スマートフォン版サイト

DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第50回 (163号)
経営に対する姿勢、人材育成のポイント
デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

Office

Business
Management

歯科医院経営講座163

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮

Question
周辺には、いくつか新しく開業する歯科医院が増える予定で、今後の医院経営に大きな危機感を感じています。まだまだ厳しくなりそうな経営環境に対して、医院の取り組みを強固なものにしてきたいと考えています。これからも地域医療に携わる者として、安定的な経営を進めるためには、設備導入や人材育成に関しては、これまでとは少し違う観点から取り組んでいかなければならないと考えています。経営に対する姿勢や、人材育成のポイントなど、どういった視点で進めていけばよいかをご教示ください。
Answer
経営環境が厳しくなる要因として、周辺歯科医院が増加して競争が増すことや保険点数が減少して採算が悪化することだけではなく、適切な人材が不足することにより業務の効率化が思うように進まないことや、さまざまな価値観を持って来院する患者さんに対して、十分に対応しきれていないことなどが挙げられます。つまり、医院内部の取り組みが不十分であることも経営環境を厳しくしていると考えられる要因です。医院の外部から受ける影響だけではなく、内部で発生する課題や問題点などに対しても意識を向けて、スタッフを含めた医院全体でさまざまな取り組みを考えながら、安定した医院経営を目指したいものです。
徹底して経営の合理化を図る

安定した医院経営を進めるためには、人材、設備ともに、無駄に費用をかけることはできません。
しっかりと経営が維持できる状態を保つには、徹底して合理化を図りながら経営を進めていかなければなりません。設備に関しては、医院の診療方針に完全に合致したものであるかどうか、また、将来取り入れようとする診療内容に沿った設備投資であるかを精査して導入する必要があります。
医療機器はどれも高額な設備投資となりますから、設備を使用するための院内の準備を十分に整えた上で導入をすることが大切です。
また、人材に関しては、現在行っている業務内容に注目し、無駄な作業、重複した作業がないかを徹底して洗い出すことが必要です。
経費の中でも人件費がもっとも大きい比率を占めますが、利益を確保するために、闇雲に人材を削減して経費を抑えてしまうと、かえって患者さんに対する対応が不十分になることが考えられます。
一人ひとりの業務が飽和状態になってスタッフに過度の負担がかかれば、医療の質の低下を招くことにもなりかねません。
第一に考慮するべきポイントは、現在行っている業務が本当に必要なものなのかどうかを検討し、業務内容を合理化した上で適所に人材を配置することです。

柔軟に対応できる人材の育成

今後、医院経営に必要な人材として、マニュアルやルールを確実に守る人材を育成するだけでは不十分です。
すでに患者さん自身が豊富な情報を持つようになってきていますが、あまりにも情報が溢れかえっているために、正しくない情報や間違った情報を持ったまま治療に来院する場合があります。
また、得られた情報が正しいか間違っているかに関わらず、医院に対して意図的に苦情をぶつけてくることがあります。医院の対応の不備や、不十分な意思の疎通を取り上げて、自らの意思を強く持ちかけてくる患者さんも存在します。
患者さん自身の健康に対する意識の高まり、あるいは人とは違う生き方を嗜好するなど、価値観の違いや意識の格差が大変大きくなってきていますが、それら、さまざまな患者さんからの要望や要求に、臨機応変に柔軟な考えで対応できる人材を育成していくことが大きな課題となるでしょう。
また、これまでのリーダー像は、意志が強く頑固なまでに自らの考えを持って物事に取り組む人材が重用されてきましたが、これからは、より俯瞰的に物事を判断し、相手の意を汲みながら解決へと導くことができる力が求められます。
院長としても、より高い目線を持ち、リーダーとして抜擢する人材をどう発掘するか、リーダーとしてどのように育成し仕事を任せていくかを考えていく必要があります。

余裕を持った経営を進める

スタッフに関しては、院長の考えをよく理解し、力となるスタッフを十分に確保することが今後の経営安定化に不可欠の要素といえるでしょう。
そのためには、日頃からスタッフの動向を注視しておく必要があります。
スタッフの多くは、生活環境の変化などにより退職や休職をしますが、スタッフからの急な退職や休職の申し出にも慌てずに対応ができるよう、日頃からスタッフの言動にも気を配ることが必要です。
生活環境に変化が生じようとしていないか、あるいは仕事に対する意識が下がってきていないかなど、以前と変わってきている点に注目してスタッフの動向を捉えておきたいものです。
経営資金に関しては、過去の実績とも照らし合わせて今年の動向を予測すると同時に、賞与の支払いや納税、あるいは研修旅行費用など、まとまった大きな支出などの準備を進めます。
スタッフの動向に関する情報収集を進めることで、次のスタッフ確保に向けた準備を前もって進めることができますし、経営資金の大きな動きに対して前もって準備をすることで、先生自身の気持ちの余裕にもつながります。
気持ちの余裕が安定した医院経営につながり、スタッフも安心して働ける職場となるものです。

Advice
医院経営を考える際に、周辺に歯科医院が増えることによる経営環境の変化や、高齢化による来院患者さんの減少に原因を求めるなど、医院外部の変化による影響に意識が向かうものです。しかし同時に、業務の管理が十分に行われているかといった内部統制の問題や、人材の育成が患者さんの価値観の変化に合わせて行えているか、あるいは院長自らが経営に対して前向きに取り組むことができているかといった、医院内部の環境変化も経営に対して大きな影響があることを考慮しておくことが大切です。

歯科医院経営講座