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デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮
患者さんの来院数が減少傾向にある、スタッフが最近集まらなくなってきた、といった現象が出始めてから動き始めると、どうしても対応が余裕のないものになってしまいます。そうしますと、気持ちの焦りを生じることになり、本来穏やかな気持ちで医院の状況を把握できていたことが、時に感情的になり、医院の雰囲気も重たいものが流れるようになります。
したがって何事も積極的に対応し、常に先手を打つことを心がけたいものです。積極的に取り組むためには、現状分析を行い、将来を予測しながらいくつかの対策を検討することが必要です。たとえば、スタッフの応募が少なく十分に人材の確保が進まなくなってきた場合には、電子アポイントシステムや自動洗浄器など、効率化を図ることができる設備機器を導入し、スタッフの業務効率を引き上げることを検討します。その一方で、現状のスタッフで対応できるところまで、医院の規模を縮小することを考えてもよいかもしれません。規模を縮小することは決して消極的なことではなく、業務を絞ることは患者さんに対して手厚くきめ細かい対応へとつながるものです。
いずれにしても、将来を考えた早い段階からあらゆる状況を想定し、さまざまな検討を進めながら、内容に合わせた収支計画等を作成し、後手にならないよう積極的に行動していくことが大切です。
スタッフと対峙する際、必要なこと以外は寡黙になりがちですが、可能な限りスタッフとは活発なコミュニケーションを図ることが望ましいと考えます。楽しい話ばかりでなくてもよいですし、厳しいこと、口うるさいことでも、スタッフに対しては遠慮せずに話をしていくことが大切です。
特に変化を伴う際には、院長がスタッフと密にコミュニケーションを取ることによって、院長の考え方が伝わりやすくなりますし、スタッフにはこうなってほしいという院長の希望や、して欲しいこと、して欲しくないことなども伝わるようになります。
すべてのスタッフが院長の意を汲むことができるわけではありませんが、その中から少しずつ院長の右腕となる頼もしいスタッフが育つようになります。
スタッフの顔色を窺いながら関わることよりも、院長の想いをわがままなぐらいに出していくことの方が、スタッフとしてついていく人は院長の人柄を理解しやすくなるものです。
時には、院長の考え方についていけずに去っていく人もでてきますが、その中で続けていく人は、気持も強くしっかりと自分の考えを持つ人たちですから、自分のやるべきことを遂行し、医院に対して大きく貢献できる人材であるといえます。
少数でも、各々が持てる力を最大限発揮してすぐれた集団となるためには、スタッフそれぞれの持ち味をどう見抜き活かしていくかという、院長のきめ細かな観察が必要です。
スタッフには、几帳面な人、患者さんとの関わりが上手な人、リーダーシップを発揮できる人、スタッフ間の調整が上手な人など、各々さまざまな特長をもっているはずです。
人とのコミュニケーションは得意だけれども、管理的なことは苦手というスタッフに対して、物品の管理やスタッフ同士のきめ細かな調整は難しいかもしれません。
一方、人付き合いがあまり得意ではない人が、受付で日々患者さんとの関わりを行うとすれば、前向きに業務に取り組むことができないかもしれません。
その仕事が好きか嫌いかではなく、本人の特性として得意なことを任せることは、モチベーションを保つことにつながります。
また、担当業務について新しいアイデアなどを積極的に出せるようになれば、確かな職務遂行、さらには業務改善へとつながるものです。
スタッフの特性を活かすために、日頃からスタッフの考え方や物事への取り組み方に対して、院長がきめ細かく目配りをして、スタッフをより深く理解することに力を注いでください。