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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第58回 (171号)
これからの歯科医院のあるべき姿について考える
デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

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Business
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歯科医院経営講座171

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮

Question
開業後は、とにかく患者さんを確保することを第一に日々の診療を行ってきたのですが、最近になって、ふとこれからの医院の進むべき方向を考えたとき、このまま、とにかく患者さんを確保することにまい進することがよいのか、少し落ち着いてゆっくりと構えることがよいのかと考えることが増えてきました。これからの歯科医院の姿として、何を意識して、どういったことを行っていけばよいでしょうか。ポイントとなるところをご教示ください。
Answer
賑やかで、いつも患者さんのアポイントがたくさん入っている歯科医院を好む患者さんもいれば、静かで落ち着くからという理由で、あえてアポイントの状況があまりタイトではない、比較的予約を取りやすい歯科医院を好む患者さんもいます。歯科医院それぞれに他にはない特色があると、それに満足する患者さんが長期間にわたり通い続けてくれますが、歯科医院としても、その特色や特長を患者さんに伝え続ける努力を欠かすことはできません。今後、どういう歯科医院にしていきたいのかということを明確にするとともに、患者さんに支持し続けられる歯科医院として、医院の方針に沿ってくれる患者さんに対して、きめ細かく対応できる取り組みが必要です。
診療方針に則した経営を行っているか

今後の歯科医院のあり方をどうするかというときに、院長自身がどのような診療方針を取るかということが大きなポイントです。患者さんにとっての治療技術の良し悪しは、結局のところ自分にとって上手な治療に思えたかどうかということに基準が置かれます。
つまり、患者さんにとっては、歯科治療技術を正確に判断することが難しいため、自分が納得できる治療が受けられるかどうかということが、歯科医院を判断する何よりも大きなポイントとなります。
そこで医院として考えるべきことは、患者さんが、自医院の何に満足を感じて来院してきているのかを正確に捉えることを心がけ、柱とする診療方針と医院が進めようとしている取り組みをしっかりと合わせることです。
歯周・予防のメインテナンスに力を入れて診療を行おうとする場合には、歯科衛生士のきめ細かい対応力と、相応のスペースやチェア台数が確保できているかどうかが重要でしょうし、自費を中心とした治療を診療の柱に据えようとするのであれば、治療説明をしっかりと行える個室や、空間が広く患者さんがリラックスできる環境が保たれているかどうかがポイントとなるところです。
保険診療が中心であっても、患者さんの希望や要望にいち早く対応できる体制づくりが必要になるなど、医院の診療方針に相応しい取り組みを行うことが、より患者さんからの支持を得られることにつながるのです。

医院の強みは何か

来院する患者さんのうち、誰かからの紹介を得て来院する新患の数が、全体のどれくらいの割合いるでしょうか。
紹介のある患者さんが多ければ、それだけ現在の診療方針が患者さんに受け入れられていると判断することができますから、現在行っていることが、患者さんの満足度を高めることにつながり、それがうまく口コミや紹介につながっているということです。
つまり、現在の自医院にとっての強みが存在するということですから、医院の診療方針を強みとして、ますます積極的にアプローチを図ることができるのです。
一方、新患の数は多いけれども、紹介患者の割合がそれほど高くないという状況の場合は、例えば医院が一階にあるなど立地がよく、紹介を伴わなくても患者さんのアクセスが非常に好ましいことなどが考えられます。
この場合、立地がよいということは非常にアドバンテージになりますが、周囲に歯科医院が開業し、ますますその数が増えてくると立地の優位性は損なわれてしまいます。したがって、立地条件というのは相対的なものであることを前提として、周辺環境が変化したとしても揺るがない、医院独自の強みとなる対応は何かが問われるところです。
他人に医院を紹介するということは、よほど患者さん自身の心に強く残るものがあるということです。当院はこれが特長であるという、院長自身の覚悟から生まれるものが強みとなるのです。

設備投資は適切に行い十分に活用する

歯科医院を維持するにあたり、やはり設備投資をいかに行うかということは重要です。新たに高度な診療設備を導入するにしても、設備の老朽化に対応して更新を行うにしても、無計画で設備投資を行うことは避けたいところです。しっかりと医院の考えに沿って、必要となる設備は何か、次に投資すべきものは何かを見極めなければなりません。
しかし、歯科医院ごとに規模の違いがあり、考え方の違いがあり、いわば歯科医院の数だけ展開の方法が異なることは確かです。
つまり、診療方針の違いに応じて、またスタッフ規模や収入規模の違いに応じて、適切な設備投資の計画があるはずなのですが、その考えや診療方針が確立しないまま導入を行うと、十分に活用することができずに診療所の片隅に眠ったままの設備になりかねないのです。
特に、CTやマイクロスコープなど、新しく高額な設備機器を導入する場合は、診療のどの場面で活用することができるのかを、しっかりとシミュレーションを行うようにしてください。
事業収入を確保するための投資ですから、経営方針に則した内容であれば必ず活用できるものですから、導入までにしっかりと準備を整えることで、より効果的な活用につながります。

Advice
医院の特色を強く打ち出せば打ち出すほど、それに呼応する患者さんが来院しますが、一方で、雰囲気が合わない、考え方が合わないという理由で離れていく患者さんも存在します。それでも長期的に考えた場合には、明確な診療方針を打ち出すことによって、それに満足する患者さんとの関係はより強固なものとなり、安定した歯科医院経営へとつながります。院長自身が年齢を重ねるほど周囲には新たな歯科医院が開業し、ますます経営環境が厳しくなる中で、揺るぎない診療スタイルを確立することができれば、患者さんにとっても高い満足が得られることになります。どのような状況でも、歯科医院のあるべき姿がぶれることがなければ、経営が不安定になる可能性は少なくなるでしょう。

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