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歯科用常温重合レジン「プロビスタ」について
サンメディカル株式会社 研究部 抜井康浩/土川益司

■目 次

■はじめに

歯科用常温重合レジンは、テンポラリークラウンの作製、アクリル義歯の修理など、歯科治療に欠かすことのできない材料の一つである。
しかし、近年の歯科治療の流れと共に、主に暫間用途に使用される常温重合レジンにも、より高い機械的物性、耐久性、審美性が求められるようになってきた。このようにより高い性能が求められるようになった要因は、プロビジョナルレストレーションの重要性が認識されたことにある。
プロビジョナルレストレーションは、最終補綴物を装着するまでの暫間的な治療用、診断用の装置である。口腔内の機能や組織の状態を観察しながら、調整や修正を行って最終補綴物にその情報を伝達することを目的としている。そのため、テンポラリーレストレーションよりも長期的に使用される場合が多く、機械的物性、耐久性、審美性でより高い性能の材料が求められている。
そこで、テンポラリーレストレーションから長期にわたるプロビジョナルレストレーションまで幅広く使用できる歯科用常温重合レジン「プロビスタ」の開発を行った(図13)。

  • 図1 プロビスタA2セット
    図1 プロビスタA2セット
  • 図2 オペークアイボリー
    図2 オペークアイボリー
  • 図3 オペークピンク
    図3 オペークピンク

■「プロビスタ」の特長

「プロビスタ」は、数種類のポリマーと当社独自のフィラー技術から生まれた反応性有機質複合フィラーを組み合わせ、かつ配合を最適化することで、優れた機械的物性、操作性、研磨性を実現した。また、筆積法、混和法、シリコーンコア法といった臨床現場のあらゆるシチュエーションに対応できるよう、操作時間、硬化時間のバランスを考慮した設計となっている。
そして、豊富なカラーバリエーションとオペーク色を追加したことで、従来品では難しかった色調再現が可能となった。

1. 長期プロビジョナルレストレーションを可能とした高い物性
「プロビスタ」の硬化体は、ビッカース硬度、曲げ強度、最大点歪の数値からもわかるように、「硬いのにしなる」特長を持っている(図4)。この特長が、「プロビスタ」の優れた耐摩耗性、耐久性へと繋がっている(図56)。
また、耐着色性、耐変色性に優れることから、長期的な審美性も保たれるものと期待される(図7)。

  • 図4 物性比較
    図4 物性比較
  • 図5 アラバマ式磨耗試験イメージ図
    図5 アラバマ式磨耗試験イメージ図
  • 図6 デジタルマイクロスコープによる拡大画像(×500
    図6 デジタルマイクロスコープによる拡大画像(×500)
    アラバマ式磨耗試験40万回後
  • 図7 変色試験:55℃/7日間水中浸漬後の色調変化 
    図7 変色試験:55℃/7日間水中浸漬後の色調変化

2. 築盛性、混和性を追及した優れた操作性
「プロビスタ」はチクソトロピー性に優れているため、筆積法で使用した場合、垂れが少なく形態付与が容易で、思い通りの築盛が可能となった(図8)。
また、粉材と液材の馴染みが非常に良く流動性にも優れるため、混和法で使用した場合に少ない攪拌回数で均一なレジン泥が得られるので気泡混入、色むらを低減することができた(図910)。

  • 図8 筆積法による築盛例(指状構造の形成)
    図8 筆積法による築盛例(指状構造の形成)
  • 図9 混和法での粉液の馴染み性:液材に粉材を加えると、粉材がダマになりにくく全体に分散する。少ない混和操作で均一なレジン泥が得られる。
    図9 混和法での粉液の馴染み性:液材に粉材を加えると、粉材がダマになりにくく全体に分散する。少ない混和操作で均一なレジン泥が得られる。
  • 図10 混和法、筆積法による硬化体:混和法、筆積法とも気泡の混入や色むらが少なく、操作法による色調差も少ない。
    図10 混和法、筆積法による硬化体:混和法、筆積法とも気泡の混入や色むらが少なく、操作法による色調差も少ない。

3. 作業性を追求した研磨性と滑沢性
従来の歯科用常温重合レジンは、硬化体に粘りがあるため、研磨屑が研磨用ポイントにまとわり付くなどの問題があった。
そこで、「プロビスタ」では粉材にフィラーを配合することで、サクサクとした切削感を実現しストレスなく形態修正が行えるようになった。また、滑沢性にも優れているため、形態修正・艶出しといったトータルでの研磨作業が容易かつ短時間で行えるようになった(図1112)。

  • 図11 切削時比較
    図11 切削時比較
  • 図12 プロビスタの滑沢性
    図12 プロビスタの滑沢性

4. バランスの取れた操作時間と硬化時間
「プロビスタ」の使用法には、筆積法、混和法、シリコーンコア法があり、これらの使用法に要求される操作時間、硬化時間は微妙に異なる。
そこで、「プロビスタ」は、これらの異なる使用法を考慮しバランスの取れた操作時間、硬化時間となっている(図13)。

  • 図13 プロビスタ操作時間のイメージ
    図13 プロビスタ操作時間のイメージ
    条件(a) 粉材/液材=1.5g/1mL、室温下で操作した場合
    条件(b) 粉材/液材=2g/1mL、混和から1分後に37℃、相対湿度50%環境下で操作した場合

5. 豊富なカラーバリエーションで実現した高い色調再現性
「プロビスタ」の歯冠色は、A系4色にブリーチングホワイト色とインサイザル色を加えた製品構成となっており(図14)、またオペークアイボリー色を取り入れたことで、金属色を遮蔽してより審美的な色調再現性が可能となった(図15)。
一方、歯肉色はピンク色と繊維入りのファイバーピンク色の製品構成で、義歯修復でも審美的な仕上がりが可能となった(図16)。さらに歯冠色同様にオペークピンク色を取り入れたことで、より幅広い用途への使用が可能となった。

  • 図14 プロビスタシェード一覧
    図14 プロビスタシェード一覧
  • 図15 メタルコアに装着した2種類のテンポラリークラウン(A2
    図15 メタルコアに装着した2種類のテンポラリークラウン(A2)
    左)オペークアイボリー未使用
    右)オペークアイボリー使用
  • 図16 ファイバーピンクを使用したデンチャー修理例
    図16 ファイバーピンクを使用したデンチャー修理例

6. 作業性を考慮した付属品の充実
「プロビスタ」では、ユーザーの作業性を考慮し付属品の充実を図った。
① 筆積法の作業性を考慮した筆
筆はやや大きめのサイズを採用しているが、毛先が広がりにくく整っているため、思い通りの築盛が可能となった(図17)。
② 液材用ワンタッチキャップ
液材用ワンタッチキャップは、片手で楽に液材の開閉が行える設計となっている(図18)。
③ ラバーラップ
ラバーカップは、チェアサイド、ラボサイドで使用環境を考慮し大小を兼ね備えた2面を使用できる形態となっている(図19)。

  • 図17 思い通りのレジン混合物を採取することができる。
    図17 思い通りのレジン混合物を採取することができる。
  • 図18 ワンタッチで開閉でき、注ぎやすい形状
    図18 ワンタッチで開閉でき、注ぎやすい形状
  • 図19 使用量によって上下が使用可能なラバーカップ
    図19 使用量によって上下が使用可能なラバーカップ

■まとめ

今回発売した「プロビスタ」は、機械的物性はもちろんのこと、耐変色性、耐着色性、耐摩耗性においても高い性能を有しているため、長期的なプロビジョナルレストレーションへの適応が可能となった。
また、豊富なカラーバリエーションとオペーク色の導入により、高い色調再現に加え臨床現場での幅広い使用が可能となったと考えられ、今後の先生方の治療にお役立てできれば幸いである。

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