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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第51回 (164号)
限られた経営資源の中でどこに重点を置き、なにに力を注いで対応すべきか
デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

Office

Business
Management

歯科医院経営講座164

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮

Question
先行きが不透明な経営環境の中で、患者さんの要望にどう応えていくかを考えています。患者さんの信頼を集める歯科医院がどのような取り組みを行っているか、限られた経営資源の中でどこに重点を置き、なにに力を注いで対応すべきかと思っています。スタッフを募集してもなかなか応募者がありませんから、現在勤務するスタッフとは十分にコミュニケーションを取りながら医院経営を進めています。これから医院全体で考えておくべきこと、また、どういったことを意識して取り組めばよいか、ポイントとなる点を教えてください。
Answer
歯科医院では投資できる金額に限りがあるために、お金をかけるべき内容については慎重にならざるを得ません。その中で積極的に投資を行うものとしては、セミナー費や講習会費等の研究図書費のほか、設備機器や建物、内装などに関連する減価償却費やリース料、あるいは看板やホームページなど患者さんへの医院の認知力を高めることを狙いとする広告宣伝費などが挙げられます。これらの経費は、政策型経費として医院経営の継続のために積極的にかけるべきコストと考えます。一方で、大きな経費をかけなくともできる取り組みがあります。業務の仕組み作りであったり、スタッフの対応力であったりしますが、来院する患者さんに合わせたきめ細かい対応は、直接患者さんの動向を左右する大きなポイントともいえるものです。
患者さんが快適に過ごせる環境であるか

建物や医療機器、内装などは、きれいな状態を維持することで、患者さんに気持のよい環境を長く提供することができます。
手間暇をかけてチェア一台一台のきめ細かな手入れを行い、機器の取り扱い方一つひとつを丁寧に行うことは、高い意識を持って取り組むことで継続することができるものです。
また、院内の掲示物は古くなっていないか、あるいは絵画や装飾品は歪んでいないかといった細かな点や、受付周りがしっかり整理整頓されているか、匂いはないか、空調は適切に作動しているかなど、一つひとつを挙げていけばきりがありませんが、患者さんが快適に過ごすことができる空間かどうかという点から院内を隅々まで見渡せば、改善できる点は多々あるものです。
また現在は、来院前にホームページを見た上で診療予約をする患者さんが多いため、常に患者さんから見られているという意識から、頻繁に更新をして常に情報を最新のものにしておくことが必要です。ホームページの内容を更新することは、手間もかかり大変なことですが、新しい情報を提供することで患者さんとのコミュニケーションが生まれるという視点に立てば、更新も積極的に行えるものです。

患者さんとの関わり方は適切か

患者さんは、常に自分を大切に診てくれているだろうかという意識を持っています。診療の前に、前回診療から何か変わったことはないか、あるいは困ったことはなかったかを尋ねることがありますが、時として、ただマニュアル的に患者さんに聞いているだけのスタッフが見受けられることがあります。
患者さんからすれば、スタッフが正確に聞き取りをして、正しく歯科医師に伝えて欲しいとの思いで話していることですが、一生懸命話しても正確に伝わらないという印象が続くと、事前にスタッフに話す内容と、診療前に歯科医師に話す内容が大きく違うという事態が生じることになります。患者さんはどういう対応を望んでいるのか、どうすれば正しく理解し伝えることができるのかを、事例をもとにミーティング等で考えていく必要があります。
また、患者さんは、歯科医師からはわかりやすい治療説明を求めています。自分の歯がどのような状態になっているのか、そのためにどのような治療を施すのか、それにかかる治療費、そして治療後はどう改善されるのか、歯科医師がなぜその治療方法を選択するに至ったかなど、詳しく丁寧に説明してほしいと望んでいます。
スタッフの対応を含めた医院全体として、治療内容に対する患者さんへの関与の仕方は、医院の診療方針が明確に表れる点でもあります。

患者さんに合わせた医院規模を維持できるか

患者さんに対してきめ細かな対応を進めていくと、医院方針や考え方などの理解も深まり認知度も上がることになります。それに伴い、来院する患者さんも増加することが期待され、今までの環境では十分に対応できない事態が生じることがあります。
期待感を持って来院する患者さんに対して、十分に対応できる医院規模である必要があります。
デンタル・マネジメント・コンサルティングが、毎年行うアンケート調査によれば、収入が上がるほどチェア効率が高くなります。歯科医師と受付担当者が緊密な連携を取り、患者さんの診療予約の取り方を検討することによって、より一層チェアの稼働率向上が図られ、チェア一台当たりの診療効率が上がることが期待できます。
同時に、積極的な医院経営を考えた場合に、現状の敷地面積では対応しきれないことがあります。歯科医院の認知度が上がり、紹介患者さんが増えてくるようになると、ある時点で大幅に来院する患者さんが増加することがありますが、その時に十分に対応できるだけの医院の拡張余力があるかどうかがポイントです。余裕を持った診療環境を維持するために、思い切った移転を計画することも必要なことがあります。

Advice
医院経営を積極的に行うにあたり、費用をかけるべきところには十分に投資をし、スタッフを巻き込んで医院全体できめ細かなところまで取り組むことが大切です。最新の医療機器の導入検討や医院設備の適切な維持など、ハード面での必要な対応を十分に行いつつ、小さな子供からお年寄りまでさまざまに訪れる患者さんとの関わり方を工夫するなど、ソフト面での対応にも力を注いでください。非常に多岐に亘る内容にまで意識を向ける必要がありますが、患者さんが快適に過ごすことができる環境に向けて、きめ細かく対応を行うようにしてください。

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