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第68回 (181号)

スタッフとの円滑なコミュニケーションを図るために

デンタル・マネジメント・コンサルティング 門田 亮

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歯科医院経営講座181

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮

Question
当院のスタッフは、常勤・非常勤を合わせて現在10名を少し超えるほどになりましたが、スタッフの増員に伴って、少しずつコミュニケーションミスを起こすようになってきました。気が付くと指示したことと違うことが行われていたり、私の意図と違う捉え方をしていたりということがありますが、事務的なことであればまだ対処できるとしても、薬の渡し間違いなどに発展すると取り返しがつかず、医療事故にもつながることですので不安が募ります。どのような取り組みを考えていけばよいでしょうか。
Answer
コミュニケーションの場において、話す表現や言葉によって、伝える側が意図しない形で相手に伝わることがあります。「そんなつもりではなかった」「そのようなことは言っていない」ということになり、結果として物事が何も進んでいなかったという事態につながることがあります。常に意識しておきたいことは、院長からの指示は一見院長からスタッフへの一方通行のようですが、本来は、指示をどう受け止めたかをスタッフからも意思表示をする必要があります。つまり双方向の情報伝達ということです。特に業務完遂までに時間がかかる案件については、指示を出して終わり、指示を受けて終わりとするのではなく、お互いの情報を出しながら、常に状況を把握できる体制を心掛けることが必要です。
具体的な指示を心掛ける

指示の出し手と受け手の双方が、コミュニケーションギャップを生じないようにするために注意することの一つとして、指示を出す際には、何を、いつまでに、どのように行ってもらいたいのかを具体的に示すことが必要です。
「何を」に該当する部分としては、例えば、物品や消耗品に関する管理表等の作成を指示する場合には、どのような表を作成して欲しいかを、必要に応じて図で描いて渡すなど、お互いが目で見て確認できるような出し方をすると間違いは少なくなります。
また、患者さんに告知するべき事項を院内の掲示板等に貼ってお知らせする場合には、掲示物の意図や構成、あるいは文面の中に入れてほしい言葉や表現などを、文字に残して伝えることも必要です。
提出期限を決めて院長の確認を得ながら、指示を正確に遂行するようにします。
具体性に欠ける指示内容ほど、院長の意図とはかけ離れた結果となる可能性が高くなります。
指示についてわからないことはないか、あるいは「わからないことがあれば聞いて」という言葉を添えて、指示を遂行するスタッフが質問しやすい環境づくりを大切にしてください。
院長の指示が具体的に伝わればスタッフにとっては行うべきことが明確になり、院長もスタッフも満足のいく結果につながります。

指示に対する確認作業を行う

ビジネスの場面における上司と部下とのコミュニケーションに必要な要素として、広く「報連相」を意識することが言われています。
つまり、ものごとの経過や進捗については随時的確な「報告」を行い、業務を遂行するに上で得た情報や伝えておかなければならない事項については適宜「連絡」をする、さらに、業務上において不明な点や判断に迷う事項が出た場合にはすぐに「相談」を行うことなど、常にコミュニケーションが継続できるように、両者ともに心掛けなければならない重要なキーワードです。
そして、さらにコミュニケーションを確かなものにするために、スタッフからのフィードバックとなる「確認」を行うようにしてください。
指示を出した際に、実はまったく違う理解をしていたということがあります。スタッフが発する「わかりました」という返事で安心せず、院長が出した指示に対して、「○○の管理表を提出するようにします」「○○を作成して○○までに確認をしていただくようにします」と指示の内容を繰り返す形で確認作業を行うようにします。
随時確認を行うことによって、指示を正確に理解しているかどうかがわかります。スタッフの受け答えが指示した内容と食い違う場合は、間違った解釈をしていることになり、その場ですぐに修正をすることが可能です。

話し合った内容を記録として残す

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、食事会なども大きく制限され、普段の何気ないコミュニケーションについても相手との情報共有不足を生じる場面があります。
スタッフと落ち着いて向き合う時間が少ないときは、院長の考えや方針をスタッフに浸透させるために、診療時間内の少しの時間を使ってミーティングを開催することを検討してください。院長と一緒に中心となるスタッフが事前に議題を作り、そこで院長の方針や考えを改めて確認し、医院全体のミーティングでスタッフ全員が共有する時間を取ることは非常に重要です。
ミーティング終了後には、協議した結果の内容や、院長から指示があった内容あるいは院長が考える今後の医院体制など、ミーティングで話し合った内容についての議事録を作成します。
内容の定着や、指示に対する始動を早くするためにも、ミーティング終了後の早いうちにまとめて、スタッフ全員が共有して閲覧できるようにします。
少人数であれば、一人ひとりに話をして伝える方法でも情報が行き渡りやすいものですが、大人数の場合は、全員が一堂に会して一斉に情報を共有できる場を設ける方がよいでしょう。
堅苦しい雰囲気よりもむしろ、多くのスタッフから意見が出せるような雰囲気を大切にして行うようにしてください。

Advice
歯科医院の規模が大きくなり、スタッフの人数が多くなればなるほどコミュニケーションのミスが生じる場面が多くなります。時には、スタッフが自らの価値観によって都合よく解釈をしてしまうことが問題を大きくさせることがあります。情報の行き違いを未然に防ぐために、組織として一定の情報伝達ルールや仕組みを整えることが大切です。強いリーダーシップのもとにスタッフとはさらにきめ細かく接することを心がけ、円滑なコミュニケーションを図ってください。

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