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デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮
現在通院している患者さんの利便性や医院の認知度、あるいは承継時に必要な設備コスト等からすると、現在の場所で診療を継続することは、事業承継を安定的に行うことにつながります。
現に一定の来院者がいらっしゃるわけですから、患者さんからすれば、スムーズに引継ぎが行われ、これまでと変わらず安定して診療を行っていただくことに越したことはありません。さらに、引き続き活用できる設備があれば、新たな設備を導入することの方に資金を活用することができます。
また診療の内容としては、今後はさらに歯冠修復や欠損補綴から、歯科衛生士による予防処置やメインテナンスの診療形態が加速するであろうことが考えられます。必然的に点数は下がる傾向になりますが、一方で定期的に来院する機会が増えるため、全体の患者数が増加する傾向がみられます。
したがって、同じ場所で事業を承継する際には、効率のよいアポイントの取り方を追究するなど、患者さんの増加に適切に対応できるようにしておきたいものです。
そのためには、チェアユニットを 1台あるいは 2 台増設し、増加が見込まれる患者さんに対応できる設備を整えておく必要があります。
診療所を拡張して、新たなチェアを導入できるスペースを確保できるのかどうか、待合室を広くして椅子を増やせるかどうかを検討する必要があります。
現在の歯科医院に、拡張する十分な余地がない場合は、別の新たな場所に診療所を建てることを検討します。その場合は、十分な広さを確保してチェアユニットの台数も増やし、また待合室や受付周りの動線もゆとりのあるものにします。より多くの患者さんが、快適に過ごすことができるよう、十分な規模で開業を行うことを検討します。
一からの立ち上げになりますから、設備にかかるコストが大きくなることがデメリットとして挙げられますが、新規開業歯科医院と同じく、綿密な事業計画を作成し、金融機関からの信用力を得て十分な資金調達を図ってください。また、できる限り現在の診療所から近い場所で立地を選定できると理想的です。新たな患者さんの確保と同時に、現在通院してきている患者さんにとっても、新しい診療所が近くにあれば安心です。それほど離れた場所でなければ、環境の変化に戸惑うことも少ないと思われますし、引き続き通院することにそれほど大きな支障はないと考えられます。
なお将来、旧診療所から新診療所へ患者さんを引き継ぐ場合には、患者さんに大きな負担をかけないために、早い段階から移転をすることの案内を徹底し、患者さんの十分な理解を得るようにしながら、スムーズな転院を図るようにしてください。
親から子へ事業を承継することのメリットは、現在通院している患者さんを引き継ぐことができること、および現有設備やスタッフ、あるいは慣れ親しんだ立地による土地勘を含めて、医院の経営資源を最大限に活用できる点にあります。
事業承継が完了するまでには、親子の診療方針の違いが浮き彫りになり、診療に対する考え方が対立してしまうなどのリスクもありますが、お互いの診療スペースをしっかりと確保すること、患者さんの担当を明確に分けること、あるいは干渉しすぎないように心がけることなどの取り組みによって対応が可能なはずです。親子どちらか一方が院長になるはずですから、最終意思決定権者である院長の指示に従うことをお互いのルールとして、親子間の人間関係を良好に保つことを心がけて事業承継を円滑に進めていくことを第一に考えたいところです。
また、同時に勤務歯科医師を採用し、いつでも訪問診療に出かけられる体制を整えておくと、古くから通院していた患者さんが要介護状態になった時でも、スムーズに訪問診療に対応することが可能です。新診療所への入り口にはスロープを設置すると患者さんも安心ですし、高齢者医療へ対応できることは、これまで通院してきた患者さんを継続して診ることができるという大きなメリットにつながります。
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