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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第39回 (152号)
患者さんとの強固な信頼関係を築き、スタッフが長く勤務できる体制づくりを行うポイントとは
デンタル・マネジメント・コンサルティング 稲岡 勲/門田 亮

Office

Business
Management

歯科医院経営講座152

デンタル・マネジメント・コンサルティング
稲岡 勲/門田 亮

Question
新たにスタッフを採用するにあたり、長く勤められる環境づくりを目指しています。院長である私が年齢を重ねるにつれて患者さんの年齢層も上がると思いますが、同時にスタッフも患者さんとともに年齢を重ね、患者さんのことをもっとも理解できる存在であってほしいと考えています。現在のスタッフは、院長である私のほかに歯科衛生士3名、歯科助手1名、歯科助手兼受付1名の合計6名です。少人数で経営を行う歯科医院ですが、これからも同じような規模での経営を考えています。地域に密着した形で患者さんとの強固な信頼関係を築き、スタッフが長く勤務できる体制づくりを行うために、これから考えておくべきポイントを教えてください。
Answer
スタッフが長く勤められるということは、安定した生活を送ることにつながり、日々の気持ちも安定してきますから、一つひとつの業務を確実に遂行できるようになります。歯科医院ではスタッフ一人が与える影響が大きいため、スタッフの入れ替わりが少ないに越したことはありません。余剰な人員を抱える資金的余裕はありませんし、また、十分な時間を取って育成することも難しい環境です。したがって、採用、教育、福利厚生に関して、長期間に亘るスタッフ管理の取り組みを行いたいものです。また、患者さんに対する継続的なフォローを可能にすることにもつながりますから、今後院内環境を整備することは不可欠なこととなるでしょう。
採用方針の決定

医院の方針に基づいて、どのようなスタッフを採用するかという、採用方針を決定する必要があります。
募集時において複数の応募者が面接を希望してきた場合、それぞれに特長がありいろいろな人柄に触れることになります。
自然に笑顔を作ることができる人、受け答えがしっかりして明確な人、物静かな雰囲気だが落ち着いている人、あるいは歯科医院での実務経験が豊富で即戦力が期待できる人など様々な特性がある中で、すべてを満たす人を採用することは非常に困難です。
人にはいろいろなよさがある中で、院長としてスタッフに最も求めるものは何か、院長が必要とする人物像はどういった特性を持つのかが明確になることは、採用活動をスムーズに行う上で大切な要素です。
いざ採用活動を行うにあたり、スムーズにより充実した時間とするために、どのような特性を持った人を採用しようとするのかを書きだしておくとよいでしょう。
箇条書きやメモの形でもよいですから、文字にして書き出すことで整理され、より具体的に採用したい人物像をイメージすることができます。
採用方針を定めることは、今後どのような雰囲気の歯科医院とするのかということにもつながりますし、面接時においてもより深く応募者の考えや思いを引き出すことができるようになります。

教育方針の整理

歯科医院では、スタッフが一人増えるとたちまち人件費が上がり、また、社会保険料等の負担増により資金繰りには多大な影響を及ぼすものです。
したがって、長くスタッフを雇用し安定してスタッフ管理を行う上では、採用決定後、院内での教育体制をどう整えるのかも検討する必要があります。
人数が少ない小〜中規模の歯科医院では、専属の教育担当スタッフを配置することは難しく、先輩スタッフも一緒に仕事をしながら教える OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)の形を取らざるを得ませんが、段階ごとに学ぶポイントを整理して明示するとスムーズに運びます。
本人のスキルに応じて、どの段階でどういった内容のことを教育するかを整理しておくと、スタッフの誰もが教育を担当することができます。
また一方、将来のスキルアップを視野に入れ、いつまでにどのレベルの内容まで到達するべきかという目標を掲げることも大切です。
少ない人員の中で、一人ひとりが確かな自覚を持って業務にあたることができるよう、教育方針を明確にしておきたいものです。

福利厚生の充実

近年、急速に職場での女性の活用が重要視されており、結婚、出産、育児によって不利益とならないよう、制度の活用にも重点が置かれるようになっています。長く勤められる職場環境づくりとして、制度を取り入れた労務管理を目指すことも必要です。
主なものとして、労働基準法により産前6週、産後8週まで休業が認められます。また、子が1歳の誕生日の前日まで休業を取得できる育児・介護休業法による育児休業制度と併せ、一定の条件を満たすと最長で子が1歳6カ月に到達するまで休業を取得できます。
また、3歳未満の子を養育する場合には、スタッフは希望により短時間勤務を行うことができます。勤務時間は原則として所定労働時間は6時間以内とされ残業は免除されます。短時間勤務制度利用期間は、所定労働時間の短縮割合に応じて給与の減額をしても差し支えはありません。
医療法人や、個人でも常時雇用する従業員が5名以上の場合、歯科医師国保のほかに厚生年金や雇用保険等の社会保険を完備することになります。応募者の中には、福利厚生に関しても意識を強く持っている人もいます。保険料の事業主負担が生じますが、スタッフが働く上での安心を強くアピールできるものとして積極的に整備することが必要です。

Advice
制度の充実など今すぐに対応できずとも、少しずつでも改善を行うことで、スタッフの働きやすさが生まれてきます。働きやすい職場では、スタッフの意識も前向きになりますから、医院の雰囲気もより好ましい状態へと変化してくるものです。患者さんからの信頼を得て、より診療に集中できる職場づくりを行うためには、スタッフが長期間に亘り勤務できることが好ましいことと思います。医院として長期的な視野でスタッフ育成に取り組み、患者さんとの強固な信頼関係作りを図ってください。

歯科医院経営講座