DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

TECHNICAL HINT
ジルコニアの切削・研磨システムについて
山田 和伸

■目 次

■はじめに

最近の、メタルフリーをもとめる審美修復材料のなかで注目を集めているジルコニアは、ヌープ硬さが1250Hkといわれ(ダイヤモンド5500~8500Hk)、モース硬度は8~8.5とサファイアやルビーに次ぐ硬さを有する(ダイヤモンドは10)。
クラウン・ブリッジ用に加工されたジルコニアコーピングでは、システム間での差こそあれ、マージン付近が厚い。これは、歯冠補綴物の生命線ともいえるマージンを損傷なく再現するためにはやむをえない。また、インプラントのジルコニアアバットメントにしても、特にインプラント体上縁から歯肉を貫通する部分において、個々の粘膜形状に合ったカウントァーに加工しなければならない場合がある。ところがこれらをラボサイドで加工する際、セラミックスという素材の性質上、過熱を避けてマイクロクラックを防止すべきであるし、効率よく切削・研磨したい。
今回EDENTA(輸入発売元モリタ)から歯科用ジルコニアの研削および研磨に適したハンドピースエンジン用の各種ポイントがシステムとして発売されたので、その使用手順を紹介する。
図1は、ジルコニア切削に適したCeraPro(セラプロ)である。4形態を揃え、一般的なコーピングまたはインプラントアバットメントの形態修正や、マージン付近の厚みを調整するのに適する。写真ではわかりづらいが、シリコンラバーにダイヤモンドを練りこんだものではなく、切削感はカーボランダムポイントで硬石膏を削っている感覚に近い。
図2は、StarGloss(スターグロス)で、こちらは過度でない研削、またはCeraProなどで切削した後の塑造面を順次ならして研磨していくために使用するとよい。
図316にノリタケカタナシステムによるクラウンコーピング(ノーマル/カラード)の切削・調整ステップおよび図1724にジルコニアアバットメントの研磨ステップを示すのでアトラス形式にて解説する。

  • [写真]CeraPro(セラプロ)
    図1 CeraPro(セラプロ)。ジルコニアコーピングやジルコニアアバットメントの切削用。
  • StarGloss(スターグロス)StarGloss(スターグロス)
    図2 StarGloss(スターグロス)。ジルコニアコーピングやジルコニアアバットメントの研磨用。

■カタナジルコニアコーピングの切削・調整ステップ

  • [写真]カタナシステムによって得られた中切歯2本のクラウンコーピング
    図3 カタナシステムによって得られた中切歯2本のクラウンコーピング。
  • [写真]同舌側面観
    図4 同舌側面観。ミリング加工されるブロックの最後に取り残される保持部分の跡が確認できる。
  • [写真]唇側側方からみたところ
    図5 唇側側方からみたところ。マージン付近にやや厚みのある状態である。
  • [写真]CeraPro no.8004 に水分を含ませる
    図6 CeraPro no.8004 に水分を含ませる。
  • [写真]マージン縁端にふれないように、その上側を切削しているところ
    図7 マージン縁端にふれないように、その上側を切削しているところ。コーピングとポイントには再々水分を含ませる。
  • [写真]StarGloss no.1020でマージン縁端を慎重に研削する
    図8 StarGloss no.1020でマージン縁端を慎重に研削する。マイクロスコープ下で調整することをすすめる。また、チッピングを未然に防ぐため、エンジンは5000回転以下で逆回転に切り替えるとよい。
  • [写真]CeraPro no.8003でコーピングの上部(切端側)を切削しているところ
    図9 CeraPro no.8003でコーピングの上部(切端側)を切削しているところ。
  • [写真]ジルコニアコーピングのマージン付近と上部がトラブルなく切削調整された
    図10 ジルコニアコーピングのマージン付近と上部がトラブルなく切削調整された。
  • [写真]舌側面をスムーズな面に調整しているところ
    図11 舌側面をスムーズな面に調整しているところ。
  • [写真]調整され、スムーズな面になった舌側面
    図12 調整され、スムーズな面になった舌側面。
  • [写真]調整の終了したコーピングを唇側側方からみたところ
    図13 調整の終了したコーピングを唇側側方からみたところ。マージン縁端から上部にかけて移行的な面が得られた。
  • [写真]アルミナ50μを2気圧以下でサンドブラストする
    図14 アルミナ50μを2気圧以下でサンドブラストする。表面にはツヤがなくなる。
  • [写真]ポーセレンの焼付け面の切削・調整が終了したジルコニアコーピング
    図15 ポーセレンの焼付け面の切削・調整が終了したジルコニアコーピング。この後洗浄し、必要に応じてヒートトリートメントをおこなった後にウオッシュベイクから築盛操作をおこなう。
  • [写真]セラビアンZR(CZR)ポーセレン
    図16 セラビアンZR(CZR)ポーセレンはカタナシステムによるコーピングとのマッチングに優れたポーセレンである( 1 ホワイト、1 カラーコーピング)。

■ジルコニアアバットメントの研磨ステップ

  • [写真]ジルコニア製ArtAbuttmennt(日本国内未承認)ミリングタイプ
    図17 SPIシステム(アスパックコーポレーション)に用意されたジルコニア製ArtAbuttmennt(日本国内未承認)ミリングタイプ。
  • [写真]注水下にてタービンを用いる
    図18 多量に削る場合は、注水下にてタービンを用いる。
  • [写真]アバットメントの粘膜貫通部を、CeraProにて切削・調整する
    図19 アバットメントの粘膜貫通部を、CeraProにて切削・調整する。
  • [写真]切削された面
    図20 切削された面は塑造である。
  • [写真]StarGloss no.1020で図20の切削面をならしていく
    図21 StarGloss no.1020で図20の切削面をならしていく。
  • [写真]StarGloss no.1030で傷とりをおこなう
    図22 StarGloss no.1030で傷とりをおこなう。
  • [写真]StarGloss no.1040で研磨をおこなう
    図23 StarGloss no.1040で研磨をおこなう。この手順により、鏡面がえられる。
  • [写真]Art-Abuttment
    図24 膜貫通部が研削調整・研磨されたArt-Abuttment。

■おわりに

ジルコニアが広く知られるようになり審美修復に応用され始めた今、実際の技工工程のなかで、その出発点となるクラウン・ブリッジのコーピングやインプラントアバットメントの切削や研磨は誰もが必ずおこなう工程といえる。
それにあわせて、いくつかのメーカーから切削・研磨用のポイント類が整理されシステマティックに効率よくおこなえるよう供給されてきた。EDENTAのCeraProおよびStarGlossもそのひとつである。ジルコニアというセラミックスの特性を損なわぬよう、本文でふれたように注水、回転数、回転方向に注意して使用していただきたい。