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108号 SPRING 目次を見る

WORLD REPORT

システマティックなヘルスケアーのためのグローバルネットワーク ミーティングとタイ国立タマサート大学歯学部見学に参加して

木村 守隆

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■目 次

■Dr.Beachとタマサート大学

[写真] 講演を聴講している筆者(左端)
講演を聴講している筆者(左端)。
2月8日~10日の3日間、タイ国立タマサート大学で開催された第1回Meeting of the Global Network for Systematic Health Care とタマサート大学歯学部見学ツアーに参加してまいりました。
日本からはDr. Beachを囲むスタディグループAPLO(Academy of Performance Logic for Oral Health)、OMUA(Optimum Management Unit Association)のメンバーを中心に35名が、それぞれ成田、大阪、福岡から3グループに分かれて渡航しました。
そもそも、タマサート大学歯学部は、世界に先駆けてDr.Beachの提唱する安定型診療台を全ての診療エリアに導入した画期的な大学です。
Dr.Beachは、タマサート大学歯学部長Dr.Prathip PhantumvanitやDr.Yupin、フィンランドのAssociate ProfessorであるDr.Heikki Talaなど多くの協力者のもと、歯学教育の改革に邁進されて来られました。
恩師の集大成ともいえるプロジェクトを一目見たいと、企画をBeach先生に持ちかけたところ、たまたまGlobal Meetingの開催時期と合致したため、こちらにも参加させていただくことになりました。

■グローバルネットワークミーティング

[写真] 講演中のDr.Beach。
講演中のDr.Beach。
日本から参加された歯科医師はほとんどが一般開業医です。7日の午前中はしっかりと診療され、午後から最寄の空港に向かうというハードスケジュール?でした。
バンコク到着は深夜、ベッドインしたのは午前2時を回っていました。
タマサート大学はバンコク市からは北西に車で約1時間のところにあります。
翌朝、眠い目を擦りながら到着したタマサート大学は、その敷地面積が茨城県の筑波大学にも匹敵するほど広大なものでした。
うら若き二人の美女の案内にしたがってミーティング会場に向かいました。
実はこの女性たち、立派な歯科医師であることを後で知りました。
当初はインフォーマルなミーティングを想像しておりましたが、実際は11カ国から総勢80名を超える参加者に驚きました。
[写真] 各コーナーに分かれて実習中の参加者と大学スタッフ
各コーナーに分かれて実習中の参加者と大学スタッフ。
ミーティングはDr.PrathipとDr.Penchanの挨拶ではじまり、Dr.Beachの講演がありました。相変わらずの壮大な構想を理解するのは至難の業、唯一に救いは、いつも聞きなれた三明女史の同時通訳の声でした。
その後、Dr.Heikki Talaのわかりやすく、ユーモア溢れる講演を拝聴し、やっとミーティングに参加できたという実感が湧いてきました。
初日最後は、宿泊先のアジア・エアポート・ホテルに場所を移し、レセプション・パーティーが開かれました。
[写真] レセプション会場で歓談中の参加者
レセプション会場で歓談中の参加者。
各国代表の挨拶に続いて、森田晴夫モリタ社長の流暢な英語の祝辞、私と同い年とは思えないスマートさに妬みを感じながらやけ食い。
これが後ほど命取りになろうとは…。
実は、タイ出身のセティシャイ先生(愛歯科湯河原診療所)とパーティを抜け出して「フカヒレ」を食べにいくことになっていたのです。
水戸律夫APLO会長(ア歯科水戸診療所)、越智先生(愛歯科診療所)、三原先生(大阪三原歯科)、塙先生(笠間市塙歯科)と連れ立って、タイ名物の交通渋滞に巻き込まれながら世界最大のチャイナタウンに向かいました。
[写真] 森田晴夫モリタ社長に記念品を贈呈する、大会長:タマサート大学歯学部長Dr.Prathip Phantumvanit
森田晴夫モリタ社長に記念品を贈呈する、大会長:タマサート大学歯学部長Dr.Prathip Phantumvanit。
あとで聞きましたが、ガイドブックには「慣れない旅行者は行かないほうが…」と書かれてあったそうです。
確かに、路上に並べられたテーブルと椅子の50cmほど後方をビュンビュン走り去る車に恐怖感はありましたが、それを差し引いてもあまりあるほど美味しい「タイ風フカヒレスープ」でした。
M先生の強引なお誘いで、もう一軒屋台のはしごをすることになりましたが、満腹の私には「食べたいけど食べられない」拷問のような時間を過ごすはめになりました。
結局この日も深夜のベッドインとなり、風邪気味で訪泰した私をこういう形で気遣ってくれる仲間に感謝しながら初日の日程をこなしました。

■pdベース診療

[写真] 愛歯科サイアム診療所
愛歯科サイアム診療所。
ミーティング2日目はGlobal Network設立会員である各国の代表者の発表がありました。
各地でのpd(proprioceptive derivation:固有感覚受容に基づく演繹)ベース診療の取り組みや活動状況が報告されました。
日本からは大阪大学歯学部臨床助教授の三原丞二先生が発表されましたが、大変興味深い内容でした。タイトルは「Systematics Care for the handicapped」。
健常者のみならず、心身にハンディキャップを持ち、不随意な動作をする方にとってさえも、リクライニング型のデンタルチェアがいかに不合理であるかいうことを歯科医師はあらためて認識する必要があることを感じました。
その他、Dr.Jean-Michael Laffont(フランス)、Dr.Michael Dougherty(米国)、Dr.Kim(韓国)、Dr.JacQues Verre(インド)らによる熱心な普及活動は、われわれに勇気と活力を与えてくれるものでした。

■おわりに

[写真] タマサート大学歯学部ホール
タマサート大学歯学部ホール。ウェルカムボードの前に集まってこられた参加者。
最終日は、バンコク市内にある愛歯科サイアム診療所(AI SIAMDENTAL CLINIC)を見学した後、帰国のために空港に向かいました。
来年にはタマサート大学歯学部新校舎に6ユニットのOMUが完成する予定です。近い将来、この大学が世界の歯学教育の情報発信地となることは疑いのない事実です。
Dr.Beachの教えを受けられたことで、歯科医師として幸福な人生を歩むことができたわれわれは、ソフト面でも新たなサポートをしていく使命があると思います。
第2回のミーティング候補地として、各国から手があがりましたが、来年もこの地に集い、臨床データを持ち寄り、検討分析し、少しでも歯科医学の発展に寄与できればと考えます。
最後に、今回の企画にご参加いただいたAPLO、OMUAの先生方やご協力をいただいた事務局の皆様に心より感謝申し上げます。

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