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私の臨床

SPIインプラントシステム

中村 一

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日本人の顎骨条件に適応しやすいSPIコンタクトインプラント

岐阜県各務原市 中村歯科クリニック 院長 中村 一岐阜県各務原市 中村歯科クリニック 院長中村 一

歯科インプラント治療は今や、その予知性(Predictability)の高さと長期安定性(Longevity)への評価から、ますます臨床的応用が広まり、今日では包括的歯科治療の1オプションとして必要不可欠なものとして定着してきました。
欧米人に比べ、民族的に元々顎骨条件が厳しいと思われる日本人では、自ずからその適応が困難と思われるケースに遭遇することも多いようです。
SPIコンタクトインプラントは、オペステップのシンプルさと、コニカル・シリンダー型のフィクスチャーデザインの特長から、わずかな骨増生や骨移植手術Bone Augmentationを施すことで容易に埋入が可能となります。
以下に、症例を紹介します。

■症例1

患者:
初診時(2003/12/24)20歳、女性
主訴:
上顎前歯部の痛みと歯肉腫脹
患者:
既往歴:特記すべき事項なし

口腔内所見及び治療計画:Tooth Jaw Discrepancyに起因する歯列不正(Crowding)および、それに伴う中等度歯周炎が認められた。また来院時より、3年程前にう蝕に起因してEndo治療を施された1 に歯根破折が認められたので抜歯した。
通例の歯周初期治療や矯正治療終了後、同部にSPIコンタクトインプラント(カラー部φ4.5mm長さ12.5mm、骨縁下14mm)を埋入した。一次オペ時プラットホームレベル唇側骨壁の欠損が認められたので、同部に自家骨切削粉を移植した後、チタンメンブレンをヒーリングキャップにて固定し、減張切開を加えた後、単純縫合した。
約6ヵ月後、メンブレン直下にプラットフォームレベルで理想的な骨造成が確認できた。

  • 歯列不正および前歯部不良補綴物による中等度の歯周疾患が認められる。1 根尖部には膿瘍および瘻孔も認められる。
    図1a 歯列不正および前歯部不良補綴物による中等度の歯周疾患が認められる。1 根尖部には膿瘍および瘻孔も認められる。
  • 初診時上顎前歯部デンタル。1根尖部周囲に骨透過像および歯根破折所見、根近接等が認められる。
    図1b 初診時上顎前歯部デンタル。1 根尖部周囲に骨透過像および歯根破折所見、根近接等が認められる。
  • 同部抜歯時。(2004/1/30)
    図1c 同部抜歯時。(2004/1/30)
  • 同部抜歯後約6 M デンタル所見。抜歯窩の安定が確認できる。(2004/6/19)
    図1d 同部抜歯後約6 M デンタル所見。抜歯窩の安定が確認できる。(2004/6/19)
  • 矯正治療中。動的矯正治療終了直前。(2004/8/11~2007/1/24)
    図1e 矯正治療中。動的矯正治療終了直前。(2004/8/11~2007/1/24)
  • CT SimPlant画像にて同部歯槽骨唇舌的骨量不足や唇側歯頸部寄りの骨欠損が認められるが、このような日本人に多く見られる骨量・軟組織共に不十分なケースにおいても、SPIコンタクトインプラントのコニカル・シリンダー型デザインであれば、プラットフォームレベルの骨造成(増生)を行うだけで埋入が容易となる。(2004/4/13撮影)
    図1f-1 CT SimPlant画像にて同部歯槽骨唇舌的骨量不足や唇側歯頸部寄りの骨欠損が認められるが、このような日本人に多く見られる骨量・軟組織共に不十分なケースにおいても、SPIコンタクトインプラントのコニカル・シリンダー型デザインであれば、プラットフォームレベルの骨造成(増生)を行うだけで埋入が容易となる。(2004/4/13撮影)
  • 一次オペ時。同部唇側プラットフォームレベルの骨壁が不足していたので、ドリリング時切削骨粉で被覆し、チタンメンブレンをヒーリングキャップで固定した。両隣在歯のPerioに伴う骨吸収も認められた。(2007/9/12)
    図1f-2 一次オペ時。同部唇側プラットフォームレベルの骨壁が不足していたので、ドリリング時切削骨粉で被覆し、チタンメンブレンをヒーリングキャップで固定した。両隣在歯のPerioに伴う骨吸収も認められた。(2007/9/12)
  • 一次オペ後デンタル。最良の位置にインプラント埋入ができたと思われる。(2007/9/12)
    図1f-3 一次オペ後デンタル。最良の位置にインプラント埋入ができたと思われる。(2007/9/12)
  • 二次オペ時。チタンメンブレン下には緻密な骨の生着が認められた。特にPRP等の細胞増殖促進因子などを使用せずとも良好な臨床結果が得られた。(2008/2/12)
    図1g-1 二次オペ時。チタンメンブレン下には緻密な骨の生着が認められた。特にPRP等の細胞増殖促進因子などを使用せずとも良好な臨床結果が得られた。(2008/2/12)
  • 二次オペ時。ジンジバルフォーマー装着時デンタル。(2008/2/12)
    図1g-2 二次オペ時。ジンジバルフォーマー装着時デンタル。(2008/2/12)

  • 装着直後と同部デンタル。インプラント周囲歯肉にも健康なスティップリング(stippling)が認められる。(2008/5/10)
    図1h 装着直後と同部デンタル。インプラント周囲歯肉にも健康なスティップリング(stippling)が認められる。(2008/5/10)

■症例2

患者:
初診時(2006/6/21)50歳、女性
主訴:
4 部違和感及び同根尖部歯肉腫脹
患者:
3~4年程前に同部の抜髄処置を受ける。全身的には特記すべき事項なし。

口腔内所見及び治療計画:4 はその臨床所見より、歯根破折とそれに伴う周囲歯槽骨の吸収が認められたので、抜歯後の安定を見て自家骨移植Bone Graftを試みた。
PRPなどの細胞増殖促進因子を使用せずとも良好な結果が得られた。
約半年後、SPIコンタクトインプラント(カラー部φ4.5mm 長さ14mm、骨縁下15.5mm)を埋入した。
2症例共に、理想的なエマージェンスプロファイル(Emergence Profile)とDennis Tarnowのいわゆる“5mmルール”が付与され、今後の歯間乳頭歯肉のCreepingが十分期待できるものと思われる。

  • 初診時。4 に膿瘍形成が認められる。
    図2a 初診時。4 に膿瘍形成が認められる。
  • 骨移植時。φ1.2×7.5mmのボーンスクリューにて側プラットフォームレベルに移植骨を固定する。(2007/3/6)
    図2b 骨移植時。φ1.2×7.5mmのボーンスクリューにて側プラットフォームレベルに移植骨を固定する。(2007/3/6)
  • 移植時同部デンタル。(2007/3/6)
    図2c 移植時同部デンタル。(2007/3/6)
  • 二次オペ時。骨移植部良好にてコンタクトインプラント(φ4.5×14mm)を埋入。(2007/12/25)
    図2d 二次オペ時。骨移植部良好にてコンタクトインプラント(φ4.5×14mm)を埋入。(2007/12/25)
  • 埋入時同部デンタル。(2007/12/25)
    図2e 埋入時同部デンタル。(2007/12/25)
  • 4 装着時所見及び同部デンタル。良好なエマージェンスプロファイルが付与されたと思われる。(2008/6/13)
    図2f 4 装着時所見及び同部デンタル。良好なエマージェンスプロファイルが付与されたと思われる。(2008/6/13)

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