DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

私の臨床
クリアフィルSAルーティング 簡便・確実・スピーディ!前処理不要のレジンセメント
京都市北区 内田歯科医院 院長 内田智也

京都市北区 内田歯科医院 開業以来、地域に密着しつつ、ひとりひとりの患者さんの心理や疾患に見合った最適かつ最良の治療を行うこと、患者さんの口腔内の健康維持と機能回復のお役に立つこと、そのために、患者さんとのコミュニケーションを丁寧に積み重ねることを心がけてきました。
インフォームド・コンセントからさらに一歩踏み込み、患者さんへのインフォームド・チョイス(説明を受けたうえで治療を選択する)やインフォームド・ディシジョン(選択した方法で治療を受けるかどうかを自己決定する)がスムーズに進められる診療環境を創ること、それが私の目標のひとつです。
日常の臨床で使用する器材についても、患者さんのストレスや不安を少しでも緩和できるアイテムを選択するように配慮しています。
たとえば、修復治療で用いる合着・接着材料についても、できるだけ侵襲を抑え、確実にスピーディに処置が行える材料を使用するようにしています。
クリアフィルSAルーティングは、昨年2月頃にデモを見て、臨床に取り入れました。
クリアフィルSAルーティングの最大の利点は、SA(セルフアドヒーシブ)機能を備えていることです。
従来のレジンセメントと異なり、接着性モノマーMDPがペーストの中に高濃度に配合されているため、プライマーによって接着界面の硬化性を高める必要がないので、補綴物にも窩洞側にも、プライマーの前処理なしに練和したペーストを塗布して、簡単に合着することができるのです。
この簡便性をさらに後押ししているのが、ペーストが練和しやすい点でしょう。
クリアフィルSAルーティングは、デュアルキュア(光重合/化学重合)型の2ペーストタイプなので、粉液タイプと違って、スムーズに練和することができます。しかも、ペーストのノビのよさが加わって、より塗布がしやすく、垂れにくい特性があるのです。
また、余剰セメントの除去が簡単に行えるということも、クリアフィルSAルーティングの優れた利点だと思います。
つまり、クリアフィルSAルーティングは、光照射をコントロールすることにより、半硬化の状態で余剰セメントを一塊で確実かつスムーズに除去できますから、余剰セメントが支台歯や歯根面に残留することがなく、歯肉を傷つけたり、歯肉炎などを誘発する懸念もありません。
以上のように、クリアフィルSAルーティングは、ペーストの練和や合着、余剰セメントの除去などに要する操作時間が短縮されますので、チェアタイムの効率化や患者さんのストレスの緩和にも貢献しているように感じています。
しかも、保険治療に対応していることは、患者さんにとっては安心できる大きな利点です。
グラスアイオノマー系レジンセメント(RMGIC)の操作性のよさと、レジンセメントの接着性能の高さを融合させたクリアフィルSAルーティングは、補綴修復治療の信頼性をより高める画期的なレジンセメントだと思います。

症例1 メタルインレー
  • 図1-1 メタルインレー装着前の下顎大臼歯。通法に従い窩洞清掃。
    図1-1 メタルインレー装着前の下顎大臼歯。通法に従い窩洞清掃。
  • 図1-2 メタルインレーを装着後、余剰セメント部に短時間の光照射。半硬化した余剰セメントは一塊で容易に除去できる。
    図1-2 メタルインレーを装着後、余剰セメント部に短時間の光照射。半硬化した余剰セメントは一塊で容易に除去できる。
  • 図1-3 装着時から5分間放置し、最終硬化と咬合の確認を行った。
    図1-3 装着時から5分間放置し、最終硬化と咬合の確認を行った。
症例2 全部鋳造冠
  • 図2-1 メタルクラウン装着前の下顎大臼歯。クリアフィルSAルーティングは被着面の象牙質と金属の両者に高い接着性を示すため、接着前の特別な歯面処理は必要ない。
    図2-1 メタルクラウン装着前の下顎大臼歯。クリアフィルSAルーティングは被着面の象牙質と金属の両者に高い接着性を示すため、接着前の特別な歯面処理は必要ない。
  • 図2-2 半硬化した余剰セメントは除去性に優れるため、除去にかかる時間を短縮することができる。
    図2-2 半硬化した余剰セメントは除去性に優れるため、除去にかかる時間を短縮することができる。
  • 図2-3 余剰セメント除去直後の状態。セメント除去による歯肉の出血も少なくなった。
    図2-3 余剰セメント除去直後の状態。セメント除去による歯肉の出血も少なくなった。
症例3 セラモメタルクラウン
  • 図3-1 下顎大臼歯をセラモメタルクラウンにより修復した。従来であればこのような自費治療においてはパナビアを選択していたが、クラウン形態で防湿が難しいケースにおいては歯面処理等の操作ステップが多いレジンセメントでは100%の接着力を発揮できない可能性もある。
    図3-1 下顎大臼歯をセラモメタルクラウンにより修復した。従来であればこのような自費治療においてはパナビアを選択していたが、クラウン形態で防湿が難しいケースにおいては歯面処理等の操作ステップが多いレジンセメントでは100%の接着力を発揮できない可能性もある。
  • 図3-2 歯面処理の必要のないクリアフィルSAルーティングを用いて短時間で確実に接着を行う。歯面処理材を使わないことも、余剰セメントの除去性を高めていると思われる。
    図3-2 歯面処理の必要のないクリアフィルSAルーティングを用いて短時間で確実に接着を行う。歯面処理材を使わないことも、余剰セメントの除去性を高めていると思われる。
  • 図3-3 余剰セメントの除去後。術者、患者共に満足のいく仕上がりになった。
    図3-3 余剰セメントの除去後。術者、患者共に満足のいく仕上がりになった。
症例4 硬質レジン前装冠
  • 図4-1 硬質レジン前装冠ブリッジ装着前の状態。歯肉の状態はあまり良くないが接着操作を行った。
    図4-1 456硬質レジン前装冠ブリッジ装着前の状態。歯肉の状態はあまり良くないが接着操作を行った。
  • 図4-2 今までのセメントではブリッジのセメント除去には労力と時間を要したが、クリアフィルSAルーティングを使い出してからは、除去のタイミングをコントロールすることができるため、非常にストレスが少なくなった。
    図4-2 今までのセメントではブリッジのセメント除去には労力と時間を要したが、クリアフィルSAルーティングを使い出してからは、除去のタイミングをコントロールすることができるため、非常にストレスが少なくなった。
  • 図4-3 術後。若干の出血は見られるが、歯肉縁下のセメントの取り残しが無いため、経過は良好である。
    図4-3 術後。若干の出血は見られるが、歯肉縁下のセメントの取り残しが無いため、経過は良好である。