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第36回 (149号)

まとまりのある医院をつくるためにスタッフ同士で行える取り組みについて

デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

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THE DENTAL BUSINESS MANAGEMENT

歯科医院
経営講座149

デンタル・マネジメント・コンサルティング
稲岡 勲/門田 亮

Q

開業以来、来院される患者さんも順調に増え、現在、チェア5台、スタッフ数10名を抱えるまでになりました。今後も、診療の幅を広げ積極的に診療を行っていきたいと思っています。ただ、スタッフの年齢が比較的若く、また勤務年数もそれほど長くないため、これからはスタッフ間の連携が必要と考えています。医院全体としてまとまりのある形を作りたいと考えていますが、スタッフ同士で行える取り組みについてご教示ください。

A

歯科医院では、特に開業間もない若い先生の場合ですと、各種専門学校などを卒業したばかりのスタッフが多いケースや、大変意欲のある歯科助手でも比較的年齢の若いスタッフが多いことがあるでしょう。院長との受け答えの問題や、患者さんとの人間関係の構築の仕方など、歯科医院での実績を重ねてきたスタッフからすると未熟さが残る部分は否めないかもしれません。しかし、素直さがあり、新しいことに向かって突き進む力を持ち、真面目に仕事に取り組む姿勢があれば、歯科医院のスタッフとして即戦力として、十分に院長のサポートができるものと思います。

1声を出して確実な連携を行う

声を出すことは、スタッフ同士の連携を行う上でとても大切なことです。スタッフの人数が増えてくると、それぞれの動きを把握することが難しくなってきますので、声掛けのルールを決めると意思疎通を図る際に効果的です。また、院長からの指示に対して理解をしているか否かを確認することや、緊急対応が必要になった際にも、声を出して意思表示をすることは大切です。しかし、これまでにあまり声を出す機会に接してこなかったスタッフは、いきなり声を出すことが難しいかもしれませんから、少しずつ慣れていくことができればよいでしょう。

  • ①患者さんが来院したとき
    *予約通りの患者さんが来院したかどうかの伝達
    *器具器材の準備を整えることの伝達 等
  • ②患者さんを診療室に導入する際
    *予定の患者さんをどのチェアに導入したか
    *患者さんへの来院あいさつの励行
  • ③患者さんの診療終了時
    *院内での進捗状況の伝達
    *診療が終了した患者さんへのねぎらいの言葉がけ

といった場面でスタッフ間の意思疎通を十分に行いたいところです。院長自ら折に触れて指示をするほか、ミーティングの際にスタッフ同士でシミュレーションをするなどにより対応を行います。
また、声が出せるようになるとスタッフ間のみならず、患者さんに対しても積極的な声掛けができるようになることが期待できます。来院時、診療終了時のあいさつだけでなく、チェアでの診療準備中やあるいは待ち時間等でも、患者さんの前回からの容体の変化について問うなど、簡単なコミュニケーションが取れるようになると親密な関係構築につながるものです。

2機敏な動作を求める

院内をきびきびと動く機敏な動作は、傍から見ていても気持ちがいいものです。院長の急な指示に対応するために、院内を走り回ることは避けなければなりませんが、無駄のない動きで器具の準備や後片付け、あるいは次の患者さんの情報把握などができると患者さんの印象も非常に好ましいものになります。
気持ちを集中し、次の動作を見据えて迅速に行動することは、仕事に対する意識も高まっていることから、ミスや事故にもつながりにくくなります。
特に患者さんの数が増えてくると、診療時間が伸びてしまう、あるいは患者さんの来院の遅れによって予約がずれ込むことがあります。患者さんが待合室にあふれてくると、どうしても気持ちも焦ってしまいがちになりますが、一つひとつの動作を確実に行い対応できるような意識付けが必要です。
また、歯科医院の場合は、朝の診療開始時間から夜の診療終了時間までが非常に長くなりがちです。毎日長時間にわたり気持ちを集中し続けることは難しいと思いますから、時にはほんの数分でも気持ちを休める時間を取れるようにするとよいでしょう。

3よいことを見つけ出し感謝する言葉を伝える

大きな成果が上がり、医院に対する貢献度が大きいときは比較的評価をしやすいのですが、小さなことになると、なかなか面と向かって褒めることは難しいかもしれません。しかし、小さなことを自然な形で、お互い感謝し合うことができれば素晴らしい環境が生まれます。
たとえば、患者さん導入時や器具洗浄時に他のスタッフからサポートを受けたとき、朝礼時やミーティング時などに“ありがとう”という言葉で、気持ちが伝われば好ましいことです。感謝されて嫌な気持ちになる人はいないと思います。
ただ、どうしても面と向かって感謝の気持ちを伝えることが難しい人もいます。うまく言葉にできず十分に伝えられない場合には、レポートやカードなどを使って伝える方法の他、ミーティングで院長が上手に聞き出しながら周囲に伝えていくことがよいでしょう。
院長からスタッフ、あるいはスタッフからスタッフへと、小さなことでも自然に言葉に出して感謝の気持ちを伝えたいものです。

院内での対応がしっかりしてくると、スタッフ間のコミュニケーションが活発になり、お互いの連携を取りやすくなります。また、俊敏な動きで診療がスムーズに進んでいくと、スタッフ自身に活力が生まれるだけでなく、院内がとても明るい雰囲気になり患者さんの安心感につながります。機敏な動作、明瞭な声、感謝の言葉などは、どれもスタッフ自身で取り組むことのできるものですが、常に意識をしていないと高い意識の状態を維持することが難しいものでもあります。スタッフ同士でチェックできるよう、ミーティングなどを使って常に意識しておくことが必要です。

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