スマートフォン版サイト

DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第52回 (165号)
収支の改善を図るために取り組むべきポイント
デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

Download (PDF, 301KB)

Office 歯科医院経営講座 165 Business Management デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田亮 78 Dental Magazine Question 周辺では、次々に新しい歯科医院が開業しておりますが、当院にも少なから ずその影響があるのか、来院患者数および収入に関して前年の実績を少し 下回る状況が続いています。当院としても、何らかの対策を施さなければな りませんが、いろいろなことを考えるうちに、具体的にどういったことから 始めるべきかを迷い始めています。当院はスタッフ数5名(パート含む)、 チェアユニット3台、保険診療主体のいわば平均的な規模の歯科医院です。 今後、収支の改善を図るにあたり、取り組むべきポイント等についてご教示 ください。 Answer 周辺に歯科医院が開業し、競争環境が厳しくなればなるほど、自医院と他医 院との違いを明確にし、医院の特長を打ち出した経営が必要になります。そ のために、まずは医院の持つ経営資源は何か、またその強みはどういったと ころにあるのかを、丁寧に細かく把握することが第一歩となります。ただ漠 然としたまま取組みを行いますと、なかなか具体的な対策にならず、計画し て実行したことに対する確認や検証作業が思うように進まないことから、 焦りへとつながる危険性があります。したがって、まずはどのような経費に 重点が置かれているのか、他と比較して突出する要素は何かを確かめなが ら、自医院の持つ経営資源を一つひとつ棚卸するように把握することから 始めてください。 支出の中でも多くを占める、人件費、 設備投資にどれぐらいの費用を振り分 けているかを確認します。人件費は給与 賃金、賞与、法定福利費および福利厚生 費を含めて考えますが、概ね収入の 25%以内が平均的な水準です。医院の 経費でもっとも高い比率を占める経費 ですから、後に示す生産性とともに把握 しておくことが大切です。 設備投資として考える経費科目には、 減価償却費、利子割引料(支払利息)、地 代家賃、リース料、修繕費、租税公課を 含めます。減価償却費およびリース料 は、導入したチェアやCT、マイクロス コープなど、大型設備機器が耐用年数に 応じて経費化されたものですし、利子割 引料は設備投資のために借入をした利 息になりますから、積極的な経費として 捉えることができます。これら設備投資 は、概ね収入の12〜14%前後が平均的 ですが、開業当初や設備を更新した際に は比較的大きく表れます。その分、周辺 の歯科医院と比較して、設備が新しく充 実していると考えることができます。 また、外注に出す補綴物等は外注技工 料として表れますが、概ね収入に対して 8〜10%弱が平均的な水準です。この比 率が、平均から大きく外れて高い比率と なっている場合には、質の高い補綴物だ とも考えられますから、医院の経営資源 として捉えることができるものです。 医院の経営資源を把握する Business Management DentalMagazine 79 医院の経営資源を把握し、強みとでき るものを明確にしていくと、実にさまざ まな特長を有していることを確認する ことができます。充実した経営資源や強 みを他医院との明確な違いとするため には、患者さんに対して積極的にアピー ルすることが大切です。 たとえば、研究図書費が高い場合に は、多くのセミナーや講習会に参加し、 あらゆる場面に対応できる治療技術を 身につけていると推測することができ ます。しかし患者さんは、ドクターがセ ミナーに参加していることを直接目に することがありません。 したがって、どういった技術を持って いるか、どの分野に注力して取り組んで いるかといったことを、積極的に患者さ んに情報提供することが必要です。 ホームページ上で力を入れている分 野を紹介したり、あるいは院内掲示板に 講習の修了証等を掲示したりすること は、一定の技術を習得したことを、確か な情報として患者さんに提供すること につながるのです。 患者さんにアピールするということ は、単に患者獲得、収入増加を狙うもの ではなく、確かな治療技術や先進の医療 機器等があることを伝え、患者さんに安 心して通院してもらうためでもありま す。 患者さんへの情報提供が多いほど、医 院の特長として強く認識されることに つながります。 Advice 周辺に多くの歯科医院があったとしても、医院の特長が強く打ち出されると必 ず呼応する人が現れてくるものです。院長の治療を受けたいと強く希望する患 者さんは、勤務医が多く在籍する大きな歯科医院に通院することはないでしょ う。常に予約がいっぱいで、次の予約の間隔が大きく空くことを望まない患者さ んは、コンスタントに治療予約が入れられる歯科医院を選ぶことでしょう。患者 さんの価値観が様々なように、設備が充実している歯科医院、立地がよい歯科医 院、院長の診療をゆっくりと受けられる歯科医院など、歯科医院の姿も様々で す。まずは、自医院の持つ特長を明確にすることに全力を注いでください。 医院の特長として 積極的にアピールする 医院の強みとなるものは何か 医院の強みを考える際には、スタッフ の生産性にも目を向けたいところです。 スタッフ一人が、医院収入にどれぐらい 寄与しているかを考えるものですが、歯 科医師を除くスタッフ数(パートは0.5 人と考える)で全収入金額を割った場 合、月額にして約125 万円前後が平均 的な水準です(デンタル・マネジメン ト・コンサルティング調べ)。 この金額を大きく上回る場合には、少 ない人数でも医院収入に大きく寄与し ていると捉えることができます。生産性 が高いことは、将来、医院収入の増加や 経費の削減にもつながることから、医院 の大きな強みとして捉えることができ ます。 一方、医院の設備や環境に目を向けた 場合、立地条件のよい場所では収入に対 する地代家賃の比率は相対的に高くな ります。つまり立地のよさが医院の強み であると捉えることができますが、その ことが本当に強みとして存分に活用で きているかを確かめておく必要があり ます。 大きな商業ビルの好立地を生かすた めに、相応の内装や雰囲気を醸し出すこ とができているかどうか、あるいはテナ ントビルの一階で路面に面しているの であれば、患者さんが入りやすい雰囲気 になっているかどうかといったことで す。立地条件や医院設備に関すること は、それ単独で強みとなるものもあれ ば、適切な対応が伴って初めて強みとな るものもあります。