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デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮
一般企業が、産前産後休業や育児休業制度の充実を図り、子どもが生まれても働きやすい環境の整備が急速に進む状況において、歯科医院でも女性が働きやすい職場づくりを推進する必要性は大きく高まってきています。
こうした福利厚生制度の充実により、長くその場で勤めようとするスタッフが確保されていくものですし、医院のことをよく理解するスタッフが多くいることは、医院経営を安定化させる大きなポイントでもあるのです。
さらに今後大きなポイントとなるのは、産前産後休業や育児休業だけでなく、育児休業を終了した後に、引き続き働くことができる環境をいかに整えるかということです。
つまり、1歳あるいは2歳の子どもを持ちながら、元の職場に復帰して働くことができる環境にあるかどうかということです。
勤務する医院が19時あるいは20時まで診療している中で、保育園に預ける子どもの迎えのために、16時あるいは17時に退出することができる体制を整えていくことが、スタッフの確保にも大きく寄与してくるのです。
少子化でどんどん労働力人口が減少する状況の中、今後は女性で独身に属する人たちだけを対象にしていても、なかなか人材を確保できるものではありません。
既婚者あるいは子どもを持つ女性にまで正規雇用の対象を広げることができれば、人材が確保できる確率が大きく上がることにつながります。
現在は、歯科医師や歯科衛生士のみならず、歯科助手・受付に至るまで人材が不足する状況ですが、今後、人材不足の状況が改善できる見通しはあまりありません。
診療を待つ患者さんが増えてきたとしても、十分に患者さんを受け入れることができない状況が続きますと、一時的ではありますが収入にも影響が出てくる可能性があり、思うような収入が確保できない場面が出てくることがあります。
収入の減少が大きい時には、収入が多い時と比べて2割前後も下がる場合がありますが、固定経費が大きい場合には、たちまち資金繰りが苦しくなることがあります。
患者さんも継続して来院し、収支も安定している状況であったとしても、スタッフ不足により患者さんへの対応ができない影響を考えておかなければなりません。したがって、月の収入が急激に2割下がったとしても、毎月の経費の支払いに十分対応できる資金状況にしておく必要があります。
人材が不足する局面では、臨時的なスタッフの獲得コストや、今後の人材不足に対応するために余剰に人員を抱えることがあります。人件費が増加する分を、診療材料の適切な使用や無駄な消耗品のチェック、あるいは水道光熱費や事務用品費などの細かな経費支出をしっかり抑えることで資金確保をしておきたいところです。
経営環境が変化したとしても、歯科医院を維持していくためには一定の設備投資は行わなければなりません。
近隣に開業する歯科医院に劣ることなく、患者さんが快適に過ごすことができる空間を維持するためには、チェアユニットの増設・更新やCT・マイクロスコープの導入あるいは、内外装の改装に至るまで、その都度適切に対応する必要があります。
また、医療用機器のみならず、業務効率の向上を図るために、今後は機械化による労働力の置換えが推進されるでしょう。身近なところでは会計を自動的に行う自動精算機がありますが、歯科医院でも導入する歯科医院が増えてくるかもしれません。
今や、チェアサイドで次の治療予約ができ、レセコンの普及により瞬時に治療費の算出が可能になると、歯科医院においても自動精算システムが進み、現金を取り扱う煩わしさから離れることが可能になります。
そうしますと受付担当者も、患者さんの誘導や案内などきめ細かな対応に注力することができるようになり、受付の役割が大きく変わることにもつながるでしょう。
AIをはじめとして、コンピュータによる情報処理が進むことにより、さまざまな新しいシステムが開発されることになります。投資すべき設備機器もさまざまなものが開発されますから、スムーズに設備投資が行えるよう、将来に亘った設備計画を立てておくことも重要です。