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Management
デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮
それぞれが役割を持って業務を行うことは、人数が増えて煩雑になる業務を整理することにつながります。また、スタッフごとに目標を定めて仕事を進めることや、それぞれに責任を持つことができるため、医院の規模が大きくなるにつれて必要な取り組みです。
その取り組みによって、お互いが協力し合い、強い組織として機能することを目指すものです。
一方、役割分担に拘るあまり、自分の役割に関係のない業務に関しては無関心になったり、何か問題が起きた時に、責任転嫁が始まったりすることにもつながります。
業務の無駄をなくし、お互いが協力し合うチームとして機能することを目指して始めたはずの取り組みが、いつの間にかお互いを批判し合うことになり、コミュニケーション不足を生じて、思いがけず雰囲気の悪いものになってしまうことがあります。
それぞれに役割を持たせること自体は、自分の仕事に責任を持つという意味からも大変重要なことです。うまく機能すればとても働きやすい職場となります。
役割を持たせる際に注意すべき点としては、一人のスタッフに役割が集中してしまわないようにすることです。また、輪番制にして定期的に担当を変わることや、二人一組で取り組むようにして、お互いが話し合いながら進めていくことができる環境づくりが必要です。
「あとは任せたよ」「よろしく頼むね」という言葉は、任せる側もあなたを信頼しているというメッセージとなりますし、任される側も信頼されていると感じられる言葉でもあります。
何も問題が起きない時はそれでうまくいくのですが、トラブルや業務上のミスが生じ、スタッフ同士でも仲たがいが生じるようになると、その場の対応の仕方によってはスタッフのモチベーションを下げることになります。
つまり、問題が生じた時に、スタッフをどれだけフォローできるかということです。
役割を持たせて任せるといっても、問題が生じた時にはすべて担当者の責任となるようでは、スタッフも思い切ったことができません。安心して物事に取り組むことができる土壌が必要です。
行き詰った時には手を差し伸べることを忘れてはなりませんし、今置かれている状況や気持ちの状態を聞いていくことが必要です。
任せたあとは任せきりにして、うまくいかなくなれば叱責する、という流れに陥らないよう、常にスタッフに目を向けておくことが必要です。
医院の取り組みを大きく変えるということは、医院の方針を変えるということでもあります。
常日頃から問題意識を持つ院長にとっては、様々なことを考えた末でようやく決めた取り組みであっても、ある日突然聞かされたスタッフにとっては、大きな驚きとともに、今後どうなっていくのだろうという不安が先に立つものです。
一人で考え、一人で決めようとすると、スタッフはついていけなくなるものですから、早い段階から少しずつ考えを伝えていくことも大切です。
それでも変化についていけず、変化を望まないスタッフが離れていくのは仕方がありません。
しかし、将来を見据えることができないまま、新たな責任が生じるだけでは、モチベーションを維持することが難しいことも確かです。
頑張った先の成果としては、給与を上げることがすべてではありません。業務の効率が上がれば、残業をなくして早く帰ることが可能になるでしょう。経費が削減され利益が生まれれば、賞与等で報いることもできるでしょう。食事会や研修旅行を行って活発なコミュニケーションを図ることもできます。
方針を転換するに至った経緯や、新たな取り組みを行うことがスタッフ自身にどのような影響や変化がおきるのかということを説明し、理解を得られるよう働きかけることが必要です。