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Management
デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮
歯科医院での就業経験の有無を問わず、新たな職場で一歩を踏み出すことは、不安が大きくのしかかり相当のプレッシャーがあるものです。現在働くスタッフも、全員が同じ道を通ってきているはずなのですが、周りに慣れてしまうと入職当時のことをすっかり忘れてしまうものです。
院長の指示を、すぐに実行に移すことができる力や、日々、多くのことを学び、職務遂行に生かすことができる力が大切なのは言うまでもありませんが、職場に慣れて自信が持てるようになるまではなかなか難しいものです。
したがって、失敗したこと、ミスをしたことを正すことよりも、うまくできたことに注目して褒める言葉をかけることが大切です。
スタッフは、自分自身を肯定できる自己肯定感や、あるいは、新しい仕事に挑戦して乗り越えたときに、自分にもこれだけの仕事ができる力があるのだ、と自信が持てるような働きかけを必要としています。自分に自信がつくことによって、仕事に対する気持ちも前向きになり、積極性が生まれるようになります。
常に注意をされ、叱られてばかりでは、なかなか仕事に意欲や意味を持つことができるものではありません。自信を持って自ら考えながら業務にあたることができるようになるには、スタッフの気持ちを盛り立てる働きかけが重要なポイントです。
業務上で身につけた知識や学んだことを、すぐに実行に移すということは、なかなか難しいものです。
スタッフ自身が、しっかりした考えを持ち行動する力が必要ですが、その前に、頭では理解していても、いざ言葉にして発したり、行動で示そうとしたりしても、簡単にいかないことが多いからです。
たとえば、勉強会やセミナーの後には、学んだ内容をスタッフ全員で共有できるように、レポートや報告書にまとめることを行いますが、そのままでは日々の業務において活かすことが難しいことがあります。
学んだ技術を、業務のどの場面で活用できるかがわかるように、院内でシミュレーションを行い、学んだことと実際が頭の中でつながるような取り組みを行うことが大切です。
そして、いきなり現場に一人で立つのではなく、シミュレーション等で練習した作業が活かせる場面を、ひとつずつピックアップして任せることが自信につながる進め方となります。
院内で、スタッフ同士が患者さん役になってバキュームテクニックを練習したのであれば、診療時にはバキューム業務を中心に任せていくなど、学んだことをすぐに実践できるような業務の任せ方をします。
頭の中で知識と実際の場面がつながれば、次への自信とやりがいにもつながるものです。
スタッフを採用したのち数日で退職を希望してきたとしても、医院側に引き留める術はありません。
期待していた楽しい職場や、あるいは面白い職場と感じられなければ溶け込んでいけないという、自分の感情が先に立つのですから難しいことです。
そこには、院長を始めとする医院スタッフに対する関心のみならず、職場の雰囲気や文化など、周囲への関心が低い若者が多いといわれる、現代の特徴が出ているのではないかと思います。
自己中心的な思いが先に立ち、強い意志で続けることができないのが現状ではないでしょうか。
そうした中でも、応募はまだ比較的あるとのことですから、一旦すべての応募者を、1ヵ月程度臨時的に採用することも検討します。
人件費の高騰を心配されていますが、1ヵ月間の雇用ですから対応できる水準ではないかと思います。
実際、応募者の中で誰が頑張って続けるのかわからない、また、応募者自身も続けていけるのかわからない中で、有期雇用として短期間のゴールがある形で迎え入れることは、医院、当人双方にとってもメリットのあることです。
当然、応募者にも雇用期間は1ヵ月であることを説明しますし、短期雇用期間を経過して、なお当院で勤務したいと希望する場合には、新たに雇用契約を結ぶことを説明します。