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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

アシスタントのためのイメージアップ講座

第54回(161号)
新人スタッフの育成 〜マニュアルの整備〜
株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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皆さんの歯科医院ではどのように新人スタッフの育成をされていらっしゃいますか?新しいスタッフが入ってくると先輩スタッフは自身の仕事と新人の指導で忙しくなることと思います。新人といっても歯科衛生士や歯科助手の勉強をしてきた方もいるでしょうし、まったくの素人の方もいるでしょう。その方の経験や知識、習得の早さの違いによっても教え方は異なると思いますが、医院によって業務の範囲や仕事の内容も違い、他医院での経験や学校で学んできた知識があったとしても、皆さんの歯科医院でのルールや方針、仕事の進め方など一通りのことを伝えていく必要があります。とはいえ確実にかつ効率的に育てていきたいですね。皆さんの歯科医院には医院の方針やルールを書き記したもの、スタッフの育成のためのマニュアルや患者応対マニュアルはありますか?セミナーの参加者にお聞きしたところ、マニュアルがあると回答された医院はそう多くありません(あっても知らないこともあるようです)。また一応あると答えた歯科医院でも、ずいぶん以前のものであったり、現状とは異なってきていると答えた方もいらっしゃいました。効果的にマニュアルを活用するためには“自身の医院に合わせた内容にカスタマイズする”、“現状に合わせた内容に更新して使えるものにする”ことが必要でしょう。一言でマニュアルといっても多岐にわたります。1)自院の治療方針や考え方を記したもの2)医院のルール(身だしなみなどはこの中にきちんと明示しておくとよいでしょう)3)仕事や業務の流れとポイント、作業手順と方法4)担当ごとの患者応対の進め方、手順、ポイント などマニュアルは医院で働き、業務に携わるスタッフ全員が知っておくべき事柄を示したものであり基準となるものです。必ず押さえるべきポイント、注意点が示されているので、仕事の標準化をすることができます。これらをうまく使っていくことで、複数のスタッフの仕事のばらつきを少しでもなくすことができますし、マニュアルを使って指導すれば指導の漏れを防ぐこともできます。さらに新人にトレーニングマニュアルを活用することで短期間に効率よく教育することができます。もちろんマニュアル通りの仕事ができるようにすることが目的ではありません。基準がわかったうえで、応用が利くようになることが目的です。ですから体制の変更、新しい治療方法やシステムの導入、研修に参加して改善点に気付いた、など変化があればすぐにマニュアルも見直すことが大切です。さらにそれらの内容をどの時期に、どのようなステップを踏んで身につけさせていくべきか、誰がいつ、どのような方法で指導してくのかを明確にした指導計画書を作成することも必要です。また指導されるスタッフにも同様に指導計画の概要を伝えておくことが大切です。教えられる本人はマニュアルを見ながら復習をしたり、自習をすることができますし、計画書を見ることで自身はいつまでにこれをできるようにする、○○ができるように頑張る、というような目標をもって仕事に取り組んでいくことができるでしょう。もしあなたの医院に合わせたマニュアルというものがなければ、この機会に作ってみてはいかがでしょうか。マニュアル作りは医院の教育システムや治療内容、進め方を見直す良い機会です。担当別に割り振り、各自の業務範囲について作っていくとよいでしよう。 例えばスタッフ全員に共通する応対マニュアルだとしたら、電話対応、予約の取り方・コントロール、説明の仕方、患者の誘導の仕方、器具の準備の仕方、治療手順、アシストの仕方、消毒滅菌の方法等、一人の患者に対する接点を中心にしてプロセスを分けていきます。大まかなプロセスに分けたら、それぞれに関連する項目を足していきます。流れと必要な項目が明確になったら、それぞれの段階の説明と注意すべきポイントを入れていきます。新しい技術や材料、関連する器具も次々に出てくるので、治療内容をいつも最新のものにしておくことが必要でしょう。複数の目で確認し、見直すことで新たな改善点が見つかることもあります。また先輩スタッフも忘れかけていたことを思い出し、初心に戻る良い機会になるのではないでしょうか。最後に念を押しますが、マニュアルを使って指導するのは、マニュアル通りに行うスタッフを育てることが目的ではありません。スタッフ全員基本ができていてその上で応用や臨機応変な対応、仕事ができるのです。たまたま優秀なスタッフがいたとしても、そうでないスタッフが患者さんに不安を与え、悪い印象を与えてしまったとしたら、それは医院全体の印象となってしまいます。医院全体のレベルを上げるためにまずは基本となることを徹底させて、そこからさらに応用や新しい取り組みを皆で考えていくとよいでしょう。この機会にスタッフ全員でマニュアルの整備に取り組んでみてはいかがでしょうか。