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私の臨床

クリアフィルSAルーティング 余剰セメントを一塊で除去できる高品質レジンセメント

東京都中央区 医療法人社団聖和会 銀座聖和歯科・内科 医局 長老川秀紀

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目 次

東京都中央区医療法人社団聖和会 銀座聖和歯科・内科 当クリニックは創設以来、『全身の健康とアンチエイジング』を軸足にした先進医療の実現をめざして、歯科医師と内科医師の連携による統合医療と、それぞれの専門医によるチーム医療を日々実践しています。
この医療システムの最大のアドバンテージは、歯科・医科の双方向のチェックや技術的な切磋琢磨によって、単科では解決できない、さまざまな医学的難題が解決できること、医療ミスが抑制され、より高度かつ安全な診療環境が構築できること、この2点に集約できると思います。
具体的には、病原菌の滅菌、口腔内金属の除去、咬合力や咀嚼機能の回復、口腔ケアなどによって、血中の抗酸化値が増加し、全身の免疫力が高まるので、アンチエイジングにつながる包括的医療が可能になっています。
また、当クリニックのもう一つの特色は、じっくりと時間をかけて、患者さんの要望や意見をヒアリングし、その患者さんに最適な診断・治療のアドバイスとコンサルテーションを行うとともに、予防専用ルームで定期的なメンテナンスを徹底し万全を期していることです。
包括的医療の一例として、たとえば審美修復なら、矯正医や補綴医と連携して、歯や歯肉の色・形・透明度・歯並びのアーチ・口唇とのバランスなどを整えたり、スマイルラインに合わせたり、若返るための筋肉や骨のバランスの調整法を採用したりして、短時間で患者さんの口元を美しくする、さまざまなメソッドを臨床に応用しています。
このような審美修復においては、とりわけレジンセメントの重要性は言うまでもありませんが、メタルボンドやジルコニアの接着に、私が活用しているのが、クリアフィルSAルーティングです。
サンプリングで試用したところ、とくに操作性がよかったため、導入することになりました。
クリアフィルSAルーティングと従来のレジンセメントとの根本的な相違点として、私が実感しているのは、2~3秒間の光照射で半硬化後、余剰セメントが一塊で確実かつスムーズに除去できるので、チェアタイムの効率化が図れるという点です。もちろん、メタルボンドやジルコニア(ブリッジ、クラウン)の治療は保険外ですが、レジンセメントでありつつ、余剰セメントの除去が安全かつ簡単という理由から、保険治療だけでなく自費治療にも充分対応できるクオリティがあると判断したのです。
現在のところ、インレー、アンレーや歯冠長が短いケースには使用していませんが、コアから脱離した再セットのケースなどにはよく使用しています。
操作性の面では、プライマーの前処理なしに練和したペーストを塗布して、スピーディに接着できるSA(セルフアドヒーシブ)機能があることは、クリアフィルSAルーティングならではの利点でしょうね。また、優れた機械的強度や接着性を備えていますから、脱離などのトラブルも見られません。
クリアフィルSAルーティングは、より効率的で高品質な審美修復治療に欠かせない、信頼性と予知性を併せ持ったレジンセメントといえると思います。

症例1
  • 図1-1 5 の硬質レジンジャケットクラウンの症例。クリアフィルSAルーティングを練和、装着後数秒の光照射を余剰セメントの除去のために行う。
    図1-1 5 の硬質レジンジャケットクラウンの症例。クリアフィルSAルーティングを練和、装着後数秒の光照射を余剰セメントの除去のために行う。
  • 図1-2 画像のように一塊として容易に除去できる。歯肉縁下の余剰セメントの除去も容易である。縁上をおおまかに除去した後、再度圧接し、光照射を行い、微量の余剰を念入りに除去することが大切である。
    図1-2 画像のように一塊として容易に除去できる。歯肉縁下の余剰セメントの除去も容易である。縁上をおおまかに除去した後、再度圧接し、光照射を行い、微量の余剰を念入りに除去することが大切である。
  • 図1-3 セメント除去直後。歯肉の目立った損傷がなく装着が行われた。デュアルキュアとはいえ、光透過性がある材料では光照射にて完全に硬化させることが大切である。当院では各面より40秒ずつの照射を行っている。技工はデンタルハーモニーによる。
    図1-3 セメント除去直後。歯肉の目立った損傷がなく装着が行われた。デュアルキュアとはいえ、光透過性がある材料では光照射にて完全に硬化させることが大切である。当院では各面より40秒ずつの照射を行っている。技工はデンタルハーモニーによる。
症例2
  • 相当部のインプラント症例。プロビジョナルにてティッシュスカルプティングを行った。部分的に歯肉縁下深くにマージンが設定されているために、セメントの除去性は非常に大きな問題となる。
    図2-1 6 相当部のインプラント症例。プロビジョナルにてティッシュスカルプティングを行った。部分的に歯肉縁下深くにマージンが設定されているために、セメントの除去性は非常に大きな問題となる。
  • 図2-2 クリアフィルSAルーティングを通法通り練和、装着後数秒の光照射を余剰セメントの除去のために行う。
    図2-2 クリアフィルSAルーティングを通法通り練和、装着後数秒の光照射を余剰セメントの除去のために行う。
  • 図2-3 セメント除去時。歯肉縁下深いケースでもほとんど一塊で除去される。PFMクラウンを用いたために化学重合を待ち、再度縁下の除去を徹底して行う。容易な除去性が術者に安心感を与えてくれる。技工はデンタルハーモニーによる。
    図2-3 セメント除去時。歯肉縁下深いケースでもほとんど一塊で除去される。PFMクラウンを用いたために化学重合を待ち、再度縁下の除去を徹底して行う。容易な除去性が術者に安心感を与えてくれる。技工はデンタルハーモニーによる。
症例3
  • 図3-1 初診時。1 の審美障害を主訴に来院。主訴の処置後、左下ブリッジ支台歯に根尖病変が存在したために、治療に取り掛からせていただいた。
    図3-1 初診時。1 の審美障害を主訴に来院。主訴の処置後、左下ブリッジ支台歯に根尖病変が存在したために、治療に取り掛からせていただいた。
  • 図3-2 PFMブリッジ装着。クリアフィルSAルーティングセメント除去時の所見。再治療歯の場合、すでに歯肉縁下深くにマージン設定されていることも多い。それに加え、ブリッジのように数歯同時に装着しなければならないときは操作時間と除去性は幾重にも重なり、術者にとって大きな負担となる。
    図3-2 PFMブリッジ装着。クリアフィルSAルーティングセメント除去時の所見。再治療歯の場合、すでに歯肉縁下深くにマージン設定されていることも多い。それに加え、ブリッジのように数歯同時に装着しなければならないときは操作時間と除去性は幾重にも重なり、術者にとって大きな負担となる。
  • 図3-3 セメント除去後。縁下深いマージンのため除去直後の歯肉からの出血は避けられなかったが、患者さんは、苦痛はなかったそうである。リコール時の歯肉の所見は良好であった。技工はマイクロプレシーズによる。
    図3-3 セメント除去後。縁下深いマージンのため除去直後の歯肉からの出血は避けられなかったが、患者さんは、苦痛はなかったそうである。リコール時の歯肉の所見は良好であった。技工はマイクロプレシーズによる。
症例4
  • 図4-1 下顎両側コーヌス義歯による不快感を主訴に紹介来院された。インプラントによる処置を説明、同意を得て治療に取り掛からせていただいた。左下術前の所見。
    図4-1 下顎両側コーヌス義歯による不快感を主訴に紹介来院された。インプラントによる処置を説明、同意を得て治療に取り掛からせていただいた。左下術前の所見。
  • 図4-2 3 はジルコニアクラウン。4-7 はPFMブリッジ。当院では天然歯補綴でのクラウンは9割以上がジルコニアとなっている。技工はコアデンタルラボによる。
    図4-2 3はジルコニアクラウン。4-7はPFMブリッジ。当院では天然歯補綴でのクラウンは9割以上がジルコニアとなっている。技工はコアデンタルラボによる。
  • 図4-3 ジルコニアクラウンはクリアフィルSAルーティングにて装着。当院では、支台歯の軸面の高さが確保できている症例のジルコニアクラウン・ブリッジは多くの症例にクリアフィルSAルーティングを用いている。清掃が上手な方なので、当面の遊離歯肉移植は見送っている。
    図4-3 ジルコニアクラウンはクリアフィルSAルーティングにて装着。当院では、支台歯の軸面の高さが確保できている症例のジルコニアクラウン・ブリッジは多くの症例にクリアフィルSAルーティングを用いている。清掃が上手な方なので、当面の遊離歯肉移植は見送っている。

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