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ノリタケデンタルスキャナーSC-3について
渡辺 俊介

■目 次

■1. はじめに

2007年7月より国内におけるジルコニアフレーム(コーピング)製作事業として、カタナプロダクションセンター(KPC)の開設および運営を開始しました。以降、約3年間には、当社予測を遥かに上回る「ユーザー登録」と製作数を記録し、新たな補綴材料として急速に臨床応用が進み、現在に至っては審美補綴材料のスタンダードとして認知された様相を呈しています。
KPCにおけるCAD/CAM設備として、第1世代となるノリタケデンタルスキャナーSC‑1(図1)より、現行機である第3世代ノリタケデンタルスキャナーSC‑3(図2)へのバージョンアップにより、飛躍的な精度向上はもちろんのこと、動作速度、オートデザイン機能など、オペレーティング性能の向上を絶えず実行してきました。
また、ジルコニアブロックを切削加工するための機器は、当初からの大型加工機「ML‑1」(図3)に加え、何れ個々の技工所様での需要が高まるであろう予測より、卓上型小型加工機ながら4本のカタナジルコニアブロック(Mサイズ)により最大で20歯の連続加工が可能である「H‑18」(図4)を開発し、現在では主力加工機として使用するに至っております。

  • ノリタケデンタルスキャナーSC‑1の写真
    図1 「ノリタケデンタルスキャナーSC‑1」。
  • ノリタケデンタルスキャナーSC‑3の写真
    図2 現行機種:「ノリタケデンタルスキャナーSC‑3」スキャン時間は約30秒(単冠)。
  • ML‑1の写真
    図3 大型加工機:ML‑1。
  • ノリタケカタナH‑18の写真
    図4 小型卓上加工機:「ノリタケカタナH‑18」4本のジルコニアブロックを連続切削可能。

■2. KQL(カタナクオリファイドラボ)

2009年8月からは、KPCでの経験と実績をもとに、「SC‑3」、「H‑18」に加え、カタナジルコニア専用焼成炉「F‑1」(図5)<製造販売・SKメディカル社>からなるフルシステムの販売を開始し、現在まで全国において8施設での導入実績となっています。
これら導入施設様間において、製作されるカタナジルコニアフレームの品質向上と維持をするための情報交換を目的としたスタディグループ・KQLに対するサポート活動も逐次実施しております。

■3. ノリタケデンタルスキャナーSC‑3によるデータ送信事業

2010年11月より、新たに開始されたデータ送信型事業では、「SC‑3」のみをご導入頂き、ご自身にて石こう模型をスキャニングし、デジタルデータへと変換された歯列情報をもとに、付属のデザインソフト「Dental Designer」に搭載されているオートデザイン機能である「シュリンクデザイン」、「サポートデザイン」、「Dスキャン」などの機能を有効的に活用し補綴物強度を考慮したフレームの設計が、簡単な操作で可能になります(図6)。
設計の完了したデータは、インターネット回線を介しKPCへ送信されれば全ての作業は終了となります。最短で2日後には、お手元にミリング加工、焼成が完了したカタナジルコニアフレームが届きます(図7)。
「SC‑3」導入により、審美的でかつ安定した適合が約束されたカタナジルコニアフレームが短納期でかつリーズナブルに入手可能となることは、特に個人もしくは小規模ラボ様においては、必要最小限の初期投資で効率的かつ戦略的経営ツールとして活躍するとともに、例えばミリング加工時に生じるコーピング内面の空隙の有無を確認し(図8)、適切な形成状態(図9)を提案することによる信頼性の向上にも繋がることと確信します。また、デザインソフトのバージョンアップによる機能の追加はもちろんのこと、将来の事業規模の進捗に併せミリングマシーン「H‑18」を追加接続することももちろん可能です。
そこで本編では、以下において「SC‑3」に搭載されるデザインソフトの先進機能と併せて、カタナジルコニアの素材面における特長についても記しておきます。

  • ノリタケカタナフルシステムの写真
    図5 ノリタケカタナフルシステム:自ラボにおいてフレームのデザイン、ミリング、焼成まで行えるため最短では2日でフレームの製作が可能。
  • ノリタケデンタルスキャナーSC‑3のパンフレット写真
    図6 ノリタケデンタルスキャナーSC‑3のパンフレット。
  • カタナジルコニアフレーム製作手順
    図7 カタナジルコニアフレーム製作手順。自身でスキャンからデザインを行うことで、思い通りのデザインが行える。デザインデータをプロダクションセンターへ送信することで、最短、中2日で、ジルコニアフレームを手にすることができる。

  • 図8 支台歯の先端が鋭利になっていると空隙が生じる可能性がある。

  • 図9 支台歯を丸めることにより適切なフレームが製作可能になる。

■4. デザインソフトの先進性

シュリンクデザイン図1011
シュリンク機能とは、理想的な最終外形をデザインソフト上でデザインした後、補綴物強度を適切に保つために均等なポーセレンスペースを自動的にカットバックする機能として重宝します。
サポートデザイン図1213
シュリンクデザイン機能を活用して最終外形より、例えば臼歯部ではリンガルサポート部や、前歯部ではベニアフレーム形状となるよう、必要に応じた「部分的なカットバックデザイン」が簡単な操作で可能になります。
Dスキャン図1417
予め作製したフレーム(ワックス製、レジン製、金属製への対応可)を歯列模型データと同時にスキャニングすることにより、同一形状のジルコニアフレーム製作が可能となります。
ブリッジフレームのポンティック基底部など、模型上では読み取りが不可能な部分も、専用治具を使用することによりほぼ完全にコピー可能となります。
また、「Dスキャン」機能によりテンポラリークラウンなど最終外形を読み取った上で、「シュリンクデザイン」機能によるカットバックや、形状を修正することも可能です。


  • 図10 歯冠の最終外形をイメージ。

  • 図11 均一なポーセレンスペース確保するためにシュリンクをさせることが可能。

  • 図12 臼歯部へのリンガルサポートを最終外形よりカットバックして付与することが可能。

  • 図13 前歯部のベニアタイプのフレームデザインも最終外形よりカットバックで行うことが可能。

  • 図14 インプラントのような多数歯補綴のデザインはワックスフレームをよるDスキャンが有効である。

  • 図15 インプラントアバットメント上にフレーム形状と同様にワックスアップを行う。

  • 図16 デザイン画面。ワックスフレームとほぼ同様のデザインが容易に行える。後はセメントスペースなどを設定するのみである。
  • ワックスフレームとほぼ同様のジルコニアフレームの写真
    図17 ワックスフレームとほぼ同様のジルコニアフレームが完成する。

■5. カタナジルコニアの特長

プリカラードブロック
全9色からの選択が可能です。ブロック成型の前にジルコニアパウダーへ色付け(分散加工)をしてありますので、焼成後の形態調整などの削合作業をした場合でも、色調の変化やムラは生じません。
またジルコニア専用陶材セラビアンZRとの併用により、目的とするシェードコーントロールが容易であることはもちろんのこと、天然歯に近い深みのある色調表現が可能となります(図18)。
適合精度と高透過性
カタナジルコニアは、ノリタケオリジナルの未焼結ブロックを採用し、かつ総合セラミックスメーカー「Noritake」として適正化した焼成条件を使用することで、均一な焼成収縮を実現しました(図19)。
これによりカタナジルコニアフレームの模型適合性は、単冠からロングスパンブリッジまで高いレベルを実現するとともに、市販ジルコニア製品の中でも最上位に位置する、0.4mm(前歯部での規定厚み)で約29%の透過率を発揮します(図20)。

  • カタナジルコニアのカラーバリエーション図
    図18 カタナジルコニアのカラーバリエーション。
  • カタナジルコニア未焼結ブロック(黄色)と仮焼成ブロックとの収縮比較グラフ
    図19 カタナジルコニア未焼結ブロック(黄色)と仮焼成ブロックとの収縮比較。<ノリタケデンタルサプライ測定>
  • 各社ジルコニアフレームの透過率
    図20 各社ジルコニアフレームも同じ厚みであっても、透過率にばらつきがある。<ノリタケデンタルサプライ測定>

■6. 最後に

ジルコニアオールセラミッククラウンの本格的な臨床応用が始まって以降、未だ日が浅い現状においては、より多くの正しい情報を入手することが必要不可欠であると思う。製品を供給する者の責務として今後も継続して、より良い補綴物が製作され、また長期間にわたって患者様の口腔内において機能するための情報提供をしていく所存です。