DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

歯科医院経営講座 -21世紀の歯科医院経営-

第63回 (176号)
スタッフの力を最大限に引き出すための環境づくり
デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

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歯科医院経営講座176

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮

Question
これからは人材をしっかり育てながら歯科医院経営を進めていきたいと思います。人材を育成し、スタッフの力を存分に発揮できる医院づくりに向けて、抱えるスタッフの力を十分に引き出し、全体の力で医院の競争力を高めていくために、どのようなことを考えておけばよいか、またスタッフに対してどのようなことを施せばよいかを教えてください。また、院内をまとめるためには中心となるスタッフが必要と思いますが、そのような人材が容易に見つからない場合なども考えると、院長としてどのようなスタンスで取り組むことがよいでしょうか。
Answer
スタッフの力を存分に引き出すためには、人材を適切に指導し、教育し、随時次のレベルへとステップアップできる取り組みや環境づくりを大切にしたいところです。患者さんからの信頼を得ることで来院患者数が増えるわけですが、人とのコミュニケーションの取り方にも人それぞれがあり、1対1のコミュニケーションが得意な人、複数のスタッフを統率しながら指示を出し、全体としてまとめることが得意な人など様々な特性があります。それぞれの特性を生かせるように全体としてしっかりとまとめ、魅力ある歯科医院を作りたいものです。各スタッフの特性を最大限発揮できることと同時に、新たな特性やスキルを獲得できるよう日頃から考える癖をつけ、学ぶことを継続して、院長とスタッフの相互理解がより深まることを目指しましょう。
スタッフを育てる上での問題点

人材活用を進める際に問題となる点がいくつかありますが、一つはリーダーとなる人材の不在です。リーダーをやれるかやれないかは後の問題ですが、まずはリーダーを引き受けようという前向きで強い気持ちを持つスタッフをどう獲得するかということです。院内スタッフの中から相応しい人材を引き上げるか、あるいは、採用を通じて人材を探すかということになりますが、長期的な視野に立ち、人材の獲得に向けて根気強く取り組む必要があります。
そして、人材が育つ院内の風土づくりです。常に素直な気持ちで行動すること、迅速に対応することはもちろんですが、これがなかなか難しく、時には院長がスタッフの目線まで下りていき、スタッフ間のコミュニケーションが活発になるよう働きかけることも必要です。
一方で、スタッフが退職してしまうリスクもあります。入職したスタッフが数カ月と持たずに辞めてしまう、あるいは長続きしないといったことが続くと、なかなか腰を据えて継続した取り組みを行うことができません。長期に亘り人材の活用を進めるためには、各スタッフの意識を同時に高めていく必要があります。日頃から、人と接する際の態度や、言葉遣いなど、基本動作については自然と行えるように高い意識を持たせることが大切です。

働く場としての魅力を出す

即戦力となる人材をすぐに確保できるに越したことはありませんが、思うように進まないことはあまり珍しいことではありません。むしろこちらが望む資質を持った人材にはなかなか出会えないことは多いものです。そのため、現有のスタッフの力をどう引き出していくか、あるいは医院の目指す方向に向けて、どのような力を身に着けてもらうかということを検討してください。
必要に応じて、研修会や講習会、セミナー等へ積極的に参加して、新たな考え方やスキルを身に着けることは必要なことです。新しい知識を身に着けることで自分に自信が持てるようになり、より積極的に業務に取り組もうとする姿勢が生まれることを期待したいものです。参加費や旅費などの経費増が生じますが、将来への投資として「研究図書費」や「旅費交通費」の経費予算については少し多めに検討しておき、適宜人材育成に力を入れることができる準備を進めてください。
また、院内の労働環境を整えるために、健康保険や厚生年金などの福利厚生を充実させることのほか、給与水準の見直しを図りながら、周辺歯科医院との待遇差が大きくならないような検討を進めることも重要です。
残業の管理や有給休暇の取得促進など、常々変化する労働基準法の内容も注視して、院内の労働環境の整備や改善を進め、働く場として選ばれやすい歯科医院を意識してください。

業績の変化を共有する

リーダーを中心として医院をまとめる中で、周囲のスタッフにも十分に力がついてきたとすれば、数字として医院の実績にも反映されるはずです。収入実績はもとより、原価や経費率なども変化が生じているようであれば収支状況も細かく注視してみてください。
さらに、患者さんのキャンセル率の変化や、新患の増加や患者紹介率の上昇、レセプト枚数の変化なども確認してください。また、スタッフ自身で医院の状況を確認できるように、表やグラフなどを活用してスタッフ全員が目で見て理解できることを目標として取り組んでみるとよいでしょう。
医院全体の意識が高まり、リーダーを中心にスタッフのきめ細かい取り組みが定着するようになると、患者さんに対してもより積極的に関与できるようになります。スタッフの前向きな力強い言葉によって患者さんの意識にもよい変化が生じるようになり、患者さんと医院の間で、より強固な関係が築かれるようになります。
医院の業績によい傾向が見られるようになった場合には、頑張りに対する評価としてスタッフの給与や賞与などの処遇にも反映し、自分たちが行ってきたことが医院の業績に大きく寄与していることを強く実感できるようにしてください。

Advice
人材の適正な配置や教育を施しても、すぐに結果が伴うわけではありません。少しずつ目に見える形で表れてきたり、気が付けばスタッフの退職も減少し勤続年数の長いスタッフが目立ってきたりするようになるものです。その都度、目指すべき目標を設定し、目標に応じた取り組みを施し、取り組みに対する効果を検証し、また次につなげていくことを意識してください。時には効果のない取り組みもあるかもしれませんし、力が付いたことを実感できるまでには何度も様々のことに挑戦してみることが必要な場面があります。院長としては、取り組みと効果の検証を繰り返し、何がスタッフにとって相応しいのか、最大限力を発揮できるのは何かを数字とともに把握するようにしてください。

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