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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第17回 (130号)
スタッフを採用する際の面接を上手にするよい方法はありますか?
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT

歯科医院
経営講座130

デンタル・マネジメント・コンサルティング
稲岡 勲/門田 亮

Q

スタッフを採用する際の面接を上手にするよい方法はありますか?

A

期待を寄せて一生懸命に育成したつもりのスタッフが、ある日突然「院長、私退職します」といって院長を動揺させてしまうシーンは、少なからずどこの歯科医院でも見られる光景でしょう。そのたびに、新たな費用をかけて求人募集広告を出し、面接を繰り返していくことは大変骨の折れる作業でもあります。
面接は苦手であって当然、できれば数多くこなしたくないことの一つでもありますし、繰り返し経験を重ねたからといって上手くなるものでもないでしょう。
しかし、そうはいっても、今後避けて通れないことであれば、少しだけ意識を変化させて応募者とじっくりと向き合うことを考えるのも必要なことかもしれません。

<面接のポイントは?>
面接のポイントとして列挙してみれば、履歴書の書き方から当日の服装のチェック、あるいは言葉遣いの正確さまで挙げていけばきりがありません。しかし、院長一人で行う面接においては、細かな点に捉われず、大局的に人物を見ていくことを大きなポイントとします。
1未来よりも過去のこと

人間関係やコミュニケーションでよく取り上げられる言葉に、「他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」というものがあります。
他人の考え方を正そうとか、過去に焦点を当てるのではなく、新たな世界を築いていく上では、自分が変わることによって将来が切り拓かれていくということをあらわすものです。
しかし、面接の現場では未来のことよりも、これまでにたどってきた過去を重視することの方が、その人をよく知ることができるといえるでしょう。なぜならば、面接のマニュアルでは、とかく「私はこんなことができます」「私にはこんな長所があります」といった自己アピールを強くしたり、興味を持ってもらおうとしてわざと変わった態度を取ったりすることに焦点が置かれます。
「〜できる」という話は、練習すればいくらでもうまく話せるものです。しかも、本当にその通りにできるかどうかは採用してみてからでないとわかりません。
それよりも、学校生活でも、アルバイトの経験でも、前職でのことでもよいですから、応募者が身を置いてきた環境において、どう生きてきたかを聞くことの方が、人物像をよりつかむことができます。過去の話をただ羅列するばかりではなく、自らが経験してきたことによってどんな影響を受けたか、何を学んできたかに重点をおいて話してもらうようにします。 

2オープンクエスチョン

応募者に自分のことをいろいろと話してもらうためには、オープンクエスチョン(開かれた質問)という質問形式が効果的です。例えば、「これまでの経験からどのようなことを学んできましたか?」「うまくいったときはどんなことを考えましたか?」「窮地に陥ったときにはどのように対処しましたか?」というように、「Yes」「No」で答えるのではなく、自分の言葉で考えや気持ちを自由に話してもらうような質問形式です。(Yes、Noで答える形式はクローズドクエスチョン)
これを繰り返していくと、過去が鮮明に思い出され、感動したこと、うれしかったこと、悔しかったことなど、さまざまな記憶がよみがえり、時には感極まって涙ぐむことさえあります。質問を掘り下げていくといろいろな情報が引き出され、応募者の人柄を垣間見ることができます。

3医院側の情報を正確に伝える

医院側からも、募集に関する情報を正確に伝えなければなりません。先生の方針や考え方を伝えることも非常に大切ですが、給与などの賃金条件や勤務時間、曜日、休暇といった実生活に直結する内容も同じように気になるものです。“条件は二の次!まずはやる気を見せてほしい”という気持ちはわかりますが、諸条件に対して納得ができて初めて、安心して仕事に向き合えることも確かです。
やる気も勤務条件も同様に大切なことです。そんな話は聞いてなかったといったトラブルを未然に防ぐためにも、医院側の条件は最初に正確に伝えておくことです。

4選んでいるという意識からの脱却

応募者が複数であれば、どうしてもこちらが「選んでいる」という意識になります。また、たとえ応募者が一人であっても、こちらが「採用」と言えば応えてくれるものと思い込んでしまいがちです。その場合、応募者の特性を客観的に判断できなくなることがあります。
そこで、「医院を知ってもらう」というスタンスを持つとよいでしょう。応募者は、先生の他にもどういったスタッフと一緒に働くことになるかを不安に思っていることがあります。また、診療所の雰囲気を知りたいとも思っています。ですから、同じ仕事をしているスタッフと顔合わせをして仕事内容について説明をしたり、診療室内に案内して、どういった環境で仕事をしていくのかを具体的にイメージできるような時間を設けたりすることも大切です。
本当に意欲を持って働こうとする人は、案内中は一生懸命にメモを取り、スタッフにも質問を投げかけ、時には談笑もしながらスタッフと打ち解けることができるものです。こうした雰囲気は、「選んでいる」という意識からは作ることはできません。確かな人間関係を築き、気持ちよく仕事ができる場であるかどうか、医院は選ばれる立場でもあるのです。

お互いの情報を出し合い適確なコミュニケーションを行うと、不思議と医院に合致する人物が選ばれてくるものです。するとスタッフの定着率が上がります。面接を難しい場と捉えず、温かい雰囲気の中で一つ一つ丁寧に対応してみてください。

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