前号の＜イントロ編＞に続いて、患者プレゼンテーションソフトのトリニティコア＜活用編＞です。診療のデジタル化は、治療の質や効率性を高めるだけでなく、患者さんとのコミュニケーションを深める大切な役割があります。この診療のデジタル化を推進する強力なインフラ、それがトリニティコアによる診療情報の一元管理システムです。トリニティコアがシステムの核になり、DOC-5をはじめ、X線装置のベラビューエポックス2D、口腔内カメラのペンスコープ、患者説明用アニメーションのトリニティアニメ2.0、歯周検査音声入力装置のチャーピィをつなぎ、それらを一元管理・統合することによって、なかだて歯科独自のデジタル・コミュニケーション環境が構築されています。

トリニティコアなら、撮影した画像は自動的に取り込みレイアウトされ、鏡像も反転されて編集の必要がありませんので、すぐに説明に入れます。手間も時間もかけず、クリニカルデータや画像データを一括管理し、治療説明から治療計画の立案、治療の評価までを簡単・スピーディ・スムーズに進められることが魅力です。その使い勝手のよさ、ビジュアル体験による強いインパクトや高い説得力などを症例を通して実感していただきましょう。

症例１は、他院で受けた治療に強い不信感を抱いて来院された女性で、右下７番のパーフォレーションのケースです。来院時はやや憤慨しておられる状況でしたので、じっくりとヒヤリングして、X線撮影後口腔内カメラで撮影した患部を見せながら、本来の目的である根管以外に穿孔が起きている現状を理解してもらい、これからの治療方針を説明し理解と同意を得ました。処置としては通法の根管治療を行い、ＭＴＡを用いたパーフォレーションリペアを行いました。歯科治療への信頼を回復する必要性から、メンタル面も含めてやや時間がかかりましたが、トリニティコアで口腔内画像や治療のプロセスを記録・保存し、予後をたどれますし、ハイクオリティーな画像は鮮明なビジュアルインパクトもあり、高い説得力を痛感しました。また、万が一の治療過誤による訴訟リスクに備えることができるのも大きな利点です。

症例2は、難治性の感染根管に対し、歯根端切除術を行った女性のケースです。口腔内カメラやX線撮影した患部の画像をお見せしながら、感染原因や処置法を詳しく説明した後、予後への理解・同意も得たうえで施術しました。スライドは術中にペンスコープで撮影したものですが、撮影や保存が簡便なことは臨床上大きなメリットです。このケースでもトリニティコアの視覚的な影響力は絶大なものがあり、患者さんご自身が選択した外科処置への正当性を再確認させるとともに、今後のリスクも踏まえ、より確実な治療計画の立案に一役買ってくれました。

症例3は、12歳男児のカリエスコントロールのケースです。術前・術中・術後の治療プロセスをすべて視覚化し、トリニティコアを用いて本人と保護者に見ていただきました。口腔内の状態を認識していただくことで、治療行為への意識付けが可能になり、その結果自分の口腔内に対する興味も高まり、高いケア意識を持つようになりました。また、トリニティアニメ2.0を活用して生活習慣の大切さについても説明し、カリエスコントロールや口腔ケアの大切さを啓蒙した結果、ご家族全員の口腔健康への意識の底上げをすることができました。

治療のみならず、歯科衛生士が行う口腔衛生指導はとても重要です。モチベーション・アップから、口腔衛生・食事指導、ブラッシング指導、セルフケア、プロフェッショナルケア、スケーリング・ルートプレーニング、ブラキシズムの説明まで、歯科衛生士のフィールドは広くその役割は実に多彩です。個々の患者さんの性格や生活背景などのパーソナル情報を把握し、口腔衛生管理の視点から患者さんを診るためにも情報の共有化は重要課題です。

また、プロービング・デプス、プラーク・インデックス、唾液や細菌検査のデータ、位相差顕微鏡によるプラーク観察データを説明するだけでなく、トリニティアニメ2.0から取り込んだ静止画などを用いて、なかだて歯科独自の帳票類を作成し、必要に応じて手書きのコメントを記入して持ち帰っていただいております。また、最近質問が多いホワイトニングなどでは、各種の治療法の利点・欠点や治療プロセスを提示し、適応症や術後の注意などを視覚的に説明しながら患者さんに比較・検討してもらい、十分に納得・同意を得てから施術できますので、患者さんの満足度や信頼度も高まってきます。

情報の共有化により患者さんの理解・協力・同意を得やすく、モチベーションやデンタルIQを高め、質の高い治療を進めやすい、快適でストレスフリーな診療環境を提供してくれるのが、高い統合力を兼ね備えたトリニティコアの最大の魅力だと感じています。