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第22回 (135号)

新人スタッフに早く馴染んでもらうためのポイントは?

デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT

歯科医院
経営講座135

デンタル・マネジメント・コンサルティング
稲岡 勲/門田 亮

Q

新たに新人スタッフ(歯科助手)を1名採用しました。とても感じがよく、当院の印象と も合っている雰囲気でしたので、大切に育て長く勤務してもらいたいと願っています。 これまでの新規採用では、あまり思うようにいかず、すぐに辞めてしまったスタッフも いました。当院の一員として早く馴染んでもらうためのポイントはありますか?

A

歯科医院にとって、スタッフ一人の影響力は計り知れないほど大きなものがあります。そのため、採用するスタッフには精一杯頑張ってもらい、長く勤めてほしいものです。医院に溶け込み、本当にスタッフの一員として機能するためには、新人スタッフとしてスタートする時期は大変重要な時期でもあるのです。

1新人スタッフの気持ちを医院仕様に切り替える

経験者でも未経験者でも、新しい職場への第一歩は大変緊張するものです。それゆえに、これまでの気持ちも、新しい職場仕様へと切り替えやすいタイミングでもあります。経験者であれば、前に勤めた医院での雰囲気や考え方が身についていますし、未経験者であれば、歯科とは関係のない企業風土が染み付いていることでしょう。したがって、院長との1対1の面談において、当院で勤務する上での考え方や行動、価値観といったものを伝えておく必要があります。

①院長の歯科医療に対する考え方はどういったものか
毎日をどういった思いで診療を行っているか。歯科医院が地域にどのように受け入れられているか。
②患者さんとはどのように接しているか
患者さんに不快感を与えないために、医院全体で行っている取り組みや、基本的な患者さんとの接し方についての医院の考え方。
③先輩スタッフとの関係作り
上下関係が厳しい、フランクである等、スタッフ同士の関係性や、日常においての医院内の取り決め等について。

新人スタッフのよいところは残しておけばよいのですが、新たに医院として必要な考え方や方針を身に付けてもらうために、事前に院長との面談で伝えます。

2わかりやすい言葉を使い、理解できているかを確認する

医院内で、誰か先輩スタッフが付いて業務内容を伝える場合、特に意識して分かりやすい言葉を使うように心がけてください。経験者であれば、かなりの部分において対応できるのですが、未経験者の場合には、普段何気なくスタッフが使う言葉は、まったく通じない、理解できないと考えてもよいでしょう。したがって、対応する先輩スタッフ側も、どういった言葉に置き換えて説明をするかを考えておかなければなりません。
普段の言葉で説明→新人スタッフに通じない→通じないからイライラする→イライラするから辛くあたる、といった悪い流れにならないためにも、医院側の対応を考えておく必要があるのです。
先輩スタッフも、新人スタッフも業務についての流れができてくれば、次には、理解できているかどうかの確認をする必要があります。口頭での質問、応答により、理解度を確認することで十分ですが、時にはテスト形式にすることも検討します。手で書いて覚えることで、理解度の確認に加え、それまでの知識の定着を図ります。

3外部講習・研修会の活用

接遇応対や基本的な業務スキルを身につける意味で、外部講習等の活用も検討します。航空会社のOGが行うアカデミーでは、定期的に研修会を行っていますし、歯科受付あるいは歯科助手講習会といった、歯科医院に限定した講習会も積極的に活用するとよいでしょう。
メリットは、体系立てて知識を習得できますから、スタッフにとっては整理がしやすい点にあります。
一方、日常の業務の流れからは離れたものですから、実際の場面でどう活用するかについては、先輩スタッフを交えて話し合いながら、理解を深めていく取り組みをします。
日常業務に少し慣れて、一通りの業務を経験した頃、すなわち医院での研修期間が終わり、正社員として6ヵ月程度経過した段階から検討するとよいでしょう。

4医院側の受け入れ準備は整っているか

うまくやっていけるだろうかと、不安を抱いている新人スタッフに対して、医院側としては十分に受け入れる体制が整っていることが大切です。
ロッカーの割当てやシューズ、制服が整っていることはもちろんですが、必要となる筆記用具や名札等についてもしっかりと準備をしておきたいものです。新人スタッフにとっては、自分のものが準備されていることで安心できますし、新たな職場へ溶け込もうとする強い意欲が持てるものです。
医院側で準備をするスタッフも、新人スタッフがどういった経歴を持ち、医院へはどのような考えを持って応募してきたのかを、あらかじめ知っておくことも必要です。何の情報もなく準備をするよりも、人柄や考えがわかれば、助けてあげようとしてきめ細かな準備ができるものです。
そのために、採用後、初めて出勤するまでの間に医院見学時間を設けてスタッフとの接点を作り、お互いの心境や情報を交換できる場があれば理想的です。

一日も早く先輩スタッフのように動いてくれる姿を望みたいところですが、年齢が若く、また初めて経験する仕事の場合には、なかなか期待通りの動きができるものではありません。意欲的に取り組むことができるように、教えるスピード、量、使う言葉などの教え方について、ある程度の期間は医院側からの十分なサポートが必要です。そのうちに、新人スタッフ自らが課題を見つけ、新しい仕事に対して、意欲的に貪欲に取り組む意識へと変わってくるものです。新人スタッフへのサポート体制について院内で協議をし、スタッフ育成に医院一丸となって取り組むことが必要です。

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