ではベッドが壁についておらず、患者さんの両サイドにドクターと看護師がつくことができます。ドクターが内視鏡の操作をしている間に看護師は患者さんの背中をさすってあげたり、声をかけることでリラックスさせるようにしているそうです。
その看護師は、この病院に来てから他の看護師の対応を見習い、自分も同様に声をかけたり背中をさすってあげるようにしました。すると、ある患者さんは検査が終わった後に、「今日は楽だったよ。また次の時も背中さすってね。ありがとう!」といって笑顔で帰って行かれたそうです。

また恐怖心や苦手意識のある患者さんもいらっしゃるので、検査の前にも今までに検査を受けた時の経験や何が怖いか苦手なのかなど話を聞き、鼻と口のどちらの方法が、よりその患者さんに負担が少ないか一緒に選んであげるそうです。
そして説明においても“割りばしぐらいの太さ”というよりは“うどん一本ぐらいの太さでするっと入ります”といったほうが少しでも恐怖心は和らぐとのことで、伝え方にも配慮しているとのことでした。
医療機器やドクターのスキルは同じであったとしても、淡々と流れ作業のように検査を進めるのと、看護師の方の気遣いや声掛けがあるのとでは患者さんの心理的な影響は大きく違うと思います。
この看護師の話を聞いて、改めて看護師やスタッフの方々の声掛けや気配りの重要性、そして効果を再認識しました。
皆さんの歯科医院でも治療に通っている患者さんをチェアに誘導した際に「前回からお変わりありませんか?」など言葉は掛けていますよね。
でもその声掛けの意味を考えて声を掛けているでしょうか。「特に変わりはないです」と言われたら、「そうですか。ではもう少しお待ちください」だけでなく、「それはよかったです!では今日も歯の根の部分の治療を進めていきますね」とか「詰めたところに違和感があって浮いている気がします」と言われたら、「それはお食事することもご不便でしたでしょう。ドクターに伝えておきますね。少しお待ちください」など患者さんの気持ちをとらえた言葉を返してみましょう。
スタッフの役割の一つとして、患者さんとのコミュニケーションがあげられますが、天気の話や日常会話をすることだけがコミュニケーションではありません。スタッフが患者さんに聞くべき質問をした際に返す言葉も大切なコミュニケーションです。そして助手の方はドクターの治療の補助をすることが仕事ですが、その際患者さんの表情や仕草を見て、痛そうだな、苦しそうだなと思ったら声をかけてあげるということは患者さんの不安を取り除き、安心して治療を受けられるようにするための大切な役割です。さらにその行動はドクターの治療の効果を高める力となるのです!
患者さん一人ひとりの様子に気を配り、自信をもって皆さんの役割である声掛けをしていきましょう。

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