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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

特集
PART2 開発(テクノロジー・イノベーション)パワフルマイクロヘッドに求めたエンジニアたちの大いなるイノベーション
竺原 浩文 / 高志 哲也

■目次

とにかくやってみよう!小さなヘッドで大きなパワーを!
パワフルマイクロヘッドに求めたエンジニアたちの大いなるイノベーション。

ツインパワータービン シリーズの販売がスタートしたのは2000(平成12)年。先進テクノロジーとヒューマンデザインを融合した高トルク・静音設計・ロングライフのツインパワータービンテクノロジーは全国の先生方の熱烈な支持を集め、日々の診療を文字通りパワフルにサポートしてきた。そして2010年秋、10余年に及ぶツインパワータービンテクノロジーのすべてを集約・継承してデビューしたのが、ウルトラシリーズ(パワフルマイクロヘッド)だ。その完成にひたすら情熱とノウハウを傾けてきたモリタ製作所のエンジニアたち。竺原浩文課長と髙志哲也研究員が語る、マイクロヘッドに込めたエンジニア魂、秘められた匠の技、プライドを賭けたイノベーションとはなんだろうか?

  • 株式会社モリタ製作所 第一研究開発部 研究開発グループ 課長 竺原 浩文
    竺原 浩文株式会社モリタ製作所 第一研究開発部 研究開発グループ 課長
  • 株式会社モリタ製作所 第一研究開発部 研究開発グループ 髙志 哲也
    髙志 哲也株式会社モリタ製作所 第一研究開発部 研究開発グループ

チャレンジすることは私たちにとってBig Chance!!

株式会社モリタ製作所 第一研究開発部竺原 開発で最も気を配ったこと、それは、先生方が疲れにくく、正確かつ効率よく切削できること、どなたにも使いやすいユニバーサルなデザインと機能を搭載することでした。ところが、手強いハードルが待ち受けていました。ヘッドを小さくすればするほど、トルクが落ち、回転数が上がる、その結果、粘りのない切削、耐久性の低下等の問題が生じました。それらをどのようにクリアするかが最大の課題でした。そこで、連日、ベテラン、若手総動員でアイデアを戦わせました。悩むのはあとでいい!とにかく今できることからやってみようと!(笑)

髙志 小指の先よりも小さいヘッドで、回転数を抑えながら安定した高トルクを維持して、切削効率をさらにアップさせる。この相反する条件をバランスよく解決するにはどうすればいいのか。技術的にどのようなアプローチがベストなのか。そこに私たちの力量が試されることになったのですが、これは決して越えられない試練ではなく、エンジニアにとってはビッグチャンスなんだ!と私は素直にワクワクしてしまいました。

小指の先より小さいヘッドで、空気のようにさりげなく手になじむフィーリング

竺原 ツインパワータービンが長年培ってきた流体力学・超精密加工技術のノウハウや経験が開発に生かされています。先生方は毎日の臨床現場で高い頻度で繰り返し使われるわけですから、あたかも空気のようにさりげなく手になじみ、診療をしっかりサポートしてほしい、先生方にストレスをまったく感じさせない、さらに患者さんにやさしい存在であってほしい、それが共通の認識でした。

髙志 私たちの「任務」は、先生方からいただいたご意見やご提案を適確にヒアリングし、グループ内で課題を、整理・検証して、また先生方にフィードバックして、“一歩でも前へ”、“1日でも早く” 完成に近づけることでした。そんなキャッチボールを繰り返して、およそ1年かけて試作品ができました。まだ完成度がいま一歩だったにもかかわらず、先生方に激励されたことで “とにかくできることは、すべてやってみよう” という、チャレンジの連続でした。

“バーの先端を見ながら削れる”ことが正確な治療と安全への近道

竺原 麻生先生*との打ち合わせで、強く印象に残ったのは“バーの先端をちゃんと見ながら治療したい” とおっしゃったことです。タービンヘッドが小さくても、高いトルクが出て、しかも安全に快適に切削したいと、何度も何度も強調されたことです。そこに臨床家としての熱い思いと強い使命感が感じられました。その真剣さに私たちの本気度も、ヒートアップしていったのではないでしょうか。
*ユニゾンデンタルオフィス院長

髙志 もう一つの要求は、広い可視角でした。ヘッドをコンパクトにすることで、従来のトルクタイプより、明視できる領域がさらに広がり、先生方は患部をよく観察しながら、集中して治療に取り組んでいただけるようになったと思います。

小さいヘッドと高トルク、相反する条件を解決したテクノロジーの集大成

竺原 こんな小さなヘッドでほんとうに削れるの?そんな声を何度も耳にしました。でも、パワフルマイクロヘッドは、いわばツインパワータービンテクノロジーの集大成。高トルクはもちろん、ゼロサックバック、クイックストップ、静音設計、ロングライフなどの研究成果のすべてを引き継いでいるという並々ならぬプライドがありました。それが巡り巡って、先生方の診療に貢献できているのだ、患者さんの健康づくりに役立っているのだ、そんな思いが、私たちのモチベーション・エンジンになっていたはずです。

髙志 エアータービンの開発はエンジニア冥利に尽きる仕事です。こんな小さいヘッドの中に、数多くのノウハウと開発者たちの熱い情熱が詰め込まれています。臨床現場で起こる様々な問題に対しても、先生方の治療をしっかりとサポートし、信頼されるタービンであり続けたい、そんな思いから現在でも開発は続いています。開発には終わりはありません。これからも進化し続けるツインパワータービンにご期待ください。

タービン製造現場をほんの一部ご紹介


  • 3D-CAD
    3D-CADによる精度設計、データ分析、流体解析、シミュレーションによってトラブル等にも対処できるフレキシビリティ。
    そこにこそ開発の真価が隠されています。

  • タービン展示コーナー
    Xシリーズからウルトラシリーズまでの足取りを辿る展示コーナーも見学できます。

  • 棒材の成形加工
    ツインパワータービンの部品は一本の棒材から加工されます。いくつかの工程を経て精密に加工された各部材は、研磨・組立工程へ移されます。

  • NC旋盤
    マイクロヘッドに実装されている2段羽根などの極小パーツには、先進の流体力学・超精密加工技術のエッセンスが組み込まれています。ミクロン単位の精度が求められるクオリティを支えているのは、技術者のノウハウと先進設備の統合力なのです。

  • 表面処理工程
    ハンドピース表面のディンプルや耐熱性・耐食性・耐摩耗性に優れたセラミックコーティングが緻密に施されていきます。

  • 本体組立工程
    部品加工が完了すれば、ヘッド、ボディの各部材をセットする本体組立へ。1本当たり3~4分で組立完了。器用さと熟練が求められる作業です。

  • 検査工程
    本体組立から検査へ。回転速度、回転音、振動、注水、トルク、照度などの検査項目はざっと30項目。マシンだけでなく検査スタッフの目視のチェックも厳しい。1本1本、多くのスタッフたちの手から手へ丁寧に手渡され見守られて、パワフルマイクロヘッドは生まれているのです。