DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

私の臨床
クラウン・ブリッジ オートリムーバー
古市紀子

■目 次

■患者さんの苦痛を緩和する安全性、効率性にすぐれたオートリムーバー

鹿児島県鹿児島市 桑畑歯科医院桑畑歯科医院は、平成16年に開設されましたが、昨年10月から、私がこちらのクリニックの院長として診療に携わっています。
クリニックの基本ポリシーは、包括的な予防歯科プログラムに基づいて、継続的なメンテナンスや口腔ケアを実行しながら、ストレスを感じないゆったりとした診療環境で患者さんをお迎えし、健康の歓びを感じていただくことです。
具体的には、審美性の高い補綴治療、ブラッシング指導から矯正治療、外科まで包括的な歯科診療、最新のホワイトニング、インフェクション・コントロール、プライベート性の高い半個室診療室の実現、院内デジタルネットワーク導入による視覚に訴える診療とインフォームドコンセント、カルテの完全開示、歯科衛生士によるメンテナンスの専任担当制、患者さんごとの治療計画を作成した「健康ノート」による情報提供、被曝量の低減、チャイルドルームの完備など、多岐にわたります。
なかでも日々、私が特に気を配っているのは、女性らしい感性と気づきを診療のあらゆるシーンに生かすことです。どんなに良い技術を持ち、精度の高い治療を行っても、ストレスがない、痛みがない、不快感がない治療を実践し続けなければ、患者さんとの信頼関係は育めませし、ずっと患者さんのお口の健康を見守っていくこともできません。
クラウン・ブリッジオートリムーバーを使うようになったのも、患者さんに対するそういう思いがあったからです。
以前は、手動式リムーバーを使っていましたが、最大の欠点は、歯根部への反動や衝撃が大きいため、患者さんが苦痛を感じること、私たち術者にとっても、補綴物撤去のコントロールには、ある程度の熟練が必要であることでした。
合着・仮着のポーセレンや金属補綴物の撤去時に、歯に加わる力は強く、患者さんが痛くて不愉快な思いをされたり、歯根部や仮着のセラミックなどにクラックが生じたりすることもあります。
クラウン・ブリッジオートリムーバーは、手動式リムーバーとは異なり、内蔵のマイクロモーターが常に一定の牽引運動を持続していますので、補綴物を撤去しやすく、作業時間も短縮できます。
横方向の衝撃をコントロールできますから、振動の負荷が大きい手動式リムーバーに比べて、患者さんに対する衝撃が大幅に緩和されているのです。
しかも、ハンドピース上部のリングを左右に回せば、振動の強さを自由に調整できますので、患者さんの不快感はかなり和らいでいると思います。
クラウン・ブリッジオートリムーバーは、仮着の撤去時におけるマイクロクラックの発生や歯根破折のリスクも少なく、簡単・確実、短時間で撤去できる効率性のよさが特長です。
また、フックやチップの種類やサイズも豊富で、さまざまな症例に対応できる点もメリットですし、ハンドピースも付属品も、すべてオートクレーブ滅菌できるので、インフェクション・コントロールの面から見ても、とても安心です。
このオートリムーバーを使ってからは、患者さんが感じる振動の負荷や衝撃が激減したので、患者さんだけでなく、私たち術者が感じるストレスも少なくなり、より余裕を持って患者さんに接することができるようになりました。「歯医者さんって恐くてなかなか来れなかったけど、ここに来て良かった」…そんな患者さんの笑顔が今の私の一番の励みです。

症例1

  • 全顎にわたる咬合治療を行った症例写真
    図1a 全顎にわたる咬合治療を行った症例。多数歯にわたるプロビジョナルレストレーションが必要な場合でも、オートリムーバーならスムーズな着脱が行え、患者さんの負担を大幅に減らすことができる。
  • ポンティック部分にワイヤーをかけてプロビジョナルを除去する写真
    図1b ポンティック部分にワイヤーをかけてプロビジョナルを除去することにより、歯肉への損傷を少なくすることができる。
  • 脱着したプロビジョナルの写真
    図1c 手動式リムーバーはプロビジョナルの着脱を繰り返すうちに破折がおこり、術者、患者さんともに大きなストレスになっていたが、オートリムーバーを使用することで、ストレスがなく、チェアタイムも大幅に短縮することができた。
  • 実際にオートリムーバーを使用しているところ
    図1d 実際にオートリムーバーを使用しているところ。患歯の状態、補綴物の種類等によって、使用するインスツルメントや、振動の強さを変えて使用している。
  • 生活歯にプロビジョナルレストレーションを装着して咬合治療を行う写真
    図1e 生活歯にプロビジョナルレストレーションを装着して咬合治療を行っていたが、左下6番の自発痛のため抜髄。このような場合も、オートリムーバーなら、患歯に余計な力がかかることなく、スムーズに根管治療を行うことができる。
  • レントゲン写真
    図1f 抜髄後の不快症状もほとんどなく、スムーズに根管充填ができた。

症例2

  • 術前の口腔内写真
    図2a 術前の口腔内写真。臼歯部の審美補綴を希望されたので、FCKを除去して、セラミック修復を行うことにした。
  • セラミック修復の写真
    図2b セラミック修復においても、オートリムーバーは弱い力を継続的に加えるため、調整の際に修復物を破損させる危険が少なく、安心して使用できる。
  • 補綴物装着後の口腔内写真
    図2c 補綴物装着後の口腔内写真。歯肉に損傷を与えることなく、修復を終えることができ、患者さんに満足して頂くことができた。

症例3

  • 治療前の写真
    図3a 前歯部の審美修復を希望して来院。根管治療が必要となったため、プロビジョナルレストレーションを装着した上で、根管治療を行った。このような場合も、オートリムーバーを使用すれば、患歯にかかる負担を軽減できる。
  • 治療中の写真
    図3b 1歯のみのプロビジョナルレストレーションには、この形態のインスツルメントを使用している。

  • 図3c 2回の通院で、根管充填を行うことができた。オートリムーバーを使用するようになって、根管治療にかかる回数が、以前より少なくなったように感じている。