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第65回 (178号)

将来を見据えた医院経営のポイント

デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

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歯科医院経営講座178

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮

Question
将来に向けてどのような歯科医院を築いていくかを思案中です。来院される患者さんも増えつつあり、それに伴って収入が増加してきているので医療法人化を検討すべきか、さらには分院を出すことを検討した方がよいのかどうか、いろいろなことが漠然としているのでどうすべきかと考えています。資金の自由度からすると、個人事業のままの方がよいというアドバイスを受けることもあるのですが、どういったことを考えてこれからの歯科医院経営を進めていけばよいか、ポイントとなることがあればご教示ください。
Answer
患者さんが増え、収入が増加している傾向は大変素晴らしいことですし、医院の取組みや、スタッフを含めた医院全体の存在が地域に受け入れられてきているということだと思います。同時にこれから先、医院をどう導くかと考えるとき、医院の中心となる考え方を、スタッフにも周囲にもわかりやすく示していく必要があります。今の地域により一層深くかかわるために、医療法人化を検討してより充実した設備や人材確保を進めるのか、もう少し広い地域を想定して分院を開設し、医院が目指す歯科医療の内容を広めていこうとするのか、あるいは医院の特長となる診療内容に特化した診療方針を定め、そこに導入する設備や必要とする人材を集中して、この分野であれば誰にも負けないという特化型の歯科医院を目指すのかなど、これからの歯科医院の姿を強くイメージできることを重視します。
今後の大きな動き、事柄を整理する

今後迎える大きな節目となる事柄として、ご質問にもあるように医院形態をどうするかということがあります。
医療法人を設立すると資金的にどうなるのか、分院を開設するにあたっては新たにどの程度の資金が必要になるのか、資金調達は自己資金で行えるのか、あるいは借入を伴う必要があるのかということが検討事項として挙げられます。
その他、チェアやCTあるいはマイクロスコープなど大型医療機器の更新や増設の時期に資金はどの程度必要かということや、内装外装の大掛かりな修繕計画の時期や費用なども計画しておく必要があるでしょう。
一方で、個人の生活に目を向ければ、自宅の購入をどの時点で行うか、自動車の乗り換えは何年ごとに行うか、子供たちの進路に応じてどれぐらいの教育資金が必要になるかということも考えておかなければなりません。
すべての決定は院長の考えに基づいて行うことになりますが、歯科医院と個人の生活それぞれについて、大きな資金を必要とする事柄をあらかじめリストアップして整理しておくとよいでしょう。
その中で、院長にとって必要なこと、重要なこと、今するべきことなどを明らかにし、ご自身の考えをまとめていくようにしてください。

将来にわたる生活設計や資金計画を作成する

今後、歯科医院経営を継続していく上で、このようなことがしたいということを実現するために、目に見える形で理解できるように、将来にわたっての生活設計および資金計画を作成することを検討してみてください。つまり、「ライフプラン」をもとに資金計画を作成するということです。
重要な事柄が起こる節目に、かかるべき費用やどの程度収入が必要なのかがわかれば、早い段階から準備ができるだけでなく、一つの大きな目標として、歯科医院経営を進めていく上での強いモチベーションにもつながっていくものです。
地域医療に貢献し患者さんの健康を守ることと同時に、歯科医院も一緒に発展するために、生活設計や資金計画を作成し、将来の望むべき姿を考えることは非常に大切です。
実際に迎える重要な事柄に対して、借入計画や返済計画を含めた資金計画の検討を進めていくと、その時々でどれぐらいの資金の出入りがあるのか、その結果手元にどの程度の資金を残せるかがわかります。しっかりと資金を残すことができる計画なのか、思ったより資金が残らない計画となれば、途中の計画を見直しながらシミュレーションし直すことが可能です。
今後、より積極的な経営を進めるにあたり、資金計画により将来的なことが明確になるだけでなく、万が一の場合にも落ち着いて対応することが可能です。

自らの価値観を反映できる形に

将来設計をして改めて考えを巡らせていくと、院長として自らの歯科医院をどのように発展させることがよいかが整理されてくるものです。
医療法人の設立を検討する際にもいろいろな契機がありますが、歯科医院の規模を大きくして、より積極的に地域医療に携わろうとする場合もあれば、節税対策を主眼に置いて医療法人設立を考える場合もあるでしょう。
あるいは分院を開設するということにしても、多くの歯科医師やスタッフとともに医院経営を手広く行いたいと思う気持から決断することもあれば、地域住民から強く要請されて新たな診療所を開設せざるを得なくなったという場合もあるでしょう。
その一方で、大規模歯科医院であっても個人での経営形態を維持し、事業用資金・生活用資金といった制約を受けることなく自由な裁量で医院経営を行う歯科医院もあります。
あるいは、医院の規模を大きくするばかりではなく、歯科医院の強みとなる経営資源に集中して投資を行い、設備を充実し、スタッフの育成に力を入れ、やりたいことのすべてを積極的に行うことに全力を注ぐ歯科医院もあります。
今後いろいろに発展する可能性のある歯科医院において、理想とする歯科医院の姿と自らの価値観が反映される実現可能な計画がしっかりと結びつくことが大切です。

Advice
来院する患者さんが増えて診療収入も順調に推移する経過にあっても、将来を考えるにあたり具体的に目に見える形があると安心できるものです。大きな決断をする際には、やはり数字でしっかりと確認したいものですが、資金を必要とする段階になって慌てることがないように、大きな流れを把握する意味でも、将来にわたってシミュレーションすることを検討してみてください。生活設計や資金計画を作成する際には、一つの形だけではなく、医療法人を設立する場合、分院を開設する場合、個人事業を継続する場合など、可能性のあるいくつかの形を検討するとよりイメージしやすくなります。

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