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デンタル・マネジメント・コンサルティング
稲岡 勲/門田 亮
スタッフが目指す取り組みは、たとえば保険点数や自費収入金額の目標であることや、アシスタント業務のレベルを向上させるといったこと、あるいは会計の違算金額をゼロにする、ということなど、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手・受付等、職種ごとに独自の基準を設けた内容であると思います。
医院全体の業務の効率化に向けて、それぞれが考えを持って取り組んできた内容ですから、スタッフが院長から評価を受ける際には、具体的な内容での評価を期待しています。
業務遂行上のミス軽減に寄与した場合には、具体的な改善内容や、どういった取り組み方が功を奏したのかヒアリングをすることが大切です。
スタッフとしては、報告する先の院長から好意的に受け止めてもらえたと感じることで、次にまた新たな取り組みに向かうための原動力となります。
また、普段の業務に慣れてしまっている分、今ある業務のやり方を変えるということは、大変難しいことでもあります。
したがって、業務改善に取り組む際には具体的に目標設定を行うことが大切です。ただ漠然と、業務ミスを軽減するという取り組みになると、院長が評価する際にも漠然とした内容の評価になってしまいます。
それぞれが決めた目標に対しては、具体的に評価をしたいものです。
仕事の場においては、「結果がすべて」という視点で評価をしがちになります。経営はすべて数値で表されますから、結果をすべての評価基準にすることは間違いではありません。
保険点数、自費診療費の増加、メインテナンス患者の増加、電気代・水道代の削減等々、院内で行う取り組みのすべては、何らかの経営数値へとつながるものです。
しかし、なかなか思うように結果が出ないこともあります。むしろ、毎日患者さんの対応に追われてしまい、目標を意識することさえ難しい状況と思います。
したがって、目標に到達しようとする上で意識したこと、取り組んだこと、考えを深めたことなどにも着目して、たとえ結果に結びつかなかったとしても、途中での気づきや学びがあったことを評価することも大切です。
取り組んできたことが無駄ではなかった、目標に近づこうとする姿勢を評価してもらえたと思えることは、働く上での大きな安心感となるものです。
医院に必要とされていると意識できれば、少々の困難にも立ち向かっていけるものです。
上長から部下を見た場合、とかく目につくのは、できていないところ、もう少し頑張ってほしいところ、本当はこうして欲しい、と思う点です。
任せて安心、信頼度や安定感が抜群で非の打ちどころがないスタッフというのは、ほんの一握りのスタッフかもしれません。
そういうスタッフは職務遂行能力も高く、院内でもリーダー的立場として存在感を示します。
したがって、院長の口から出る言葉も批判的にはならず、当然プラスの言葉が多く発せられるようになります。
一方で、中堅のスタッフや、本当にモチベーションを上げて引き上げなければならないスタッフには、つい指導的な言葉を発してしまいます。
その場合、たとえ結果がよくても、どうしても最後に一言「でも、ここはこうだよ」と否定的な言葉が混ざってしまうのです。スタッフはモチベーションを上げきれず、評価されているのかわからないといった不信感を抱くことにもなりかねません。
したがって、結果を出して評価すべき時には徹底して評価を行い、一方で指導すべき点がある場合には、改めて機会を設けた上でしっかりと指導を行うべきです。